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イシュクの夜

夜の帳が下りるとイシュクの街は屋台と酒場の賑わう街に変わる。交易で栄えるこの街は旅人達のオアシスなのだ。

(アオイ…ね)

これから一仕事を残したアランだったが、彼は今、イシュクの夜の喧騒の中にいた。

覚悟は決まっている。だが、エルフにとっての神樹である世界樹を枯らせるという大罪をこれから負うことを考えると、思わず生まれ育った孤児院に来てしまったのだ。

実際のところアランは月に一度は孤児院に来ていた。それは世話になった孤児院への寄付のためだった。だが、こそこそと夜来るのには理由がある。

孤児院を出てから面と向かって話したことはないが、サリオン院長はアランが何をしているのか知っているだろう。そして彼がその事をよく思わない事は間違いない。だから今日も孤児院に金を投げ込んだら世界樹に向かうつもりで来た。

ところが、アランは孤児院の前まで来たとき、玄関先に小さな影があるのに気がついた。

「おい、こんな時間に何をしているんだ?」

影は孤児院の玄関先で座り込んでいる幼い少女だった。浅黒い肌に耳が尖っていることから一目見てハーフエルフだと分かる。

まだ日が暮れて間もないとは言え、酔っ払った奴等に何をされるか分からない。

サリオン先生にもさんざん言われているのだろう。アランの言葉に少女は怒られたと思ったのか肩をビクッと震わせたが、アランがもう一度優しく聞くと話し始めた。

「おにいちゃん、だあれ?」

「俺はアランだ」

「あのね、エリスね、おねえちゃんをまってるの」

少女の話をまとめるとこういう事だ。

まず、少女の名前はエリス、彼女の助けたアオイという旅の女が消えたらしい。サリオン先生も探しに出たらしいのだが、エリスはアオイの事が心配で待っているという。

「俺も探してきてやるからお前は中に入って待ってろ。外に出ていたなんて先生にバレたら大目玉くらうぞ」

それでも心配するエリスに孤児院の中で待つことと引き換えに必ず見つけてくることを約束してアランは夜の街をはめになったのだった。

『カランカラン』

しばらく盛り場を歩き回っていると、ちょうど酒場の扉が開いて黒髪の少女と男が出てきた。少女は砂漠の民が着る黒く足元まであるワンピースを着ている。

これもよくある光景だ。酒に酔い、一夜のアヴァンチュールを楽しむ者、性の売り買いもこの街では自由だ。

「おねえちゃんはわたしとおなじなの」

髪の毛を指差したエリスを思い出してアランは二人の後をつける。

二人は路地に入っていく。うっすらと出た雲に月が隠れて路地の中は見えない。

だがアランもこの街で十五まで育った。だからこの街の地理には詳しい。二人の歩く先は行き止まりだ。足音を消して忍び寄ると二人の言い争う声が聞こえた。

(痴話喧嘩か…?だとしたら外れだったか…)

「ちょっと、…教えてくれるって」

「教えてやるさ。だけどタダで教えて貰おうってのはムシが良すぎるんじゃねえか?」

角を曲がった先で嫌がる女に男が迫っているようだ。

「嫌っ、ちょっと、やめてよっ」

「何言ってんだ、ここまで来て嫌も何もないだろ?ほら、それに叫んだところで誰も助けになんて来ないぜ」

普段ならアランも無視する。男の言う通り、こんな路地裏にノコノコついていく方にも問題がある。

だが、エリスに約束した手前、可能性があるなら無視するわけにはいかない。仕方なしにアランが助けに入ろうとした時、男が言った。

「バジリスクの盗賊団について知りたいんだろ?それなら詳しく教えてやるぜ?」

(バジリスクだって?)

助けに入ろうとしたアランの足が止まる。

「なっ?その可愛い口でちょっと俺を気持ちよくしてくれりゃいいんだよ」

男の猫撫で声に女が大きな声を出した。

「だから、嫌だってば。いいよっ、別の人に聞くしっ」

ガッと何かを蹴る音がした。暗闇で足元が覚束ない女が逃げようとしてつまづいたようだ。

「はは、逃がさねえよ。暴力は嫌いだが、仕方ねえよなあ」

男の興奮した声にアランはこっそりため息をついた。

(もう少し情報を得たかったが…)

「嫌だっ、やっ、やめてよっ」

アランが角を曲がると、黒髪の少女を羽交い締めにしている男の背中が目に入った。

「おおっ、いい乳してんじゃねえか。ん?下着なしかあ?へへへ、お前もやる気満々ってか?」

「いっ、やっ、やめてっ」

男はロングスカートの尻に腰を押しつけている。夢中になっていて背後から近づくアランには気づいていない。

(やれやれ…)

アランが後ろから気配を隠したまま近づこうとした時、男が呻いた。

「うおっ、ぐぁっ」

崩れ落ちる男。

(何っ?)

アランは気配を消したまま後ずさる。

「全く…村正無しでもこれくらいは出来るんだからね。ところで、そこに隠れている人も僕に何か用?」

女は気配を隠したアランをあっさりと見破った。

(この女…ただ者じゃないぞ)

「お前はなぜバジリスクの盗賊団を探っているんだ?」

アランはわざと低い声を出した。

「そいつらに仲間がやられたんだよ。あなたは何か知ってるの?」

(仲間が?うーん…)

アランもこんな稼業をしているからには襲った相手は一人や二人ではない。

だが、思い出そうとしてアランは女の言葉に一瞬、ほんの一瞬、隙を作ってしまった。

「何か知ってるなら教えてよ」

(しまった)

気がついた時にはアランの目の前に女がいた。しかも、間の悪いことに、ちょうど薄い雲に隠れていた月が現れ、黒髪の女の顔がはっきりと見える。

女はアランの想像していたよりも若く、まだ十代半ばほどか。こうして近くで見ると整っているというには整いすぎている。

しかし、そんなことよりも問題は…。

(…顔が見られたっ)

さらに一歩女が近づき、息がかかるほどの距離になった。

「何か知ってるよね…?教えてくれないとあなたもこの男と同じになるよ」

少女の体から出た切れ味鋭い殺気がアランを刺す。

(まずい…)

アランは腰の曲刀の柄に手を伸ばしかけて、この距離で戦った場合を想像した。相手は丸腰、だが、この距離では剣を抜く間が命取りだ。

(この女、かなり出来る…)

これからまだ一仕事を残したままのアランは怪我をするわけにはいかない。

「……分かった…降参する」

(エリス、何が「お姉ちゃんを助けて」だよ…助けなんていらないだろ…)

アランは心の中で悪態をつきつつも、両手を挙げた。

「お前がアオイなんだな?」

「そうだよ」

「すまないが俺は本当に何も知らないんだ。たまたまエリスからお前を探すよう頼まれたからここにいるだけだ。情報を集めるのは手伝ってやるからエリスのためにも今日は早く戻ってやってくれ」

エリスの名前を出すとようやくアオイから殺気が消えた。

「そう、エリスが…それじゃ急がないと。案内してくれるんだよね?」

結局アランがアランを探す少女を手助けする羽目になってしまった。

(…だけど、むしろ助かったのかもしれないな)

アランはこの街に知り合いが多い。彼らの性格を考えると少女の美貌から聞かれてもないことまで喋るに違いない。

路地を出たアランはいくつかの店にアオイを案内した。

「いらっしゃ…」

やはり、というべきか、二人で入った店の主人や客はアオイを見るや、案の定のぼせ上がった。

「あの女、誰だ?」「スゲエ美少女だな」

だが、アオイはそんな反応に気づいているのかいないのか、完璧に無視してバジリスクの盗賊団について質問する。

「ははは、何かと思えば、そりゃあ、お前さんの…ゴホンゴホン…いや、知らねえ、すまんな」

もちろん、尋ねられた店主はアオイの探すバジリスクの盗賊団のリーダーがアランだと知っていたが、少女の隣で睨むアランを見て何も言わなかった。

「ふう。今日はこの辺でいいだろ?もう遅いし、また明日にしようぜ」

かなり聞いてまわったところでアランが少女に提案した。

「うん…でも、みんな何かを隠しているような…」

疑いの眼差しでアランに向けてそう言いかけた少女が急に黙った。

(ん?)

何となくアランの心がざわついた。

「どうかしたのか?」

少女がポケットから薬らしきものを取り出して慌てて飲み込む。それから今度はアランから少し距離をとった。

「なっ、なんなんだよ?」

(何か気づかれたか…?)

勘づかれるようなヘマはしていないはずだが、アランの手は無意識に剣の柄に伸びた。

「なんでもない。今日は帰る…」

少女はそう言って走り去った。

(一体何だったんだ?)


◇◇◇


僕が情報収集から帰るとエリスが一人起きて待っていた。それから案の定サリオン院長に叱られ部屋に戻る。

月明かりのベッドの中。僕は天井を見つめていた目を閉じ、胸に手を這わせる。

「ん…んん…」

ブラジャーをつけていないから服の上からでも尖った乳首がはっきり分かった。

(あん…もぅ…)

先程、情報収集を諦めたのは例の発作の兆候が出たからだった。不幸中の幸いだったのは薬を持っていたこと。

慌ててその場で飲んだけど、効果のある二時間の間に膣に薬を入れなければいけない。

僕は浮かび上がった乳首を指で摘まんだ。

「はぁぁ…ん…」

頭が痺れるような快感に、体が反応して足がシーツを乱す。

「はぁっ、んっ」

止めようとしても、か細い喘ぎ声は口から漏れる。

「はぁんっ、ふぅ、ふぅっ、んっ、あっ」

(そろそろ…いいかな…)

パンティの上から引っ掻く。

「はぁんっ…」

体がビクッと反応した。

(薬を…入れないと…)

パンティを脱いで割れ目に指をあてがうと、ヌルヌルとした感触は準備が出来たことを示していた。

「はぁ…はぁ…」

僕は枕元に置いてあった小さな卵形の薬を割れ目に押し当てる。

「ん…くっ、あっ、ぁぁぁ」

ヌルリと膣内に浅く入った薬を指で押し込んでいく。

「ああっ…むぐっ」

大きな声が出そうになって慌てて片手で口を押さえた。

(これは、薬をっ…んんっ、入れるためでっ、あっ、擦れてっ)

「はぁ、はぁ、はぁ…もっと…奥までぇ…はぁぁっ」

僕の中指は付け根まで熱い膣に包まれる。

「ぁっ、はぁっ、んっ、んっ」

(もぅ、奥まで入った…んああっ)

足が意思とは別に動きまわってシーツはもうグチャグチャ。

『ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ』

人差し指も加わり、石造りの冷たい部屋に艶かしい音と熱い吐息が満ちる。

「あっ、らめ…、やっ、はぁぁっ」

閉じた瞼の裏がチカチカと瞬いた。

『グチュグチュグチュ』

「ああっ、はあっ、あっ、はぁぁっ」

(らめっ、こえがっ、こえがあぁぁぁっ)

チカチカと瞬いていた光が強くなって…口にシーツを咥えた瞬間、目の前が真っ白になった。

「っんんんんんんん、むぐうぅぅぅぅっ」

(らめぇぇぇぇぇぇっ)

ドロドロの白濁した粘液が指を伝って逆流する。

僕は訳がわからなくなって、気がついたら眠ってしまっていた。
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