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2014/10/11

戦いの報酬

改めて自己紹介を始めたジル。

彼はヴァンパイアで、これまで使っていた能力はヴァンパイア種族の超能力らしい。

ヴァンパイア一族は太陽の光が苦手で直接当たっている間は霧になれないとか、色々制約がつくんだって。

戦いの時にあの魔法陣から出たのは太陽の光だったらしい。だから戦いの最後、僕の攻撃が通じたってわけ。

ちなみにヴァンパイア同士の戦いだと、あの黒い霧を吸収して相手の力を奪い取ることで最後には相手の命を失うんだそうだ。

弱点を教えていいの?って聞いたら信用のために、だって。意外と紳士なのかな?

趣味は研究で、触手を作ってみたり、媚薬を作ってみたり、色んなものを作っている。依頼を受けて作ることもあるらしい。

とりあえず、このダンジョンの装置は僕の家の空いている部屋に送ることにした。

(でも、なんて言い訳しよう?)

そう思っていると、ジルが暗闇から先ほどの黒髪の死体を取り出した。

「えっ?吸収して消えたんじゃ?」

僕が尋ねると、「これくらいのものは簡単に作れる」とこともなげに言った。

「ねぇ、どうしてジルは黒髪に狙われていたの?」

「私はこう見えてもヴァンパイアの一族の中では強い力を持っていてな、次期当主候補だったのだが、興味がないので放棄をした。それを面白く思わないものもいるということだ」

「ふーん」

僕はしげしげとジルを見る。そう言われてみれば、上品な顔立ちのような…。

「では、私がここにいるとまずいだろうから先に葵の家に帰っているぞ」

そう言って霧になった。

僕らもダンジョンを出る。っと、その前に僕は慌てて予備の服を着た。ラルフも着替えている。

(もしものために服をお互いカバンに入れておいて良かったぁ)


◇◇◇◇◇


外に出ると、アンナさんを含め、BランクやAランクのハンター達が僕らを待ち受けていた。

「あれ?レオンさん帰ってきてたんですね」

「よお、アオイ、ラルフ。王都のヴァンパイアが急に数日出なくなったんで帰ってきたんだ。んー?その様子だと下で何か倒したみたいだな?どんな魔物だったんだ?」

(レオンさん、ワクワクしすぎだよ)

「えっと、5階層に放ってきましたけど、ヴァンパイアでした」

「おおっ、ヴァンパイアかっ。最近よく聞くなっ…って、おいっ、まさか…あの野郎かっ?」

顔色を変えたレオンさんがダンジョンに突っ込んでいった。


◇◇◇◇◇


家に帰った僕らはジルを誘ってお風呂に入った。

「ほぉ、これが温泉か…」

初めて実際の温泉に入ったジルは興味津々だった。

「そうだよ…どんな感じ?」

「これは意外と言ったら失礼だが、心地よいものだな。面白い。やはり葵についてきて良かった。しかし…この湯は…ただの湯ではないな」

そう言うとジルはどこからか試験管を取り出して風呂の湯をサンプルとして取っていく。

『ザバッ』

ジルが勢いよく立ち上がると僕の前には大きなあれがブラブラしていた。ってなんで勃ってるの?

「ちょっ、ちょっと…隠して隠してっ」

僕は身の危険を感じて手でジルの太ももを押すようにして距離を取ろうとした。

「ん?ああ、この湯に興奮してしまったか…」

(え?)

「面白い。成分をすぐに調べたい。葵、ラルフ君はごゆっくり」

そう言うとジルは霧になって消えました。

(お湯に興奮?面白い?僕とお湯が同じレベル?)

「忙しない奴だ」

(そう言いながらタオルを頭に載せて湯に浸かっているラルフも馴染み過ぎだと思うけど…)


◆◆◆◆◆


翌日、僕とラルフは家を出てギルドに向かった。

ちなみにジルの部屋は風呂やトイレの上部分にある部屋。

研究の装置を入れられるサイズの部屋ということで、自然に部屋が決まった。

『カランカラーン』

僕らがギルドの建物に入るといきなり拍手が鳴り響いた。

「???」

僕は驚いて固まる。

「えー、この度は我らのパーティメンバー並びに、恥ずかしながら私とウィリアムまで生きたまま救助してくれた葵、ラルフに感謝の意を捧げたいと思う」

アンナさんの音頭にさらに激しい拍手が僕らに送られる。

この人数はどうやらアンナさん、ウィリアムさんのパーティメンバーが総出のようだ。

「葵、ラルフっ、こっちへ」

そう言って、皆の前に立たされた。

「えっとぉ…」

助けた12人が僕らの前に立ち頭を下げた。

「二人のおかげで助かったんだ。僕らで手伝えることがあったら何でも言って欲しい」

ウィリアムさんの言葉とともに、ブロンズのタグをつけた女の子から大きな包みを渡される。

「これは気持ちですけど…本当にたいしたものじゃなくて…」

隣のラルフも女の子から何かをもらっている。

「ありがとう。大事にするよっ」

「今度ぜひ見せてくださいねっ」

「?」

(何を見せるんだろう?)

そして、その騒ぎが去った後、僕らはケイトさんに呼ばれて支部長室に案内された。

ケイトさんがドアをノックする。

「お連れしました」

ドアの向こうから「おうっ、入れ」という声がする。

(なんだこれ?)

そこにはウィリアムさん、アンナさんを除くAランクBランクの人が全員集合していた。

「二人とも待ってたぞ」

そして、アンナさん、ウィリアムさんの二人が遅れて入ってきたところでレオンさんが本題に入った。

「アオイ、ラルフ、今回の討伐の報酬だが、まずはお前らのランクをAに格上げすることになった」

『パチパチパチ』

拍手が起こる。

「Bランク以上の昇級はそれ以上のランクのメンバーによる多数決で決まるんだが、今回はなんと全会一致で昇級だ。おめでとう」

再び拍手。

「えっ、あっ、はい。ありがとうございます」

「Aランク以上になると下手な貴族よりも身分が高いからな」

「はあ…」

僕の反応にレオンさんは苦笑いをした。

「うん、まあ、おいおい分かるだろ、では次にその他の報酬だ」

ここからはアーバインさんがするらしい。

「まず、ギルドからの特別報奨金として2000万イェン、さらにこのヴァンパイアには王都の貴族によって懸賞金がかけられていたため討伐成功報酬で3,000万イェン、合計5000万イェンとなります」

「おおっ、そうだっ」

レオンさんが横から大きな声を出した。

「なにか他にも希望があれば遠慮なく言ってくれ。うちのギルドの大事なハンター達を救ってくれたんだからな。ギルドから出る報奨金は安いが、その分だいたいの希望は通すぞ」

(えっと…希望、…欲しいものかぁ…)

「今すぐでなくても、何か思いついてからでいいですよ」

悩んでいた僕がアーバインさんの言葉に頷くと、レオンさんが今度はラルフの方を向いて尋ねる。

「あと、報酬はいつも通り一括でアオイの口座に振り込んでいいか?」

「ああ、それでいい」

ラルフが短く答えて解散となった。

「よし、話はここまでだ、アオイ、ラルフ、しばらくはゆっくり休め」
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