HOME > ARCHIVE - 2014年08月
2014/08/31

2周目 9月24日(金) 午前8時45分 島津政信

2周目 9月24日(金) 午前8時45分 島津政信

(ん…)

目を開けると見たことのない天井があった。

「おっ、気がついたか?」

高樹が横から声をかけてきた。

「あ…あれ?ここは…?」

「ああ、お前、電車の中で気を失ってたんだよ」

「…そっか、助けてくれてありがと」

「あー、いや、それがお前を助けたのは中年の男で…」

俺は周りを見渡す。駅員と高樹しかいない。

「その人は俺に任せるって言って行っちまったんだ」

「そっ、そうなんだ」

(間違いない、痴漢だ)

「えっと、それで何か連絡先とか?」

「いや、それが何も」

「そっか」

「まあ、同じ電車だから会うこともあるだろうし、会ったら礼を言えばいいんじゃないか?」

「うん」

駅員さんは僕らの会話を微笑んで聞いていた。

結局、今日は体調不良のため学園に行かず、俺は帰る事になった。

親切な駅員が、教師へのメモを書いてくれて、駅の改札で高樹と別れる。

「帰ったら必ず寝とけよ」

「うん」

一人になったホーム。

行きはあんなに混んでいたのに、帰りのホームは閑散としている。

(はぁ…凄かった…でも…)

電車内での快感を思うと痴漢の指の感覚が不意に戻ってきた。

(んんっ…足りない…)

今すぐオナニーしたい誘惑に駆られる。

そう思ったとき、カバンのポケットに見慣れない一枚のメモが入っているのに気がついた。

[×××-○○○○-××○○]

(何だ?電話番号?……あっ)

気がついた俺はすぐにその番号に電話をかけた。

「もしもし」

痴漢の声がした。

「あっ、あの…」

「ふふふ、まさか失神するほど気持ちよくなるとはね…どうして電話をしてきたのかな?」

「えっと…あの…」

「もっと欲しいんだろう?」

頭の中で先ほどの電車の中での快感が蘇る。

「………はぃ」

「わかった、まだ駅にいるのか?」

「はぃ」

「では、10分後に赤ん坊の世話もできるトイレが駅内にあるからそこに来なさい」

それだけ言って電話が切られた。

◇◇◇◇◇◇

9月24日(金) 午前9時 島津政信

(そんなトイレあったかな?)

そう思って探していると、男女のトイレからちょっと奥まったところに発見した。

(時間は…そろそろいいかな?)

「コンコンッ」

ノックするとガチャッと鍵の外れる音がして痴漢が顔を出した。

周りから見られないようにしながら入る。最近作られたのか、割ときれいで、大きな洗面台や赤ちゃんを寝かせる台などがあった。

洗面台の前に立った俺の後ろからさっそく痴漢が手を伸ばしてきた。

「今日はすごいイキ方だったな、周りの奴らも驚いてたぞ」

「えっ?」

(周り?)

「ああ、そりゃあんだけの声出してれば気づくだろ。写真を撮ってた奴も数人いたな」

カッと顔が熱くなった。

(見られてたんだ…それに写真まで…)

「ああ、心配しなくていいぞ。他の奴らがお前に手出ししてくることはない。こう見えてもこの業界じゃ有名なもんでな」

そう言いながらブラウスのボタンが全て外すと手際よくブラジャーが外されて、胸が晒される。

洗面台の大きな鏡には上半身を脱いだ俺の後ろから手が回ってくるのが映っていた。

じっくりと揉まれたあと、親指と人差し指が中心の突起を摘んだ。

「んあっ」

「大きい声は我慢しろ」

思わず出た声を痴漢がたしなめる。

「ふーむ、しかし、本当にスケベな体だな。ウエストはこんなに細いのに、胸だけが大きい。乳首はピンク色で思わずしゃぶりつきたくなるな」

「やぁんっ、言わないでぇっ」

乳首を摘まれたまま首筋を舌が這う。

「やっ、首はっ、んんんっ」

大きな声が出そうになって耐える。

「ほら、言ってみろ。自分の顔がどうなってるか」

鏡には頬を染めた少女が、興奮した目でこちらを見ていた。

「さ、言うんだ」

「興奮した…俺がいます…」

無意識に自分のことを俺と言ってしまった。

「まだ俺なんて言ってるのか?違うだろ?」

乳首をつねられて叱られた。

「んあああっ、はあんっっ、わっ、わたしですっ」

「よし、さあ、どうされている?」

「えっと、胸を揉まれて、乳首を弄られて、私、気持ちよくなっています」

「そうだな」

散々弄られて、ピンク色だった乳首が血流で少し赤みがかってきた。

「んん、胸ばっかり…」

「胸以外も触って欲しいのか?」

鏡の中の痴漢はニヤニヤと笑って俺の痴態を観察している。

「どこを触って欲しいんだ?」

(ああっ、また言わされる…)

「あの…オッ、オマンコを触ってください」

溢れる愛液が増えた気がした。

「いいぞ、よく言えたな。素直ないい子にはご褒美に触るところをじっくり見せてやる」

そう言って、痴漢はスカートを脱がせた。

パンツを履いていないせいで、全裸に靴下と靴だけという格好になる。

「よく見ていろよ」

そう言うと鏡の中の痴漢の片手が胸からスーっと降りていく。

白い腹の上を指が何度も脇腹まで回すように撫でたかと思うと、胸の谷間に戻る。

「ああっ」

俺が目を閉じると「しっかり目を開いて見なさい」と言われて強く胸が揉まれて目を開けさせられた。

そして焦らすように薄い陰毛を触られたあと、ついに指が股間に到達した。

足を少し開かされ、痴漢は片手の指で器用にオマンコを開かれる。

ツーっと透明の粘液が床に垂れた。

(愛液が…垂れてるぅ…)

「まだまだこれからだぞ」

次話 2周目 9月24日(金) 午前9時15分 島津政信
2014/08/29

2周目 9月24日(金) 午前7時30分 島津政信

2周目 9月24日(金) 午前7時30分 島津政信


「今日は良く眠れたか?」

高樹に聞かれて頷く。

実際には全然眠れなかった。

「あんまり寝てないんだろう?相談に乗ろうか?」

高樹の優しさには感謝しているが、どうしても言えない。

それに

(今日もパンツを履かずに来てしまった…)

太ももの内側を愛液が垂れた。

『電車が参ります』

『プシューッ』

「あっ、おいっ、高樹っ」

高樹の声が聞こえたが、俺は人の波に飲まれるふりをして電車の奥に入っていった。

(いたっ)

目の前には痴漢の姿があった。俺はフラフラと痴漢の前に立つ。

痴漢のニヤケた顔。

俺はその顔を見て………体の奥が疼くのを感じた。

『ちゅく』

「はぁはぁ…」

チラっと下を見た時にカバンの口から光るレンズが見えた。

(ああ…濡れてるのが全て撮られる…)

カバンを跨ぐ時に足が震えた。

「昨日1日触らないだけで…待ちきれなかったのかい?」

俺がカバンを跨ぐと痴漢が耳元に唇を寄せて話しかけてきた。

俺は首を横に振る。

「嘘だな」

肩に手を置かれて俺はビクっと反応する。

「昨日の朝はどうだった?」

俺は何も答えない。

「私に触られなくて寂しかったんじゃないかね?」

耳元で囁かれると同時に息が吹きかけられる。

「はぁはぁ…はぁはぁ…」

荒い息で俺は俯いたままだ。

「夜も寂しくて自分でしたんじゃないのかね?」

(どうして?)

なぜそこまで分かるのかと思わず顔を上げた。

痴漢と目が合う。慌てて目をそらそうとするが、まるで縫い付けられたように体が動かなかった。

「どうして欲しいんだ?」

痴漢の言葉に俺は何も答えられない。

「言わないなら…何もしないぞ」

見つめ合ったまましばらく俺と痴漢の間に沈黙が続く。

『ガタンッ、キキッ』

急ブレーキで乗客が動く。

俺の体が痴漢にぶつかった。見上げた俺の顔と痴漢の顔が触れるんじゃないかって言うほどの距離になった。

電車の揺れがおさまっても俺はそのままだった。

「おいおい、変に思われるんじゃないか?」

そう言われてハッと気づいた俺は慌てて離れようとした。

『ガタンッ』

再び小さく揺れる。

「あっ」

離れようとした矢先で、バランスを崩した俺は再び痴漢の胸の中に収まった。

(離れないと…)

そうは思うものの、揺れるたびに俺の胸の先が痴漢の体にぶつかりそうになるほど接近する。

サワサワっと胸の先が擦れることで昨日からジクジクと火種を抱えた体は反応し始めた。

『キキー』

その時、電車が駅で止まるために減速して、人ごみに押された俺の体が痴漢の体に押し付けられた。

『むにゅ』

ブラウスの胸元から深い谷間が覗く。

「んっ」

硬くなった乳首がブラジャーの中で擦れて甘い声が出そうになった。

それでも痴漢の方からは動かない。

(どうしてなんだ?)

駅に着いたみたいで、一旦乗客が減ったと思ったら、それ以上に混み合う。後ろからグイグイ押されて俺と痴漢が密着したまま電車が動き出した。

『ガタンッ』

(ああっ)

一度甘い感覚を味わってしまった後は揺れに合わせて胸を無意識に痴漢に擦りつけてしまう。

太ももを擦り合わせるようにしていると『つーっ』と愛液が垂れた。

(電車の中なのに…俺は…何をしてるんだ…)

そう思うが、やめることができなかった。腰も刺激を求めて痴漢の腰に擦りつけるように動く。

痴漢の顔を見上げると俺を見る瞳の奥に興奮の色が見えた。

(そろそろ触ってくるはず)

だけどいつまでたっても痴漢はそれ以上しなかった。

俺に指一本触ろうともしない。

(どうして…触ってくれないんだ…?)

俺の股間は溢れてきた愛液が垂れてきてもう我慢の限界だった。

『キーッ』

カーブで体が傾くのに合わせてついに俺は痴漢の背中に腕を回して抱きついた。

背伸びすると痴漢の耳元に唇を寄せる。

「…あの…お願いします…触ってください」

そう囁いた。

痴漢がニヤっといやらしい笑みを浮かべる。

「痴漢におねだりするなんてイヤラシイ子だ。だが、おねだりされてしまったから…仕方ないなあ」

そう言ってスカートの上から尻を触る。

(ああっ、きたっ)

「命令した通りにしてきているだろうな?」

頷いて俺は触られやすくするために腰を押し付けた。

スカート後ろから手が入ってきて、ゆっくりとたくしあげられる。

(ああっ…周りに見られてしまうっ)

恥ずかしいが、2日間焦らされたカラダは痴漢の手の感触の前に止めることなどできなかった。

何も履いていない尻を痴漢のゴツゴツした手が撫で回す。

(この手…オナニーでは味わえなかった感触…)

これからされることへの期待にゾワゾワっと鳥肌が立つ。

「オマンコはどうなっているんだろうな?」

痴漢の指が尻の割れ目に沿うようにしながらゆっくりと股間に近づく。

(オマンコに…くる…)

『ヂュプ』

「はぁっっ」

(はうっ、入って、きたぁっ)

「ほう、すごい濡れ方じゃないか、ふーん、太ももまで濡れているな」

恥ずかしいことを耳元で、囁かれて真っ赤に染まった耳たぶを舐められ、噛まれる。

(んあっ、耳はっんんん)

「ふぁっ、んんっ、言わないで…くだっんんんっ」

耳を噛まれるたびに体から力が抜ける。

「よし、ご褒美をくれてやる。口を押さえておけよ」

「はい…」

そう言って口に手をやった俺のオマンコに激しく指が入ってきた。

キュキュキュッと俺の膣が締まる。

痴漢の片手はクリトリスをしごき、もう片手の指が一本、二本と入ってきた。

「んんんんんんんっ」

激しい指の動きに瞼の裏で激しい火花が散った。

「ふっ、ふっ、ふっ」

痴漢の息も少し乱れる。

「イきたいのならイっていいぞ」

(ああっ、イクっ、イクっ、ダメになるっ、うっんんんあああああっ)

「んんんんんんんんんんっ」

深い絶頂が俺を飲み込んだ。

次話 2周目 9月24日(金) 午前8時45分 島津政信
2014/08/25

2周目 9月24日(金) 午前2時 島津政信

2周目 9月24日(金) 午前2時 島津政信

「んああっ」

俺はベッドの中で体を震わせる。

股間に入れた指がふやけて、白い愛液が付いている。

(自分の指じゃだめだ、こんなもんじゃなかった…)

俺の体は疲れきっているはずなのに、電車での快感を求めて、指が止まらない。

(こんなこと良くないのに…。せっかく痴漢に遭わずに済んだのに…)

今日は痴漢に遭わずに済んだのに学園に着いてトイレでパンツを履こうと股間を触ると凄い濡れ方だった。

(明日の朝は痴漢がいるだろうか…?明日、パンツを履かないで電車に乗ったら…)

俺の指が焦らすように太ももの付け根に触れた。

(ビデオカメラの入ったカバンが俺の足に置かれる。スカートの中は何も履いていない。開いた割れ目がはっきりとカメラに撮られる)

カメラのレンズに映る俺の割れ目。濡れたピンク色の膣肉の中まで見られる。

想像しただけで俺の体の奥から新しい愛液が溢れ出てきた。

俺の脳裏には今朝とは違って向かい合わせで痴漢に弄られる姿が思い浮かぶ。

(男の手はまず、胸を触るだろう)

俺の手が胸を包む。

『むにゅ』

パジャマの薄い生地の中で胸が形を変える。乳首が勃っているのがコリコリとした感覚でわかった。

(痴漢はきっと乳首の場所をすぐに見つけて摘んでくるだろう)

「はっんんっ」

乳首を摘んだ瞬間に興奮で体が震える。

(でも、声を出してはいけない…周りにバレるから…)

「ふぅんっ、んっ、んっ…」

(次にパンツを履いていないか確認される。ゆっくりと太ももを撫でて…)

俺の指が太ももの内側をゆっくり付け根に向かって動く。

「はっ、はっ、はっ」

激しい息遣いになってきた。

(そして…割れ目に指が入る)

「はあっ」

『チュクッ』

(指の動きは徐々に激しくなっていって…)

気が付くと目を閉じていた。

目の前には今朝の痴漢の姿が映る。少し出たお腹、いやらしく笑う顔。

(スケベなオッサンに体を自由にされて)

指が徐々に深く入る。

『チュプチュプッ、ジュプッ』

指が奥まで入ってかき混ぜる。

「んふぅっ」

妄想の中で電車の中にいる俺は唇を噛んで声をこらえる。

(我慢できずにイカされる…)

指を目一杯入れた瞬間に体がガクガクッと震えて目の前で光が点滅した。

「んああっ」

軽くイってしまったけど、俺の中にはまだ種火がくすぶっていた。

(だめだ…こんなもんじゃない…もっと…)

次話 2周目 9月24日(金) 午前7時30分 島津政信
2014/08/24

2周目 9月23日(木) 午前6時30分 島津政信

2周目 9月23日(木) 午前6時30分 島津政信


「んんー」

目覚めるとまだ朝の6時半だった。

昨夜結局寝たのは日付が変わってから。

まだ、股間に何かが入ったような感触が残っている。

(どうする…)

考えるまでもない。

(オナニーでは全然満足できなかった…)

シャワーを浴びて念入りに体を洗った俺はパンツを履かずに、カバンに入れた。

『ピーンポーン』

高樹が迎えに来て二人で駅に向かう。

(うう…スカートの中がスースーするな)

膝上丈のスカートの中は何も履いていない。かなり不安だ。

(誰も気づいてないよな?)

道行く人が俺を見ているような気がする。

「なんか…島津、女っぽくなったわね」

俺と話していた高樹が急にそんな事を言ってきた。

「ええっ、どこが?」

「うーん、どこがっていうか…なんていうか…恥じらいのある乙女になったっていうか…」

(確かにちょっと内股で歩いているけど…それはパンツを履いていないせいで…)

駅のホームで電車を待っている時、も通過列車の巻き起こす風に翻りそうになるスカートを思わず押さえる。

(これって…考えたらかなり恥ずかしいことしてるんじゃないか?)

今更ながら俺は恥ずかしくなってきた。

『2番線に電車が参ります、ご乗車の方は…』

電車が入ってきた。

今日もホームに入ってきた時点で電車の中は人まみれだった。

(電車に乗ったら、きっと連れ込まれて…今日は前からなのか、それとも後ろからなのか…)

俺の頭に後ろからスカートを捲られて直接弄られる映像が思い浮かんだ。

(カバンの中から何も履いていないスカートの中身を撮られて…ゆっくりと焦らすように指が這い上がってきて…)

電車から乗客が降りたあと、俺たちが乗り込む。

(…あれ?)

電車のドアが開いて乗り込んだが、手を掴まれることもなく、高樹と向かい合わせでドア付近に立つ。

(どこからくるんだろう?)

期待しているつもりはなかったが、なんとなくガッカリしている自分に気がついた。

(うわっ、俺は何を考えていたんだ…むしろこれで痴漢に遭わなくなったほうが良いのに…)

ちょっと冷静になって考えるが、どうも落ち着かない。

「何を探してるんだ?」

周りをキョロキョロと眺めるのを高樹に指摘された。

「えっ?いや…ううん…なんでもないよ」

そう言って…だけどスカートの中が少し濡れていた。

『間もなく○○駅』

アナウンスが流れる。

結局痴漢は出なかった…。

◇◇◇◇◇◇

2周目 9月23日(木) 午前7時40分 高樹美紗

目の前の島津がきょろきょろと落ち着かない。

「何を探してるんだ?」

そう尋ねても何でもないと言うけど…。

朝迎えに行った時から島津は様子がおかしかった。

まだ寝不足なのか顔色が悪いっていうよりも病的な白さだ。

もともと人形のような整った顔が、さらにはかない美しさを纏わせている。

しかし、一方で女らしくなったというか、恥らいを帯びた仕草に加えて、体からにじみ出るような色気がある。

その危ういバランスが男を惹きつけるのだろう。周りの男たちから昨日まで以上に熱い視線を受けている。

(この視線に気がつかないのも一つの才能よね、そういえば部活のマネージャーなんて完全に島津にラブラブなのに気がついてないんだから。気づかないふりをするのも大変なのよ)

『ガタン』

「あっ」

島津の体がアタシにぶつかる。

『ムニュ』

胸がアタシの腹の上に当たる。

(あれ?)

そう思って島津のウエストを両手で掴む。

「ひゃんっ」

「ちょ、ちょっと、おっきい声出さないでよ、痴漢と間違えられるでしょ」

予想外の大きな声に驚いたアタシは耳元で注意する。

「だって、いきなりお前が変なとこ触るから」

島津もコソコソ言う。

(でも、やっぱり…)

ウエストが少し細くなっているように感じた。

そしてそれとは逆に胸のサイズは少し大きくなっているように感じた。

(うーん、ウエストが細くなったせいで胸が大きく見えるのかな…でも元の体の持ち主であるアタシが大きくなったと思うんだから…)

そう思って胸を凝視していると、島津が胸を両手で隠すようにして恥ずかしそうにこっちを見ていることに気がついた。

血が下半身に向かってムクムクと大きくなるのに気がついてアタシは慌てて目を逸らした。

次話 2周目 9月24日(金) 午前2時 島津政信
2014/08/24

旅立ちの日

そして次にルシオさんのお店に行く。

「おっ、アオイちゃんっ、ってえええええっ」

ズルズルと引きずってきた毛皮の数にルシオさんの目が点になった。

僕は革袋から牙と銀狼の毛と小瓶を出した。

「買取をお願いします」

「あ……ああ。数えるから適当に待っててくれよ」

待っている間、僕は一度ルシオさんの店を出て他のお店を回ろうと歩き始めた。

(「主殿、何を買うつもりなんじゃ?」)

(「えっと、水とか、干し肉とか?長い旅になるわけだしさ」)

(「そのようなものは要らないのではないかえ?」)

村正は何を言ってるんだと言う様子だ。

(「どうして?」)

(「銀狼に乗っていけば良いではないか」)

うーん、と僕は腕を組む。

(「主殿はまだ銀狼が許せぬのか?」)

(「そりゃそうだよ。町の人を傷つけて、そんな簡単に許せるわけないじゃないか」)

(「じゃが、あの銀狼の言うことも一理あるぞえ。人間も食べるために生き物を殺し、自衛のため、素材をとる為に魔物を狩る。銀狼のやったことと何が違うのじゃろう?」)

村正の言葉は僕を悩ませた。

(「うーん、そう言われると…うーん…」)

(「では、こう考えるとどうじゃ?銀狼を利用するのじゃ。馬車の代わりに使うのじゃ」)

(「うーん…」)

「おーい、アオイ君」

村正と話し込んでいたらルシオさんが店の前で呼んでいた。

店に戻るとカウンターには毛皮と牙、銀狼の血の入った瓶に分けられている。

「18頭分の毛皮が120万イェン、銀狼の毛は300万イェン。あと血は売らないほうがいい」

「どうしてですか?」

「銀狼の血は万能薬になるんだ。末端価格で500万はくだらないから持っときな」

ルシオさんはそう言って大切そうに瓶を僕に返してくれた。

(「へぇ、そんなにすごいのか…あっ、そうだっ」)

ルシオさんに待ってて、と叫んで僕は町長さんの所に戻る。

「おや、葵君、どうしたんじゃ?」

「町長さん、これ飲んでみてください」

そう言ってコップに銀狼の血を入れた。

「そっ、それはいかんっ、葵君、銀狼の血の効果を知っておるのか?」

「はい。だから町長さんにぜひ飲んでいただきたくて」

「こんな老いぼれのために…ありがとう、ありがとう…」

町長さんは涙を流して一口飲んだ。

光が町長さんを包む。

そして光が収まった時、町長さんの傷は完全に治っていた。


◇◇◇◇◇


次にジェイクの家の前で僕は悩んでいた。

(なんて言ったらいいかな?うーん。)

ああでもないこうでもないと、ドアの前で立っているといきなりドアが開いて顔をしこたま打つ。

「いったぁい」

「何を人の家の前でウロウロしてんだ?」

ジェイクだった。

おじさんとジェイクと向かい合うようにして座ると、僕は話を切り出した。

村正を手に入れた話と呪いで女になってしまったことも。もちろん他言無用でお願いした。

「なんてこった…」

デレクさんは政信さんに合わせる顔がないと頭を抱えている。

それとは対照的にジェイクは何も言わず、じっと僕の話を聞いていた。

そしてしばらくしてジェイクの口が開いた。

「それで、お前は強くなって戻ってきたら今度は倭国に向かうんだな?」

「うん。あと、この呪いを解く方法も探したいし」

「わかった。お前が帰ってくるまでに俺も倭国まで行ける船乗りになっておく。お互い頑張ろうぜ」

「うん、ジェイクも無理しないでね」

デレクさんからはくれぐれも気をつけるように言われ、餞別に魚の干物をもらった。

僕は銀狼の血の残りを渡して、僕が帰ってくるまで元気でいてくれるよう頼んだ。

◆◆◆◆◆


ついに旅立ちの時が来た。

お父さんの時と同じように、いや、方向は逆だけど…森の入口で皆とお別れをする。

ジェイクの姿をキョロキョロと探すけどいないようで、おじさんに聞いても「あいつ朝から姿が見えねぇんだ」といらついていた。

ジェイクが来てくれなかったのだけが残念だったけど、仕方ない。

「では、気をつけて行ってくるんじゃぞ。あと、必ず生きて戻ってきておくれ」

町長さんからは嬉しい言葉と、ギルドに出す書類を準備していてくれた。

「どこでもウチの店に来てくれたら、これを出してお金を出してもらうんだよ」

ルシオさんは大金を持ち歩くのは危ないから、と今回の買取金額を本店でもらえるようにしてくれた。

「あんたみたいな可愛い顔してたら、人さらいに捕まっちゃうんじゃないかねえ」

などとおばちゃんに心配されて苦笑しながら挨拶をして回る。

最後におじさんに「行ってくるよ」と言った時にジェイクが息を切らせて現れた。

「ジェイクっ」

おじさんが何か言おうとするのを遮って僕の近くに来る。

息を整えるようにはぁはぁと肩を上下するジェイク。

「来てくれないのかと…」

「そんなわけあるかよ」

そう言ってジェイクは握った手を出した。

(?)

手のひらを出すと、大きな真珠が現れた。

「時間がなくて加工はできなかったけど、最高級の真珠だ。お金が無くなったら売ってもいいし、好きに使え」

「うっ、売る訳無いじゃんっ、ありがとう。ずっと持ってるから」

ちょっと涙が出た。

ジェイクは鼻を一度すすると俯いて僕の目を見ずに

「元気でな。待ってるぜ」

そう言って握手をした。

「行ってきまぁす」

「「「「「元気でなぁっ」」」」」

皆に見送られて僕は森の中に入っていった。


◇◇◇◇◇


しばらく歩いたところで銀狼がいつの間にかついて歩いてきているのに気がついた。

(「ところで主殿、どこに向かうつもりなんじゃ?」)

(「うーん、できるだけ大きな街がいいなあと思ってるんだ。もしかしたら男に戻る手段も見つかるかも知れないし。だからとりあえず一番近いロゴスっていう街を目指すつもり」)

(「主殿はまだそのようなことを言っておるのか。じゃから、死ぬまで無理じゃと言うておろうに。それでロゴスまではどれくらいかかるのじゃ?」)

地図を出して方角を見ると大きな山の向こうにあるようだった。

(「遠いのぉ」)

(「何言ってるのさ。そのために色々持ってきたんじゃないか」)

背中に背負った大きなバックパックには干肉や魚の干物、それに水や着替えが詰め込まれている。

「さあ、頑張っていこうっ」

…数時間後

(「…村正…ここどこなんだろ?」)

道に沿って歩いていたはずが、段々道幅が狭くなって気がつけば森の中の獣道になっていた。

(「妾に分かるはずなかろ?はあ…。主殿がこんなに方向音痴とは…」)

チラッと振り返ると普通の狼のサイズになった銀狼が付かず離れずついてきている。

(「のう、主殿…」)

(「ダメっ」)

村正が言わんとすることは分かっている。銀狼に乗ろうというのだ。

(「もうすぐ日も暮れるぞえ。野営の準備をした方が…」)

(「もうちょっとだけ、地図によるともう少しで川に出るはずなんだ」)

だけど、梟の鳴き声が森に響く時間になっても川どころか水溜まりにも出会わなかった。

『パチパチ』

森の中の少し広くなったところで、僕は一日歩き通して疲れた体を休めることにした。

たき火の明かりをぼんやり眺めながら僕は物思いに耽っていた。

(地図通りに歩いたのに…何が悪かったのかな…?)

(「主殿は地図の通りに歩いておらんからこのような事になったのじゃっ」)

即座に村正から突っ込まれる。

(「のぉ、主殿…」)

(「ダメだよ。そんなことしたら銀狼を連れて行くことになるじゃんっ」)

チラッと横目で窺うと、木の陰にゆったりと銀狼が眠る姿があった。


◆◆◆◆◆


「今日こそはっ、まずは街道を目指すよっ」

日が上ると元気を出して再び歩き始める。

(「大丈夫かのぉ?」)

(「大丈夫っ、森の中は目印を見ながら歩けば良いんだよ。方角的には向こうだから、よしっ、あの尖った山に向かっていくよっ」)

村正の心配をよそに歩き始めた僕は昼過ぎにお昼休憩をとることにした。

「ちょうど、広場があるからここでお昼ご飯を食べようっ」

(あっ、ちょうど火を焚いた跡がある…あれ?)

(「むっ、村正…」)

(「主殿…」)

そこは今朝出発した広場だった…。

(「主殿…」)

(「ううう…分かった…分かりました。夜まで頑張って無理なら銀狼にお願いしますっ」)

で、結局夜になった。

(はぁ、またここで野宿かぁ…明日は銀狼にお願いして…はぁ)

布を体に巻いて星空を見上げる。

(「主殿、この旅の間、魔物に出会わないことに気づいておられるかえ?」)

(えっ?)

そう言われれば魔物どころか危険な動物にすら出会っていなかった。

(「ほんとだ…でも、どうして?」)

(「おそらくじゃが、銀狼が見張っておるからじゃろ」)

銀狼は大木の切り株の上で寝そべっている。

(僕が安心して眠れていたのは銀狼のおかげだったんだ…はぁ…何も気付かなかった…)


◆◆◆◆◆


「ねえ、銀狼…っと、いつまでも銀狼じゃ良くないね」

「オレハ、ナンデモイイゾ」

「えっと…そうだなあラルフ・シルバーなんてどうかな?ラルフって狼の意味が有るって聞いたことあるし」

「ヨイナマエダ、アリガトウ」

「じゃあ、ラルフ、ロゴスまでどれくらい時間がかかる?」

「フム、アスマデニハ」

「じゃあ、どっかでもう一泊はしないとね」

僕はラルフの背に乗る。

「それじゃあラルフ、お願い」
2014/08/24

旅立ちの決意

(んん…気持ちいい…)

ふかふかした感触に包まれて目を覚ました。

「ん…」

さわさわと撫でる。柔らかい毛の感触。

(毛…?)

脳裏に昨夜の狼たちとの戦いが、そして、銀狼との命をかけたやりとりが一瞬でよみがえる。

「うわあっ」

僕は飛び起きると同時に村正を抜き放って目の前に座っている銀狼、刃を目の前の敵に突き刺した。

『ズブッ』

「お前のせいでっ」

僕は力任せに刃を押し込んだ。

「アルさんもっ、町長さんもっ」

村正の刃を伝って銀狼の血が流れ落ちる。

突き刺しているのは銀狼の胸の辺り。もう一押しするだけで命を奪うことになるだろう。それなのに銀狼は身動き一つしない。

(…どういうつもりなんだっ?)

警戒しながら見上げた僕の前にあったのは、落ち着いた銀狼の瞳だった。

「…コロストイイ」

「え?」

予想外の言葉ではあったけど、その瞳は騙したり、何かたくらんでいるようなものではない。全く理解できないけど、覚悟のようなものが見える。そしてその眼が、僕の心の中にあった怒りの炎を小さくした。

「どうしてっ?」

「オレノ、ケンゾクガ、ヤッタコト。イキルタメトハイエ、オマエヲ、ナカセタ」

「えっ?何を言ってるんだ?」

僕の手は銀狼の血で真っ赤に染まっている。

「オレハ、オマエヲ、ハンリョニスル」

(…俺は、お前を、ハンリョにする?ハンリョ?)

(「伴侶じゃな」)

突然村正の声が頭に響いた。

「ええっ、なっ、なんでっ?」

(「昨夜はお楽しみでしたな?主殿」)

(「えっと…昨夜?」)

そして僕は最初から最後まで思い出すこととなった。最後の方は色々と意識がないところもあったけど。

「うわぁぁぁっ、村正っ、なんで助けてくれなかったんだよっ」

思わず村正を引き抜いて刀に向かって叫んでいた。

(「妾も主殿のために無理したせいでしばらく力を失っておったんじゃ。むしろ、あんなことは妾以外には不可能なんじゃからな」)

「でもでもでも」

真っ赤になって挙動不審になった僕に銀狼が話しかけてきた。

「オマエハ、オレノ、メスダ。オレガマモル」

(いやいやいや、「オレノ」って…狼のお嫁さんになるとか、無いから、絶対無いから…って)

「ちょっと待ってよっ、そもそも僕は怒ってるんだっ、町長さんや、ロイも…それにアルさんなんて…幸せに暮らしてただけだったのに…」

そう言っているとまた思い出して僕の目に涙が滲んだ。

「全部お前のせいで…うぅっうわぁぁん」

僕は泣きながら銀狼を殴る。銀狼は何も言わず僕の拳を受けていた。

それから、しばらく泣いて怒った僕は疲れて座り込んだ。もうわけがわからない。この銀狼をどうすればいいのか、自分がどうしたいのかも分からなくなった。

(僕はどうしたら…)

確かなことは刃を受け入れた銀狼の覚悟が本物だったということ。そして、それを心の中で理解してしまった僕は、もうこの銀狼を殺す気がなくなってしまったということだけだった。

「オマエハ、コレカラ、ドウスルンダ?」

「えっ?ああ…僕は倭国にいる父さんを助けるために強くならないといけないんだ」

突然の銀狼の言葉に思わず答えてしまった。

「オレモ、ツイテイク」

「何言ってるんだよ、ダメに決まってるだろっ」

ちょっときつい口調だったかな、と思ったけど、銀狼は全く気にしてないようだった。

(「主殿、妾は連れていっても良いと思うぞえ。この銀狼は主殿を裏切ることは考えられんし、役に立つじゃろう」)

(「ちょっと、村正は黙ってて」)

「ダイジョウブダ。オレガ、カッテニ、ツイテイクダケ。ワコク…ナツカシイ。オレモ、イク」

「そんなこと言っても、その姿じゃ無理だから」

「モンダイナイ」

そう言うと銀狼の体がどんどん小さくなって、それから人間の姿になる。

長い銀髪の長身の青年。顔も美形だ。

「これでどうだ?」

人間の姿になったせいで話しやすいのか、言葉も急に流暢になり、聞き取りやすくなった。

(ええっ?)

(「これくらいは出来ぬわけなかろう。この銀狼は妾が見たところ相当長い時間を生きて力を持っておるからの」)

村正は色々知っていたようだ。

「その刀…村正…」

僕の刀を見て銀狼が呟いた。

(「ほう、妾のことを知っておるのか」)

「なんで知ってるの?」

「懐かしい、昔聞いたことがある…」

(銀狼は倭国にいた事があるのかな?)

いやいや、ブンブンと頭を振る。

「ダメダメ、そんな姿になっても僕は連れていかないよっ」


◇◇◇◇◇


さて、僕は町に戻ったその足で早速町長さんのお見舞いに向かった。

町長さんの家は半壊しており、息子さんの家にいるはずだ。

(銀狼のこと…何て説明しよう…)

僕が着いた時にちょうど何人かの人がお見舞いに来ていたのでしばらく待つことにした。

「おうっ、アオイじゃねぇか」

「おはよう、ディック」

僕は声でバレないようにわざと低めの声を出す。

ディックは町長さんのお孫さんで学校に通っているときはちょくちょく僕に絡んできて面倒な奴だった。

ディックも20歳になって、脂ぎった顔がテカテカと光っている。

「爺ちゃんの見舞いに来てくれたんか?」

そう言いながら近づいてきた。僕を見るその目つきは先日のハンター達と同じだ。なんだか背筋が寒くなった。

(やっぱり後にしよう)

「いや…うん、でもまた後にするよ」

僕は一旦帰ろうとクルッと振り向いた。

「おいおい、少し待ったらいいじゃねえか?久しぶりに会ったんだしよお」

ディックが僕の腕に手を伸ばしてきたその時、ドアが開いてガヤガヤと見舞いの一団が出てきた。

「チッ」

ディックが舌打ちをして僕の肩に手を置く。

「爺ちゃんならその隣の部屋にいるからな」

ディックはそう言いながらなかなか手を離さない。揉むような手つきに鳥肌がたった。

(「アオイ…しばらく見ないうちにますます女っぽくなったな。もう男でも関係ねえ。今度酒でも飲ませてヤっちまうか…くくく」)

村正の力が発動してディックの考えが頭に入ってきた。

(うわあ…こんなこと考えてたのか…)

「じゃあ」

ディックから逃げるようにして僕は町長さんの部屋に入る。後ろを窺うとディックがどこかに急いで向かうのが見えた。

(ああ…発情しちゃったんだね…)

(「主殿も我が力の使い方を分かってきたようじゃな」)

(「へ?」)

(「発情させようと力を込めれば普段よりも発情させられるのじゃ」)

(「そうなんだ」)

どうやら無意識に力を出したようだ。

(「この調子なら妾が顕現できる日も近いやもしれんなぁ」)

「おはようございます」

「おお、葵君」

町長さんは僕の姿にベッドから起き上がろうとして顔をしかめた。

「町長さんっ、寝ててください。でも、重症って聞いてたんで安心しました」

顔だけをこちらに向けて町長さんが何とも言えない顔をした。

「儂もなんとか生きながらえたようじゃ…じゃが、まだ魔物が…」

町長さんがため息をついた。

「えっと、その事なんですが…」

『バンッ』

僕が話そうとすると、大きな音を立ててドアが開いた。ドアの向こうから町長さんの息子さん、ディックのお父さんが息を荒げて部屋に入ってくる。

「葵君っ、葵君っ?」

僕を見るとものすごい勢いで近づいてきた。

「今、父さんの家の前で毛皮を見てきたが、まさか、すべて退治してくれたのかっ?」

町長さんが驚いた顔で僕を見る。

「はい。灰狼、黒狼は全て倒しました。それに銀狼も逃がしましたが、もう戻ってくることはありません」

「まさか…?」

町長さんの驚いた顔。

毛皮は町長さんの家の前に置いてきたけど、僕は牙を革袋から取り出す。それに銀狼の毛と小さな瓶に入れた血を出した。

「た…確かに…これは銀狼の毛だが…しかし、葵君、一人でやったのか?」

町長さんの息子さんが言う。

「はい。ただ、ちょっと…」

僕は人払いをお願いして町長さんと二人になる。

そして村正を体から出した。

「おお…葵君もついに刀を…」

町長さんは嬉しそうに目を細める。

「実はこの刀が妖刀で、その呪いで僕、女になってしまったんです」

「な、なんとっ」

「ですので、呪いの解除方法を探す旅に出ようと思います。それにまだまだ父さんを手伝いに行くには力不足ですし…」

「そうか…」

町長さんはしばらく目を閉じて考えているようなそぶりを見せる。

「仕方ないことじゃが、寂しくなるのぉ、では、せめて儂が治るまではいてくれんか?」

「わかりました。僕も準備がありますので」

出るときにチラっと見た町長さんの顔は寂しそうだった。
2014/08/24

力の反動

一度村正を鞘に戻して意識を集中する。

五感をフルに使って銀狼と対峙した。

「ワガ、ケンゾクヲ、コロシタ…コノイカリ、シデツグナウガイイ…」

低い、地面が震えるような声が銀狼の口から漏れた。

「しゃ、喋ったっ」

(「主殿、魔物とは呼ぶが、こやつら銀狼は長き時を経て能力が格段に上がったもの、人の言葉程度は話せるぞえ」)

「ム…オマエ…イツゾヤノ…ボウズ…イヤ…メスナノカ?…フンッ、ドチラデモイイガ」

僕はそれに答えず、一歩前に出た。

(これだけ大きかったら一撃では両断できない。まずは足を切って動きを止めるっ)

爪で来る攻撃に合わせて脚を切ろうと身構えるが、なかなか銀狼は動かない。

お互いに動かないまま時間ばかりが過ぎる。

「ハッ、ハッ、ハッ…フッ」

銀狼の息遣いが変わった。

(来るっ)

そう思った瞬間に銀狼が飛び出した。

(まずは脚だっ)

僕は横に飛びながら脚を切ろうと抜刀。

肉を切る感触。

(やった…)

「グヌゥゥッ」

着地した銀狼が前脚を見る。

(もう一度だ)

そう思って刀を下段に構えたところで、僕の体に異変が起こった。

「ぐっ…ううう………あんっ」

甘い声が出る。

「なんだこれ…体が熱い…村正っ…」

(「主殿、まずいのじゃ…まだ体が慣れておらぬ主殿が妾の力を使いすぎたのと、戦いによる興奮で発情が暴走しとるのじゃ」)

銀狼も僕の異変に気づいたようだが、先ほどの一撃もあり、容易には近づけないようだ。

僕の方は服が触れているところがまるで愛撫されているように感じる。

「んはぁぁあっ」

『ドサッ』

草の上に転がった僕はシャツを脱ぐと、胸を押さえる包帯がもどかしく、破くようにして外していく。

「オノレ…ナメテイルノカッ」

銀狼は怒り、こちらに突っ込んでくるが、僕はそれを気にする余裕もないほどの快感に飲み込まれていた。

「ふう、主殿……仕方ないのぉ」



◇◇◇◇◇


銀狼は驚いていた。

そもそも自分が切られたのは何10年ぶりか、いや、100年以上前かも知れない。続いて心に湧き出たのは喜び。

自分を傷つける存在が現れたことに心が躍った。

ところが、追撃をすることもなく相手が服を脱ぎ始めたのだ。

観察しているとどうやら発情しているらしい。

その時銀狼の中に膨らんだ感情…怒り

長い間、好敵手と言えるような相手もいない、つまらない生活の中で久しぶりに血が沸き立ったのがこのような形で終わるとは。

(つまらん…)

腕を振るって終わり。そう思って近づいたとき草むらに落ちていた刀が光を放ち、光の中から先ほどの少女とは別の牝が現れた。

先ほどの少女とは違って妖艶な大人の牝だ。

「ドウイウコトダ…?」

「こんな良物件の主を失うわけにはいかぬのでな」

手の平を自分に向ける女。

『ドクンッ』

血が沸き立つ。

「グゥ…オンナ…ナニヲシタ?」

にやりと笑って女が消える。

『ドクンッ、ドクンッ』

心臓の鼓動が激しく鳴る。

「グッ」

血が股の間に集まる。

脚の間を見れば肉棒が隆々と勃っていた。

(おかしい…発情期はまだ先のはずっ)

だが、心とは裏腹に、種を出したい欲望に囚われた身体は足元でうずくまる少女を捉えた。

少女の体から漂う甘い匂いが興奮させる。

だが、銀狼の肉棒は少女の体ほどの大きさがある。このままでは挿入することなど不可能だ。

銀狼は一声吠えた。

するとその体は小さくなり、少女の倍ほどの大きさになった。

少女をうつ伏せに転がすと、銀狼は己の股間を少女の股の間に突っ込む。

熱い肉壺の入口がヒクヒクと蠢いて、銀狼の大きな肉棒に吸い付いた。

『ギュリッ』

無理やりねじ込むと少女が叫ぶ。

しかし止まることなどできない。

体中の細胞が交尾を望んでいた。

肉棒をギュッギュッと押し付ける。

その度に少女の口から泣き声のような高い音がでた。


◇◇◇◇◇


「いたぁぁぁあああっ」

葵は自分の声で我に返った。

後ろから激しい息遣い。

(ま、まさか…)

銀狼が前足で背中を踏みつけるようにして後ろから腰を押し付けていた。

「い、いやだぁっ」

逃げようとするが、銀狼にがっちり押さえ込まれていて逃げられない。

少し抜けた熱い杭が再び突っ込まれる。

「いたぁいっ」

嫌がっても銀狼は止めるつもりは無いようだった。

「いたっ、いぃぃ…やめてぇぇっ」

(痛いっ、痛いっ、やめてっ、ううっ)

さらに銀狼の肉棒が子宮を開くかのように奥をグリグリと押す。

「いたっ、いやぁぁっ、んっ、んっ、はぁんっ」

先程まで痛いだけだった感覚に甘い感覚が混じる。

葵は自分の口から出た声が信じられないというように口を押さえる。

(なんで…)

銀狼はそんなことに何の興味もないように腰を押し出した。

奥が押されるたびに口から喘ぎ声が漏れる。

「んっ、んっ、んっ、んっ」

葵は手で口を押さえるが、銀狼の疲れを知らない抽挿に声が止まらない。

それどころか逃げようと腰を動かした結果、お尻を突き上げるような形になってしまい、ますます激しく膣内を突かれることとなった。

(やぁんっ…深いぃ)

「これ…いじょうはダメぇっ、ああっ、やあんっ、イっちゃうっ、イっちゃうよぉっ」

銀狼の攻めについに葵の抑えていた我慢が限界に達した。

「ああっイクイクイクっ、イっちゃうぅっ」

ガクガクと体が痙攣する。膣肉が肉棒をしごくように激しく動く。

だが、それでも銀狼は射精しなかった。

「えっ、あっ、まだしゅるのっ、ああっ、だめっ、いま、しゅごい、んああっ、びんかん、ひゃんっ、だからぁっ、いやぁっ、またイクっ、あっ、イクっ、イクよぉっ」

銀狼の責めに何度も絶頂を味わう葵。

もう意識がなくなる、そう思ったときに、急に銀狼の動きが止まった。

(終わり…?)

そう思った瞬間、体の奥に熱い精液が吐き出された。

「んああああああっ、あつぅいぃぃっ、ああっ、やだっ、なかでっ、しゅごいっ、しゅごいっ、あちゅいの、あふれりゅ、あっ、あっ、あっあああああああっっ」

『びくんっ、びくんっ』

銀狼の体が震えて、射精が続く。

「ひゃぁんっ、まだ続くのぉっ、あっああっ、イクっ、あっ、しゅごいっ、ああっ、んああああああっ」

葵のお腹が銀狼の精液で膨らむ。

葵は犯され始めて何度目かの痙攣をして意識を失った。

しばらく銀狼は葵の上で射精の快感に震えていたが、全て吐き出して肉棒を抜く。

意識を失った葵の膣からはドロドロの精液が溢れ出た。



次話 旅立ちの決意
2014/08/24

狼への反撃開始

「ちょっと村正?」

(「ほほほ、主殿、面白いものを見せてもらったの」)

「いろいろ聞きたいんだけど」

(「しょうがないのぉ。言うてみよ」)

怒り気味の僕の言葉に村正はなぜか上から目線で答える。

「なんで僕、女の子になってるの?」

(「それは先程も言ったじゃろうに?妾の力を最大限に使うために体が変化したのじゃ」)

聞いていなかったのかと言いたげな不満げな反応。

(いやいやいや、その態度おかしいよね?)

言いたいことは色々あるけど、グッとこらえて質問を続ける。

「えっと、これっていつまで?」

(「ふむ、死ぬまでじゃな」)

「ええっ?ちょっとだけ男に戻るとか…」

(「無理じゃな」)

当たり前の事だと言わんばかりの即答に血の気がひいた。

「どっ、どうしようっ…」

(「大丈夫じゃ。主殿は元が元じゃからほとんど変わらんぞ」)

「そんなの全然フォローになってないよ…」

頭を抱える僕に村正が話を続ける。

(「さらに主殿は妾のチカラで歳をとらない体になったのじゃ」)

「不老不死?」

(「それはちょっと違うぞえ。過去の主殿の中には拷問されて死んだものや世を儚く思って自殺したものもおるの」)

「つまり、死ぬのは死ぬんだね」

(「そうじゃ。他に質問はあるかの?」)

「あとは…村正は誰でも抜けたの?」

これは僕が一番聞きたかった質問の一つだった。

(「そうではない。主殿と妾の波長が合っておったからじゃ。主殿に出会うまで100年以上待っとったからの」)

(なるほど…じゃあ、やっぱりこの刀が僕の運命の刀だったんだ…)

「はぁ」

僕はなんとも言えない想いにため息をついた。

(「しかし、悪いことばかりではないぞえ。すでに主殿も体験したように五感が限りなく鋭くなったじゃろ?それに、主殿はまだ妾との波長が完璧ではない故、触ったものの気持ちしかわからんようじゃが、波長が合うにつれて周りの人間の考えていることが読めるようになるのじゃ。さらにその先も…ほほほ」)

(確かに、相手の考えが読めるようになれば戦いでは敵なし…いや…でも女になってしまうなんて…)

僕はそんな風に考えていて、ふと気になったことを口にする。

「ところで、呪いって女になってしまうだけ?」

不老で五感も鋭くなって、周囲の考えまで読めるのに、対価はそれだけでいいのか。いや、女の子になるだけで充分酷いけど。

(「うむ。…ああ、それ以外にもあったぞえ。これはある程度制御できるのじゃが、妾の力を使うと発情するのじゃ」)

「へ?」

(はつじょうって…?えっと…発…情…?)

(「おそらく、今頃は先ほどの男も…ほほほ、聴こえるぞえ」)

僕は不審に思って耳をすます。

(「何でだ…体が熱いっ、くそっ止まんねぇっ」)

ジェイクの声と『クチュクチュ』という擦る音が聴こえる。

「これって…まさか…」

(「そうじゃ、主殿も罪作りよの」)

「??」

意味がわからないけど、ジェイクのかすれたような声と擦る音を聞いているとなんだか体が熱くなってきた。

(「ほほほ、ところで主殿、顔が赤いようじゃが?」)

「い、いやいやいや、村正ってば何言ってるの?」

(「仕方ないのじゃよ、主殿は先程から何度も妾の力を使っておるからの。発情しとるのじゃ」)

「へ?」

そう言うと急に村正の気配が消えた。

「村正?ねえっ」

村正は完全に消えてしまったようだ。

(「はぁ、はぁ、くぅっ」)

ジェイクの吐息がまるですぐ隣にいるかのように聴こえる。それを聴いているとなんだか僕まで息が荒くなってきた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

(体が…おかしい…)

見下ろすと、シャツのボタンが今にも弾け飛びそうなほどパツンパツンになっていた。

「ゴクリ」

苦しそうな胸のボタンを外す。

『ボロン』

二つの乳房が締めつけから解放されて飛び出した瞬間、ピンと勃った乳首がシャツと擦れた。

「ふぁっ」

思わず出た声はまるで女の子のようだ。

(なに?…この感覚…ん…柔らかい…)

僕は恐る恐る胸に触れた。そして一度揉み始めたら最後、止まらなくなった。

「んっ、なにっ…これ…おかしいっ、あっ、声がとまんない…んはぁっ」

(「はぁ、はぁ、はぁ」)

ジェイクの吐息が耳に吹き掛けられる感覚に体が震えた。

今度はズボンを脱いでパンツに手をいれる。

『くちゅっ』

「はぁんっ」

(何これ?すごいっ)

すでに股間がお漏らしでもしたかのように濡れていた。

(「くぅっ、擦れば擦るほど気持ちいいっ」)

ジェイクの声が聴こえる。

僕は指で割れ目の上をこねる。

「きゃんっ、なにこれっ」

両手が胸と股間をそれぞれ愛撫する。

(僕の体なのに…勝手に動いちゃうよぉっ)

僕の指は触るたびに気持ちいいところを見つける。

ダメだと思っても指がクチュクチュと動き回る。

(「くそっ、今日はなんでこんなに、葵っ、はぁっはぁっ、イキそうだっ」)

「あんっ、おかしくなるっ、おかしくなるぅ」

「「イクぅッ」」

(『ドピュッ、ドピュッ』)

顔にかかるんじゃないかっていうくらい至近距離でジェイクの射精の音を聞きながら僕は絶頂に達した。


◆◆◆◆◆


深夜、僕はこっそりと家を出た。

何もしなくても、シャツに胸が当たって感じてしまうから包帯を体に巻いていつものズボンとシャツを着た。

「村正」

僕が呼ぶと手から村正が現れる。

(「主殿、どちらへ?」)

「今から銀狼を狩りに行くよ」

(「銀狼…懐かしい名じゃな」)

月明かりの中、森の中を歩く。

(「ふむ。主殿、見られておりますぞ」)

(「えっ?」)

僕も五感を集中すると耳元で狼の息遣いが聞こえた。

パッとその方向を見ると赤い目が光っている。

(「主殿、いかがする?」)

(「もちろん全滅させる」)

僕の答えが気に入ったのか村正が嬉しそうに笑った。

(「封印から解き放たれた直後にこんな楽しいことになるとはの…主殿で良かったのぉ」)

息遣いが近づいてきた。

気配を隠しているつもりだろうが、今の僕には手に取るようにわかる。

右から五、いや六頭、前からも二頭、それに後ろの藪に四頭隠れているか。

(さあ、来いっ)

狼の呼吸が一度大きくなった瞬間右に向かって村正を抜刀した。

「ギャッ」

まさか先手を越されるとは思っていなかったのだろう、最初に突っ込んできた一頭の顔が半分に切れた。

さらに次々に飛び込んで来る狼をなで斬りにする。

「ハッ」

後ろから激しい息遣い、振り返りざまに刀を横にして切りつける。

(前から来ていた二頭も近い)

刀の重みと遠心力を利用して弧を描くように後ろから突っ込んできた狼も一刀両断。

ダンスを踊るようなステップが終わる時には、付近は狼の死体で溢れていた。

「ふぅ」

僕は一息つく。

(全然切れ味が鈍らない。凄いっ)

(「お見事。素晴らしい腕前ではないか」)

(「そ、そうかな?」)

(「これほどの腕前と容姿がほかの刀に取られていたらと思うと妾は死んでも死にきれないぞえ」)

(容姿はどうでもいいでしょっ)

思わずツッコミを入れるけど素直に嬉しい。

(「父さんはもっとすごかったんだ」)

(「ほお、お父上とな?」)

(「そう、御門政信って言うんだけど…」)

そう言った瞬間、村正の気配に怒りの色が現れた。

(「御門…政信じゃと?」)

(「どうしたの?」)

(「主殿は政信の愛刀を知らんのか?」)

(「えっ、うん。知ってるけど?」)

(「『正宗』。あの憎き脳筋が妾を封印させたのじゃ」)

(「へえ、でも村正は強いんじゃなかったの?」)

(「正宗の能力が…」)

(「えっ?能力が?」)

(「まあ良いわ。む、主殿っ」)

左の木々の間に先程よりも大きな気配。

(黒狼かっ)

右からも一頭、前後に二頭。全て大きな気配。さらにかなり遠いが、銀狼の気配も感じる。

(ようやく来たか)

前から一頭が飛び込んでくるのを居合で切り抜け、そのまま二頭目の爪を交わしながら脇腹を切る。

さらに後ろから忍び寄る黒狼がいるのを僕は感じ取っていた。

飛び込んでくるのを半身でかわすと、その後ろに控えていた一頭を切る。

まさか自分の所に来るとは思っていない狼を切るのは容易い。

そして一歩下がる。

「ギャインッ」

左右から飛び込んできた二頭の黒狼がぶつかって鳴き声をあげたのを横に一閃、同時に二頭を始末した。

(残り二頭か)

振り返って二頭を見る。ジリジリと僕が近づくと黒狼達が下がる。

そして二頭が尻尾を足の間に挟むようにして逃げようとした瞬間、首が消えた。

そこにはあの銀色の毛並みを持った巨大な狼が立っていた。爪には2頭を屠った時についた血が滴っている。

(「主殿…これは立派な銀狼じゃな…美しいのぉ」)

(「村正、褒めている場合じゃないよ」)



次話 力の反動