37.理事長と取引③ その日が来た(⑱禁描写無し)
「なるほどな。ふむ………いや…信じられんな。」
理事長は僕の全身を舐めまわすように見た。
ぞっとして全身に鳥肌がたつ。でも、あの夜と違って気持ち悪いだけだ。女の子の時と感覚も全然違うんだなぁ。
「疑うわけではないが一度確認してみない事には何ともいえんな。ふむ。ではこうしよう。次に女の子になったら連絡するように。勝手に男に戻ったら…分かっているね。」
「…はい…」
…まさか痴漢のおじさんが理事長だったなんて…。運の無さが恨めしい。
先生がみんなに家の事情って説明していて、教室ではクラスメートに質問されたりはなかった。
今日はクラブにも図書館にも行かず、家に帰る。
ベッドに転がっていくら悩んでも良い案は浮かばない。
こういう時に隆に相談したいけど、隆は大事な試合前だから邪魔したくないし…。
あああっ、もうっ、悩んでもうまくいかないよっ。まだ時間はあると思うし、ゆっくり考えよう。
ところが、翌日から今月後半に行われる学祭の準備が始まったせいでのんびり考える暇なんて全然なくなってしまった。
僕のクラスは男子がコスプレ女装して女子は男子のコスプレを着て教室をカフェっぽい店にするつもりらしい。
カフェっぽいお店にするということでテーブルクロスを作ったり、食べ物や飲み物を打ち合わせしたりと毎日忙しくなった。
さらに新聞部の活動もしないといけない。
何日かは僕もクラスの準備を抜けさせてもらって新聞部の活動をした。
どうやら僕のいない間に僕の衣装を何にするかで男子と女子が揉めていたようだけど…みんな僕をなんだと思ってるんだろ?
新聞部としては和也と二人で、学祭前に色んなクラスをまわって、それぞれのクラスの写真を撮って記事にする。
掲示板や各クラスに貼らせてもらったら面白いんじゃないかなって思って企画してみたんだ。
もちろん隆のクラスにも行った。
僕が行くと学祭準備中の人たちが集まってきて、「隆なら部活だ」とか教えてくれた。
だけど新聞部だと告げて、インタビューをしようとすると、逆に隆との関係を訊かれる始末。話がなかなか進まない。
なんとか話を聞けたけど、女子からの生暖かい視線が何とも言えず居づらかった。
事前の新聞も出来たし、次は学祭当日に和也と僕はそれぞれ受け持ちのクラスをまわって写真を撮ることになった。
そうこうして忙しい日々をこなしている中、土曜の午後に初めて学校で女の子になった。
誰もいない新聞部の部室。
僕の身体について調べ物をしていてうつらうつらして起きたら女の子になってた。
どうやら寝てる時に性転換は起こるみたい。
慌てて準備しておいたおっぱいを目立たなくするブラジャーをつけて学校から帰った。
女の子の身体で電車に乗るだけであの日を思い出してドキドキする。周りの男の人を思わず見てしまう。
はぁ…こんなのでもつのかなぁ?
家に帰ってお姉ちゃんに電話すると、5日間待つよう指示を出された。
さらに5日経って治らなかったらセックスをして、回数を数えるように、と。
次に嫌だけど理事長に電話をする。
理事長のニヤつく顔が目に浮かんだけど、我慢して、お姉ちゃんとの実験についても話をした。
理事長は月曜から放課後理事長室に来ることと指示した。もちろん、セックスをはしないと約束してくれた。
「私を味方につけたら学校でも便宜を図ろう。」
最後に理事長がそう言ったけど何の慰めにもならないよ!
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