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2014/09/06

ナンパ男

翌日。

マーガレットさんにどうしてもと言われて買った白いワンピースを着て僕は一人で街に出た。

胸元が深く切れ込んだワンピースはちょっと恥ずかしい。それにかなり丈も短い。

(でもせっかく買ったんだし…着る機会もないから)

ロゴスの街は石畳が敷かれている。

初めヒールのついたミュールを履いた僕は時折、カクっと石畳の段差で転びそうになった。

(やっぱりブーツにいつもの服にしておけばよかったかな)

そんなふうに思うけど、コーディネートしてくれたマーガレットさんにも悪いし、すぐに慣れるだろうと歩き始める。

まずはメロヴィング商会に向かった。

『カランカラーン』

「いらっしゃいませー」

さすがにケルネと違って大きな街の素材屋さんは大きい。

ハンターや街の武器屋さんなどが素材の売買で来ているのか結構混んでいた。

窓口もたくさんあって、空いている窓口に僕は向かった。

僕はルシオさんから渡された手紙を渡す。

「葵様でいらっしゃいますか?」

(さすが…ちゃんと発音できるんだ)

僕の名前はこの国では珍しいので発音しづらいのか、皆最初は「アオイ」というのに苦労する。

それを初見で「葵」と発音できるのがさすがにこの大陸の素材屋でも1、2を争うメロヴィング商会というわけだ。

「はい」

「身分証はお持ちでしょうか」

僕はギルド証を出す。

「失礼いたしました、それではお支払い金額ですが、420万イェンと、預かり金が1200万イェンございますね」

父さんの残してくれたお金もルシオさんが預かり金として処理してくれていた。

「ギルドに預けられますか?これだけの金額となりますと持ち運ぶにはかなり重くなってしまいますが…?」

(そう言えば昨日そんな話を聞いたような…)

「えっと、はい、それでお願いします」


◇◇◇◇◇


次の目的地は宝飾店。

『カランカラーン』

「いらっしゃいませ」

こちらはお客さんがいなくて、白髪まじりで口ひげをたくわえたおじさんが微笑んでいた。

「いかがなされましたか?」

そう言われて、ジェイクにもらった真珠を出す。

「これなんですが…」

「ほう、これは…素晴らしい。このレベルが無加工で市場に出ることは滅多にありません」

片目にかけたルーペでチェックするおじさん。

「あの、これをネックレスに加工していただけませんか?」

いろいろ考えた結果、一番戦いに支障が出ないネックレスにすることにしたんだ。

「ええ、もちろん可能です。ご予算はおいくらほどでしょうか?」

「えっと…相場がわからないので…」

「そうですね、あまり安い加工をすると折角の宝石まで安く見えてしまいますし、これくらい質のいい真珠で、それはもったいないかと思われます。それでは、100万イェンまでで作るというのはいかがでしょう?」

(100万かぁ…高いかなぁ…でもせっかくだもんね)

「お願いします」

「お任せください。この素晴らしい真珠に見合った最高のネックレスに仕上げてみせましょう」

また後日完成したら連絡をもらえることとなって、僕はマーガレットさんの店に向かった。


◇◇◇◇◇


「いらっしゃいませぇ…って、アオイじゃないっ、どこのお姫様が来られたのかと思ったわよ。ほらぁ、私の言った通り、よく似合ってるじゃないっ」

マーガレットさんが早速声をかけてくれた。

「あら?今日はお姫様を守る騎士がいないのね」

きょろきょろと見渡してマーガレットさんが尋ねてきた。

「ラルフのこと?ラルフなら留守番だよ」

「ふーん、あっ、そうだっ、ねえっ、家をもらったんだって?ねっ、今度遊びに行っていい?」

「もちろんいいよ」

「ありがとうっ、絶対行くからね…って、そういえば、今日はどうしたの?」

「あの、昨日買っただけでは、ちょっと足りないから…」

「そっか、じゃあ、選びましょっ」

そう言うと昨日程はかからなかったけどかなり時間を食ってしまった。

特に下着はあれもこれも買わされて、一気に数が増えた。

(いつ着るんだろうっていうのもあるけど…)

家まで送ってくれるということでお願いして店を出る。


◇◇◇◇◇


(さてと、用事も済んだし、もう帰ってもいいけど…そうだっ)

屋台が出ている道を歩いていて、ふと帰ったところで食べ物がないことに気がついた僕は、何か買って帰ろうと思いついた。

(「おっ、綺麗な姉ちゃんだな」)

(「おおー、胸の谷間が…ゴクリ」)

うーむ、暇つぶしに人の気持ちを読んでみると、男の人はほとんどこんな感じだ。

「あっ」

美味しそうなアイスクリーム屋さんを見つけた。どうして溶けないかはわからないけど、店先にアイスの入った箱が並べられている。

(まだまだ暑いもんね…ちょっと食べてみようかな?)

前かがみで、どの味にしようか悩んでいると

(「おおっ、ピンクのブラジャーか…」)

慌てて胸元を押さえて店員のお兄さんを睨む。

(うーん、レモンやマンゴーもいいけどラムレーズンも美味しそう)

悩んでいると、横から「美人さん、オレが奢ってあげるよ」という男が現れた。

結構です、といくら言っても、「いいから、いいから」と引かない。

いつまでも店先で押し問答していると迷惑なので仕方なしに買ってもらった。

屋台の裏に置かれたベンチで食べる。

「ねぇねぇ、キミ、なんて名前なの?どこに住んでるの?」

隣に座った男がしつこく聞いてくる。

(うるさいなぁ)

そう思うけど、アイスクリームを買ってもらったこともあって、邪険にはしづらい。

(こんなことなら買ってもらわなければ良かったな)

そう思うけど後の祭りだった。

「名前はアオイ、東区に住んでいます」

「オレはニック、これでもハンターなんだぜ、東区ってことはどこかの店で働いているの?ねえ、店を教えてよっ、絶対行くからさあ」

「??」

(僕ってギルド内では知られていると思ってたけど、知らない人もいるんだな)

一応考えを読んでみようっと。

「ひゃっ」

思わず、胸元を隠した。

ニックの頭の中は僕の胸元でいっぱいで、読もうとしたら、胸の谷間しか見えなかったのだ。

「い、いやっ、胸を見てたわけじゃないよ」

慌てたように言い訳するニック。

(全く、皆見るとこ一緒なんだから…)

僕はため息をついて立ち上がる。

「じゃあ、ぼ、私は帰るね」

「ええーっ」

急に腕を掴まれて、止められる。

「やんっ」

僕の口から甘い声が出てしまった。

その瞬間さらにニックの頭の中の映像が流れ込んできた。

最初は僕が泣いているのかと思ったけど、どうやらそうではないらしい。

裸の僕が組み敷かれて喘いでいる。

「んあっ」

また変な声が出てしまって口を押さえる。

(体が敏感になってる?)

『ドクンッ』

「あれ?どうしたの?」

ニックの頭の中では僕が激しく喘いでいた。

『ドクンッドクンッ』

激しく心臓が高鳴る。

(まさか…発情しかけているの?)

「い、いや…僕…帰るねっ」

「えっ?ねえ、ちょっとっ」

走り出そうとした僕は石畳にヒールを挟んで体勢を崩した。

「あっ」

転ぶって思ったけど、タイミングよくニックが僕を抱き抱えるようにして防いだ。

「ひゃんっ」

ニックの手が僕の胸を掴んだ。

「はぁ、はぁ、…いきなり走り出したら危ないよ」

そう言いながら胸から手を離さない。

頭の中では僕の胸でオチンチンを挟んで擦る姿が見えた。

(あっ、んっ…いけないっ)

このままでは完全に発情してしまう。

「ねっ、向こうでゆっくり話をしようよ」

抱きしめられて耳元で囁かれる。

「いやぁん」

「いいじゃんいいじゃん」

抵抗しようとしてもお尻を撫で回されて、力が抜ける。胸を撫で回されると甘い声が口から漏れた。

そして僕はしがみつくようにしてフラフラとニックとともに路地に向かった。

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