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2016/09/16

オンナの体

「ありがとうございましたっ」

道場での鍛練後の自主練が終わった。師の稽古から半年あまり経ち、父上とともに負の力を封印した翌日、私は十六の誕生日を迎えた。

「ふう…」

私が手拭いで額の汗を拭いていると犬千代殿が目の前に立った。

「千手丸、大丈夫か?」

「ええ…特に何もありません」

安倍犬千代殿は私が道場に入門した時からずっと第一席にいる。

これほどの実力者がなぜと思うが、どうやら芦屋家の現当主の妾腹ということで、なかなか仕官の口がないらしい。

「それなら良いが。三郎との試合といい本調子ではないのではないか?」

特に師の代わりを務めるようになったこの半年あまりで、道場の門弟達の小さな機微に気づくようになり、信頼も篤く次期師範の呼び名も高い。

「いえ、大丈夫です。ご心配いただきありがとうございます」

そうは言ったものの、実際のところ、私は落ち込んでいた。一つめは父上の容態。そして、二つめは己の力不足だ。

(私はあの時、父上の足手まといでしかなかった…)

もっと強くならねばならない。だが、そう思うと今度は師の言葉が頭を悩ませる。

「『目を捨てよ』…か」

雲をつかむような話で、どうしていいのかさっぱり分からない。毎日試行錯誤をしてきたものの、むしろ、それまでなかったミスを連発する結果となっている。

(一体どうすれば良いんだ…)

「千手丸」

再び呼ばれて顔を上げると犬千代殿の隣に今度は武三もいる。

「ほらっ、言うんでしょ?」

「いや、しかしだな…まだ本決まりではないわけだし…」

何やら二人でこそこそ話している。

(?)

「全く、言わないなら俺が言っちまいますよ。あのな、千手丸…「武三っ、やはり俺が言うっ」」

武三が何か言おうとすると慌てたように犬千代殿が言葉を続けた。

「実はな…師からこの道場の師範にならないかと打診されているんだ」

ちょっと恥ずかしそうに犬千代殿が言った。

「えっ、それはおめでとうございますっ」

「いやぁ、ありがとう」

犬千代殿は顔を赤くして頬をかいている。

「全く、何を恥ずかしがってるんだか…」

武三は呆れた顔で犬千代殿を見た後、今度は何か企んでいるような顔で私を見る。

「そうそう、それで犬千代次期師範を祝おうと思うんだ。さすがに今日は千手丸も来るよな?」

これまではどんな誘いも避けてきたが、さすがにそう言われて断ることは出来ない。

「もちろん。私にも祝わせてください」

私の答えに武三の目が輝いた。

「おっ、やったぜ。よーしっ、今日は飲むぞぉっ」


◇◇


普段よりも自主錬を早く切り上げ、今日は三人で道場の近くの呑み屋に来た。

「で、千手丸はぁ、お師匠の謎かけにぃ、まだなやんでるのかあ?」

武三は陽気に呑み続けて二時間後には完全に出来上がってしまっていた。

「ああ…うん…」

私はお猪口に手酌で酒を注いで一気に煽った。

「その話だが」

犬千代殿が赤い顔で僕を見た。

「言葉ではなく師のつけてくれた稽古から考えてはどうだろう」

「稽古って言っても、打ち込もうとしたらなんだか分からない間に負けていたんですよぉ」

犬千代殿はまだしっかりしているけど、私も呂律が怪しくなっている。

「いや、…大切なのは『訳が分からない間に負けていた』ってとこじゃないか?つまり、…心の隙をついた…とでも言うかな。『打ち込もうとしたら』というのも気になるな。攻撃しようと思う、その瞬間が狙われているのか…」

犬千代殿が考え込むように目を閉じた。

「なるほどぉ…だけどぉ、どうすればそれが分かるのでしょう」

返事がない。

「犬千代どのぉ?」

「すぅ、すぅ…」

(えぇっ?寝てるぅ?)

「たけぞ…」

「ぐぉぉ、ぐぉぉ」

こちらも鼾をかいて眠っていた。

(はぁ)

私は犬千代殿の言葉を反芻しながら一人呑み続けた。


◇◇


「今日は忙しいところを済まなかったな」

武三を背負っているとは思えないほど軽々と犬千代殿が頭を下げた。

「いえいえー、おいわいれすからぁ」

一人で呑み続けた私はこれまでになく酩酊している。

「本当に大丈夫か?家まで送るぞ」

「らいじょうぶれす…すぐそこれすし」

数十分後、千鳥足の私と武三を背負った犬千代殿は店を出て別れた。

(そうら…忘れてたけろ、私も今日から十六らぁ…悪くない誕生日らったなぁ…)

私は家に戻ると腰にさした刀を抜いて帯を弛める。

「ふぅぅ、ちょっとのみすぎたかもぉ」

普段は女であることを隠しているため、役目で呑むことはあってもこれほど酔うことはなかった。

「ああ、くるしぃぃ」

胸に巻いたサラシの結び目を外した瞬間、『ボロン』と大きく育った胸が解放される。

「あつぅい」

目の前の景色はクルクル回っていた。

「おっとっと」

千鳥足のままサラシを外して、帯も完全にとると、畳んだままの布団に勢いよく飛び込んだ。

(あぁ…)

無理やり布団を敷くと、ゴロンと仰向けになって、ため息をつく。

引き締まった体に膨らんだ乳房。武三がこっそり見ている春画に負けぬ女の体が目の前にある。

(なんれ、こんらに…)

せめて胸がもう少し小さければ楽なのに。そう思って忌々しい二つの膨らみを掴んだ。

「ぁっ…」

ビリビリとした感覚が体を突き抜けた。

「なんらぁ?」

思わず出た声が今まで聞いたことのない女の声に驚きつつも、一瞬感じた甘い感覚に酔いで失われた自制心のままに続けてしまう。

(もういっかい…)

むにゅむにゅと指が食い込む。

「んっ…ぁぁっ」

痛いような気持ちがいいような不思議な感覚に再び声が出る。このまま続けると、なんだかいけないような、そんな感覚に体がゾクゾクした。

「ん…ふぅぅ…ぁっ、りゃめ…あっ、きゃんっ」

指が固く膨らんだ山の頂きを弾いた。

「あんっ」

(こんな…)

半開きになった唇からは以前武三にからかわれた時以上にオンナの声が出る。

「あっ、ふぁっ、ふっ、んんっ、んっ、んんんんっっ」

二つの頂を摘まむと体の中心を甘い電流が流れた。

(なんらぁ…こんなのぉ…やめられないぃぃ)

ビクビクと体が震えて、背筋が反る。布団の上で足がもつれる。

『クチュ、クチュ…』

体の奥から湿った音がした。

(ふぁ?なんら?)

恐る恐る手を伸ばす。

『チュプ』

「なんれっ?もれたぁ?」

普段小水をする部分が濡れていた。

(れも…おふとんは濡れてないら?)

もう一度指で触れる。

(ふぁっ、あちゅいぃぃ)

ピチョっと指が熱い泉に浸かる。

一度指を顔の前に出して見ると、窓から入る月明かりに指先が光っていた。

(これなんらぁ?)

今度は指で泉の付近をなぞる。

「んあっ」

体がのけぞった。

ビックリするくらいの強い感覚に次はゆっくりと触れた。

「んあっ、らめっ、こえ、らめっ」

だけど指は気持ちいいところを覚えてしまった。

「あんっ、あっ、あっ、あっ」

声も抑えられない。

(らめになるぅっ、あっ、らめになっちゃうぅぅぅ)

背筋をゾクゾクした何かが走る。

(こわいっ、こわいよぉっ)

いけないことをしてる、いきたいけどいっちゃダメな感じ。

だけど、指はひたすら快感を目指して動き続ける。

そして、突然その時がきた。

「あっ、やっ、らめぇぇぇぇ」

体がビクンッと大きく痙攣した。

「んっ、はあああぁぁぁっ」


◇◇◇


「…はぁ…」

僕が目覚めたのはまだ夜明けまで数時間といったところ。

(それにしても…なんて夢を…)

『ちゅく…』

(んんっ…)

夢の中での出来事なのに体の奥が疼いていた。

(村正がいたらなんて言うかな)

『主殿、それは欲求不満じゃの。解消せぬといけないぞえ』

村正の声が聞こえた気がする。

(そうか、もう今日は三日目だ…)

おもむろに起き上がって、僕は薬の箱を開けた。

赤と青の卵を見て赤を手に取った。

千手丸の時の快感がまだ脳裏に残っている。これまでも村正の力による発情や発作など、不可抗力でヤったことはあっても、自分でこんなことをしようとは思わなかったのに…。

「ゴクリ」

『ピシッ』

心の中で期待したその瞬間、卵に亀裂が入った。

(割れちゃった…もう…割れちゃったんだから…仕方ない…よね?)

僕は卵をシーツの上にそっと置いて服を脱ぐと、四つん這いになってベッドの脇に服を置く。

(三日目だもん…やっとかないと…)

『パキッ』

後ろで微かな音が聞こえた。振り返る間もなく、いきなりふくらはぎがあの独特のヌメヌメした感触に包まれた。

「ぇ…、ひゃっ」

『ニュルッ』

続けて太腿に絡みつく感触に僕は畳みかけていた服をきつく握り締めた。

『くちゅ』

もちろん、触手の狙いは太腿のつけ根。そしてその部分は夢から覚めた時には既に蕩けていた。

「ひゃうぅぅっ」

シーツに顔を埋めて腰を揺するものの、一度まとわりついた触手が離れるはずもなく…。

「あぁ…だめぇ…」

僕は気がつくとお尻を高くあげていた。

(これは…夢のせい…)

触手を誘うように膝を少し開くと、ニュルッと割れ目が擦りあげられる。

「ふあんっ」

入口付近で甘えるように体をくねらせるから、敏感な突起がヌルヌルと擦れる。

「あっ、んっ、くぅっ、やらぁっ、あっ、そこぉっ、らめぇっ」

触手の粘液に媚薬成分が含まれているのか、舌がまわらなくなる。

頭がぼんやりして、何がダメなのか分かんなくなってきた。僕の体には触手に対する忌避感はもはや微塵もない。

それなのになかなか触手は入ってこない。

「あぅぅぅ…はあんっ、んんん…」

(まだぁ…?)

充分体に媚薬成分が馴染む頃には、僕は四つん這いでいることもできなくなり、蛙のようにベッドに潰れていた。

「はやっ、くぅぅっ、もっ、我慢できないぃぃ」

遮音の魔術がかかっていなくても、きっと僕は声を出していたに違いない。それほど体は限界だった。そして、おねだりが聞こえたのか、ようやく触手が入ってきた。

『ニュルッ』

「んああっ、ぁっ、あああああっ」

(あうう…入れられただけでイっちゃったよぉぉ…)

絶頂の余韻が収まる前に触手はさらに動き出す。膣がギュッと触手を締めて、その形がはっきりと頭のなかに浮かんだ。

これまでのものと違って、太い棒状の触手に小さな粒々がびっしりとついている。

(こんなので擦られたら…)

『ジュブジュブジュブジュブ』

「んああああああっ」

(こんなのっ、らめぇぇっ、こわされちゃうよぉぉっ)

「あっ、んっ、あっ、今っ、イっちゃったからっ、あっ、らめっ、またっ、あっ、ああっ」

連続でイカされる。今度は昇りつめたまま深い絶頂に意識が遠のく。

『ジュブジュブジュブジュブ』

「あにゃっ、やらっ、あああっ、やらやらやらやらっ、もお、やりゃぁぁぁっ」

意識が何度も飛んで、その度に強い快感によって連れ戻され…、それは空が白み始める頃まで続けられた。

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