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【騙されたのは?ifルート】 騙されたのは葵⑭

話は先週の日曜日に戻る。お風呂で学院長の奴隷になることを誓わされた翌日の深夜のことだ。

『ゴポ』

大の字でうつぶせに寝そべった僕の股の間から白い粘液が溢れ出てシーツに流れ落ちた。

「ふう。気持ちよかったぞ」

でっぷりとした腹を汗まみれにした学院長が枕元に座って僕の髪を撫でる。

(やっとおわっ‥た…の?…もぅ…むり…からだがうごかない…)

昨夜からぶっ通しで責め続けられた僕の体は疲れきって起き上がるどころか腕を上げることすらできない。

何度もイカされても無理やり媚薬で発情させられてまた犯される、その繰り返しでもう何百回イカされたか分からない。

「クク、今日はもうここで寝るか?」

あの風呂での行為から正体を現した学院長はイヤらしい笑顔を僕に向ける。

僕は力を振り絞って頭を微かに振った。

「そうか。ここで寝るならもう一回くらい、と思ったのだがな」

学院長の股間が半分起き上がりつつあった。

(なんで…すごすぎ…)

「まあ、いい。楽しみは明日に取っておこう。明日からまた授業が始まるからな」

学院長の嫌らしい笑みに思わず視線が恨めしくなった。

「まだそんな目ができるのか。クク」

フッと意識が途切れて目を開くと寮の自室の天井が広がっていた。

(あ…解放されたんだ)

自室に戻ったことでようやく緊張が和らいで、それと同時に疲れきった体は眠りに落ちた。


◆◆


翌日の月曜日。

「キャロルさん、今日はちょっと珍しいものをつけてみました」

毎朝の日課、ドナのヘアセットだ。

日常が戻ってきた。僕もひと晩寝て体力と気力が回復した。

「?」

鏡を見るとクリップみたいなので前髪を纏められていた。

「これは?」

「王都で流行り始めてるみたいなんです。ヘアピンって言うらしいですよ。使ってみたら今までのリボンでは出来なかった髪型も出来るんです。おかげで毎日どんどんアイデアが浮かんで…うふふふ」

「ふーん」

硬い金属でできたヘアピンを弄りながら考える。

(昨日の事は夢なんかじゃない…学院長がブリジットさんの件の黒幕だったんだ…「ねぇ?村正?」)

村正の返事はない。

(おかしいな?「村正?」)

やはり返事はなかった。

(学院長にいいように騙されてたわけだし…村正も呆れてるよね)

そう思ってそれ以上村正に呼びかけるのはやめにした。

(だけど、それも今日で終わらせるからっ)

「やあ、皆さん、おはよう」

「おはようございます」

「はい、おはよう。今日も一日勉学に励んでな」

「ありがとうございます」

「おはようございます」

寮から学院へ向かう廊下が混んでいた。

(だけど、いきなり学院長を斬ってもいいものかな…他の生徒の前ではまずいよなぁ)

遠くの方から生徒達が挨拶の声が聞こえてくる。

(一度エルザに相談してからの方がいいのか…だけど、学院長には全て監視されていると考えたほうがいい、下手なことをしてエルザに学院長の手が及ぶのは絶対避けないと…)

「あれ?ねえ、アリス、あれって…」

(うーん…えっ?)

一緒にいたサラの言葉で、俯いていた顔を上げる。

「やあ、キャロル君にレヴァイン君。おはよう」

目の前には柔和な顔で微笑む学院長がいた。

「なっ」

突然過ぎて目を見開いたまま僕は反応ができない。

(何をしにこんな所に?)

「おはようございまーす」

身構える僕をよそにサラは笑顔で返事をする。

「あれ?アリス?」

『ツンツン』

サラに肘でつつかれた。

「あっ、おっ、おはようございます」

何とかそれだけ言った。

「さあ、今日も楽しい一日が始まるな」

学院長の言葉の意味が理解できないサラは「はーい」と返事をした。

「キャロル君も楽しみだな」

そう言った学院長は嫌らしく目を細めた。

「くっ」

僕は歯を食いしばって睨む。

「ははは、ではまた」

学院長はすれ違う生徒達に挨拶をしながら去っていった。

「あれ?学院長、もう帰っちゃうんだ?一体なんだったのかな?」

学院長の背中を眺めながらサラが首をかしげていた。


◇◇


(あの余裕の態度…何かあるのか…それとも皆の前では僕が何もできないとでも考えているのか…)

学院長の態度を思い出しながら教室に入る。

『カサ…』

僕の机の中に一通の手紙が入っていた。

(あ…これは…)

僕はこの封筒に見覚えがあった。

(指令に使われてたやつだ)

周りに見えないように慎重に開く。

サラを含め、周りのクラスメートはラブレターだと思ってるみたいで僕が手紙を読んでいても、もはや気にする素振りもない。

【昼休みに学院長室に来ること。】

(わざわざこんな封筒を使って…もう隠すつもりもないんだな。だけど、わざわざ誰もいないところを指示してくるなんて。よし、媚薬さえなければあんな奴っ)

僕は昼休みに学院長を斬る決意を固めた。


◇◇◇


『ジリリリリリリ』

そして昼休みになった。

僕は食事を摂らず、急いで学院長室に向かった。

『ガチャ』

ノックもせずにいきなり扉を開く。

「学院長っ」

開けると同時に部屋の中に飛び込んで学院長を睨みつける。

「おやおや、ノックもなしかね?」

学院長は悠々と執務机に座ったまま言葉を続けた。

「ちょうど昼休みになったばかりだというのに早いじゃないか。さては君も昨日のようなことを期待していたのかな?」

「黙れっ、ブリジットさんの事も、昨日の事もっ、僕は許さないっ」

学院長の余裕が気に障る。

「おやおや、昨日、私のチンコに涙を流して喜んでいたのは誰だったかな?」

「うるさいっ」

扉を叩きつけるように閉めると同時に執務机に向かって走り出した。

(机越しに居合で斬り伏せるっ。「村正っ」)

「えっ?」

(「村正?」)

村正が出ない。

(「村正っ、まさか、まだ呆れてるの?」)

僕は机の前で立ちどまるしかなかった。

「どうしたのかね?」

学院長は椅子からゆっくりと立ち上がる。

「くっ、何でもないっ」

(村正っ、どうしちゃったんだよ?)

学院長は机を回り込んで僕に近づいてくる。

(学院長相手なら村正無しでも戦えるはずだっ。ラルフに格闘術も教えてもらったんだからっ)

一歩踏み込めば手の届く距離に来た。その顔はイヤらしい笑みでニヤついている。

「はっ」

僕は勢いよく片足を踏み込むと、学院長の大きく張り出た腹を蹴りあげた。

『ガシッ』

横腹に足がめり込むはずだったのに、当たった足首を学院長に掴まれる。

(えっ、なんでっ?)

「ふむ…さすがに少しは痛いものだな。どれ、寝技といこうじゃないか」

掴まれた足が引っ張られた。

「くっ」

思わず転びそうになるのをなんとか持ちこたえる。

(くそっ、それならっ)

片足を学院長に掴まれたままジャンプして体を横に回転、もう片方の足で頭を狙う。

(あっ、あれ?)

体が重い。

『ドンッ』

回転するためにジャンプしようとした脚に力が入らない。充分跳び上がることができず、僕は絨毯に倒れこんだ。

(痛ったぁ…)

「んん?ダンスでも踊っているつもりかね?」

学院長は僕の片足を掴んだまま見下ろしてくる。

「はっ、離せっ」

学院長は暴れる僕の足を軽くいなす。

「この足が邪魔だな」

学院長に自由だったもう片方の足首も掴まれた。

「ふーむ、今日は白か。しかし、色気のないパンティだな。ちゃんと明日からは私が選んでやろうな、ふふふ」

両足をガバっと開いて、スカートの中を覗き込んだ学院長が舌なめずりをする。

「だっ、黙れっ。離せっ」

再び僕は足を滅茶苦茶に振る。

「離っ、えっ?」

『ドサ』

学院長がパッと手を離したせいで僕は再び絨毯に倒れ込んだ。

「さあ、離したぞ。次はどうする?」

(「村正っ」)

慌てて立ち上がって、呼びかけてみるものの村正の返答はない。

(…やっぱりダメか、どうする…?)

体もやはり重い。

(どうしたんだろう?何かがおかしい…)

両腕を広げて学院長は近づいてくると、まるで学院長に気圧されるように僕の足が意思とは無関係に後ずさった。

「体が思ったように動かんか?」

ニヤついたまま、学院長が聞いてくる。

(なっ、どうしてそれを?)

「ククク、お前に焼き付けた烙印を覚えているか?」

(烙印?…あっ…確かお風呂で…)

奴隷の誓約をさせられた時に内腿につけられた痣のような刻印。

「クククク、烙印はただのマークではないのだよ。烙印はお前の力を奪う。今のお前はクラスメートの女子と同じくらいしか動けんのだよ」

「そっ、それで…」

思わず声に出してしまった。

(だから村正も…)

学院長はしっかり僕の動揺する声を聞いたようでニヤニヤと笑う。

(まずいっ…)

こめかみに汗が伝う。

(一度逃げるしかないっ、扉まで数秒だから)

僕は振り向くと扉に向かって一目散に走る。

「ふむ。逃げるか…」

あと一歩という所で、突然下腹部が熱くなったかと思うと力が抜ける。

「はぅっ」

立ち止まった僕は服が体を掠めるだけで、優しく愛撫されたように反応してしまう。

走ろうとすると勃起したクリトリスにパンティが擦れて足がもつれた。

(これは…媚薬?でも…そんな感じは…ダメっ、体が疼く…)

僕は両腕で体を抱き締めるようにして座り込んだ。

「そうそう、烙印の効果だが、もう1つある。発情の効果だよ」

そう言いながら学院長は僕の背中に軽く触れた。

「んっ」

ゾワゾワっと快感が背中を駆け上がる。

「いい判断だったが少し遅かったな。さて、これからは私の好きなようにお前を発情させることができるということが分かったかな?何せお前のご主人様だからな。さあ、こっちを向いてもらおう」

腕を掴まれて無理矢理学院長の方を向かされた。

「んやっ」

絨毯と太腿が擦れて声が出てしまう。

僕の視界に学院長の靴が映ったけど、顔は上げない。どれだけ睨んでも学院長を喜ばせるだけだ。

「さあ、逆らった罰を与えよう」

『罰』…その言葉に昨夜の情景が頭をよぎった。

「いっ、嫌だっ」

言葉では拒否するものの、体は学院長を前にして何もできない。

(なんとか…なんとかしないと)
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