14周目 9月24日(金) 午後11時55分 小曽根淳
タクマがテクニックもクソもない腰の振り方をしているのを俺はタバコを片手に眺めていた。
(まるで覚えたばかりの中学生だな)
オンナ、どうやらタクマの言葉からミサという名前のようだ。そのミサは、頭の上でタクマに手を押さえつけられてまるで無理矢理犯されているように見える。
「たくまぁっ、んっ、もっとちゅいてぇぇっ」
別のモニターにはちょうど横顔が映っているのを見て俺は息を飲んだ。
「…っ」
この映像がかなりの高額で売れることにもはや疑いようはない。だが、それだけではなかった。俺の中で別の感情が生まれていた。
整った眉を八の字にして快楽に歪む表情が情欲をそそる。
このオンナをモノにしたい。タクマのオンナなので寝とるわけにはいかないが、うまくヤれないか、気がつけばそんなことを考えていた。
「………熱っ」
ちょっと熱中し過ぎていたようだ。いつの間にかタバコは根本まで燃え尽きていた。
(おかげで正気に戻ることができたが…なんなんだこのオンナは…)
『コンコン』
(チッ)
俺はタバコを揉み消して、リモコンのボタンを操作する。モニターが通常の画面に変わったのを確認して返事をした。
「誰だ?」
鍵を開けるとドアの隙間からよく見知ったオンナががひょいと顔を覗かせた。
「なんだ、アズサか」
このオンナはアズサ。もう五年、いわゆるセフレとしてお互いうまく付き合っている。
「ねえ」
アズサは部屋に入ると、ごく自然にじゃれついてきた。そのせいもあって柔らかいGカップがタンクトップの胸元に深い谷間を作っていた。
確かどっかの会社で真面目に事務として働いているはずだが、そんな姿を俺は想像もできない。
「アタシさ、今日暇なんだよね?」
これはセックスの合図だ。
女子大生になったばかりの頃はまだまだ若さばかりが目立つ子供だったが、俺とのセックスの賜物か、数年で男好きするエロい体へと成長した。
その上、サバサバした性格と、そのくせセックスになると尽くしてくる。セフレとしても最高の女だ。
「ね?どう?」
アズサがロングの髪をかき上げると、綺麗に処理された(永久脱毛しているらしい)腋があらわになって思わず目がいく。
(いつもなら相手してやるんだが)
俺はこれまた綺麗なうなじに軽くキスをして話を打ち切った。
「悪いな。ちっと忙しいんだ」
ここで普段なら今度晩飯でもどうだ、などと言っておくのだが、なんとなく今日はそんな気にならない。
(なんだ?…ふっ、俺も余裕がねえな)
「ふーん…そーなんだ」
何やら含みを持たせた言い方をしながら俺の膝に横座りになった。尻まで見えるんじゃないかってくらい際どくカットされたショートパンツの尻を股間に押しつけてくる。
「忙しいのって五階のお客さん?私も見たいなー」
俺は思わずアズサを見た。
「……ん?誰から聞いたんだって顔ね。竹田君が言ってたのよ。大丈夫、私しか聞いてないから」
チッと思わず舌打ちする。カウンターに立っていたのは確か竹田だった。
竹田には五階のことを教えてはいない。だが、それにしても口が軽いのは後々面倒を運んでくる。
話を聞いたのが梓で良かったかもしれない。アズサなら口も固いし、既に何人ものオンナを紹介しているので裏切られることもない。もちろん、五階の利用者の一人でもある。
「ねっ、良いでしょ?」
「仕方ねえな、今回だけだぜ?」
俺は再びモニターを五階に変えた。するとミサの喘ぎ声が部屋に響いた。
「ああんっ、はぁっ、きもちいっ、きもちいよぉっ」
先程と変わらない光景が広がっている。
「あらあら、お盛んね」
からかうような口調のアズサだが、目はしっかりとモニターを見つめていた。
「このビッチがっ、チンコさえありゃ誰にでも腰を振ってんだろっ」
「んんっ、しょんなことっ、あっ、しょこっ、きもちいっ、らめっ」
「クソがっ」
(タクマの言動からはミサが浮気をしたように聞こえるが…)
「凄い可愛いコねー。………ふーん、この子が浮気でもしてたのかな?」
やはりアズサも俺と同じ感想をもったようだ。俺は頷く。
「でも、なんか変じゃない?なんだろ、温度差っていうの?」
言われてみれば確かにそうだ。怒られているはずのミサの方には申し訳なさそうな態度が見えない。
(天然のビッチってやつか?)
「あっ、んっ、らめっ、こえがっ、でちゃうよぉっ、やらぁっ」
俺の勘は遠からずといったところだろうか。モニターの中ではミサが無邪気に両手をタクマの顔に添えてキスをねだっていた。
「う…」
「あっ、んっ、んんっ、おねがいぃ」
少し恥ずかしそうな、それでいて蕩けた顔にタクマが顔をそむける。
「…くそっ、だめだっ」
「やぁっ、イキそっ、あっ、おねがいっ、あっらめっ」
タクマの下でミサの白い体がくねる。
「そんな顔…誰にでも見せてるんだろっ」
「たくまだけっ、あっ、んんっ、たくまっ、だけだからぁっ、ねっ、んっ、あっ、おねがいぃぃっ」
おねだりを繰り返すミサの愛らしい様子を見れば、男ならすぐに許してしまうだろう。
それどころか、淫熱で火照った頬に涙で潤んだ目は俺のチンコが膨らむほどの色気があった。
「ああ、これは無理、女の私でもこの子が欲しくなっちゃいそうだもん」
モニターをガン見しながらアズサが呟く。そしてアズサの言葉通り、タクマも落ちた。
「くそ、今回だけだからなっ」
「たくまぁ、しゅきっ、んんっ、ねろっ…ぷはっ、しゅきぃっ、やっ、ああっ、きもちいっ」
二人は舌を絡めて絡み始める。ミサは両手を琢磨の頭に回してうっとりとした表情だ。
(こりゃあエロいな)
その時、俺は股間にむずむずとした刺激を感じた。
「ねえ?これ、なあに?」
アズサがいつの間にか俺の方を見ている。瞳が欲情で潤んでいる。
(ん…?)
アズサが他人のセックスを見てここまで乱れるのは珍しい。
そしてアズサの言う『これ』とは、尻の下でガチガチに勃起したチンコのことだ。こんなことも初めてだ。
「もお、女の子の前で別の子見て勃つなんて、いけない子ね。こんな悪いおちんちんにはお仕置きしないと、ね?」
膝に乗ったまま馴れた動きでズボンとパンツを手早くはだけさせる。すると、パンツで押さえられていたチンコが飛び出した。
「うわっ、すごぉい。こんなになるまで興奮してたんだぁ」
そう言いつつ亀頭の裏を指でつつっと引っ掻く。
「どうする?入れたいなら良いよ?」
俺に背中を向けて立ち上がったアズサはホットパンツを太腿まで下ろした。デスクに手をついて突き出す尻はまるで何も履いていないように見える。
「ほらぁ」
アズサがそう言いつつ両手で尻を割ると、尻の割れ目にTバックの紐が食い込んでいた。紐のせいではみ出たマン肉が俺の股間を刺激する。
「どぉ?見える?」
さらに、その紐をずらすと、濃い赤色のマン肉の奥まで愛液で光っているのが見えた。
「なんだ、お前もグチョグチョじゃねえか」
我慢する必要もない。
「あの子だと思って無茶苦茶にしても…ぁっ」
アズサが話している最中だったが、俺は尻を掴んでそのままチンコを押し込んだ。前戯もなしに挿入したわりに、しとどに濡れた肉厚のマンコは俺のチンコを迎え入れた。
「ああっ、いっ…つもよりおっき、…んっ、まっ、まだっ?あっ、なにこれっ、凄っ」
ミサとタクマのまぐわいを見ながら深くまで押し込んでアズサの膣中(なか)を味わう。
「あっ、オーナっ、動かないでっ」
アズサが普段味わうことのない膣奥の奥に擦れる感覚に体を震わせていた。
「動くぜ?」
「あっ、まっ、んあああっ」
アズサの背中が反り返った。
ビクビクと震える背中を舐めあげると俺は本格的に動き始める。
「あっ、あっ、こんなっ、すごいっ、オーナっ、すごいっ、こんなのっ、知らないっ」
パンパンとチンコを出し入れしつつモニターを見た。
「いいかっ、お前は俺だけの女だっ、分かったかっ」
「あっ、うんっ、あっ、あっ、うんっ、うんっ」
舌を出してねだるミサにタクマが乱暴に唇をぶつけ、再びキスを始める。
「あっ、んっ、ねっ、オーナーっ、私っあっんんんっ」
アズサが振り返る。俺はその目が求めているものをすぐに理解した。
「いいぜ」
そして俺達も濃厚なキスを開始した。
「んっ、ちゅっ、あふっ、んっ、ちゅっ、ねろっ」
舌を絡め合ってお互いの唾を交換する。
「あっ、オーナっ、んっ、きょっ、あっ、すごっ、立ってらんないっ」
足に既に力が入っていないのか、よく見るとアズサはデスクに突っ伏している。
「しゃあねえな。ほれ、俺の上に来いよ」
俺は繋がったまま椅子に腰掛け、アズサを俺の上に座らせた。
「んっ、これっ、あっ、深っ、あっ、んっくぅっ」
アズサの腰を掴んで俺は無理矢理上下させる。
「あっ、やっ、オーナっ、だめっ、おくにあたっ、ああっ、イきそっ、あっ、イクっっっ」
「んはっ、あっ、らめっ、イクっ、イッちゃうっんっ、んんんんっ」
画面の中と外でオンナが高みに昇るのを見て俺はひと息ついた。
「アズサ、お前、今日は締まり良すぎだろ」
後ろから抱き締め、耳元で囁いてやるとブルブルっ、とアズサの背中が震えた。
「んっ、だってぇ、こんなの見せられたらっ、あっ、今日はすぐっ、んっ、あっ、またっ、イキそっ、あっっ」
アズサの声と重なるようにしてモニターからは再びミサの絶頂を告げる声が響く。
「やらっ、イッちゃうっ、あっ、きしゅっ、きしゅしてぇっ」
「んっ、ああああああっ」
画面の向こうでミサがキスしながら達したようだ。
「アズサももう一回イクか?」
「え?」と振り向いたアズサの唇を奪うとニヤッと笑って俺は腰を掴んで立ち上がる。
「あっ、オーナっ、あっ、そんなっ、きゅうぅっ、イッ、イクっ、イクよっ、うっ、んっんんんんっ」
そして、アズサも大きく痙攣する。
「はぁ、はぁ、はぁ、きょ、今日のオーナー凄かった…」
膣肉から抜いたチンコは愛液で濡れそぼっていた。
まだまだ元気な俺に対してデスクに倒れこんだアズサはTバックを上げることもできず荒い息を吐いていたが、チンコを見て俺が射精していないのを気にしたようだ。
「はぁ…はぁ…ごめん…私だけ……続き…」
だが、別のオンナの代わりに抱くなんてことは失礼だ。首を振るとアズサも察したのか、ふらつきながらパンツを上げた。
さらにしばらくして息が整うと、膝に引っ掛かっていたホットパンツを履き直した。
「じゃあ…行くね」
そう言ってチラッとモニターを見たアズサがふと、不思議そうな顔をした。
「あれ?この男の子さ、ゴムつけてんじゃん。あんなにビッチだなんだって言ってんのにね」
「ん?」
確かに言われてみれば妙だ。
「それに、オーナー気づいてた?この男の子さ、多分ネトラレて興奮してるよ」
「は?」
今度はさすがに俺の口から間の抜けた声が出た。
だが、アズサの勘はバカにできない。
なるほど、タクマがやたらとミサを罵倒するのは怒りからきているのだと思っていたが、そう言う見方をすればそう見えてくる。
「なるほどな…」
(中出しもせず、ネトラレ好きな…)
「今度はゆっくりシようねっ」
そう元気よく言うとアズサは出ていった。
それから、俺はタバコをつけてふと考える。
(ネトラレ好き…か)
基本的には五階を使う客の所に乱入することはあり得ない。だが、心の中でむくむくと膨らむ欲望に俺は立ち上がった。
ドアを開けて鍵をかけるとエレベーターに向かう。
「あんっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああああっ、グリグリっ、あっやあっ、イクっ、イクぅぅぅぅぅ」
ドアを開けるといきなり大音量のあえぎ声が聞こえてきた。どうやら、またおっ始めたらしい。
ミサは目を閉じているのかして俺が入ってきたことに気づいていないようだ。
(タクマは…)
問題はタクマの方だ。このタイミングで揉めるわけにはいかない。
だが、タクマからは俺が見えているはずだが、何も言わなかった。
アズサのアドバイスもあって、こうなることは予想通りだ。思った通りの展開に俺は心の中でほくそえむ。
そして、すぐにその場で服を脱ぎ捨てると俺はミサに近づいていった。
イッたばかりで目の端を赤く染めている顔を間近で見ると実物は映像以上だ。
「はぁ…はぁ…ん…」
小さな唇を亀頭の先で軽く押すと舌がチロっと出てくる。
(うっ)
モニター越しにずっと見ていた美少女のフェラチオに思わずチンコが反応した。
さらに、タクマのモノと勘違いしているのか、ミサは口を開いてそのまま亀頭を呑み込む。
「おおっ」
別の生き物のように舌がチンコに絡みついてきて思わず声が出てしまった。
ミサは俺の声にも気づかず、目を閉じたまま両手で棹を握ってペロペロと舐め始めた。
「………チッ」
タクマをチラッと窺うと、ミサの様子にイラついているようだ。
「くそっ、やっぱりチンコならなんでもいいんじゃねえかっ」
そして、再びがむしゃらに乱暴な注挿を開始した。
「あっ、んぐっ、んっ、むんんんっ」
ミサは前後に揺すられて何度も口から吐き出しつつ、それでも健気に俺のチンコを離さない。
「オラッオラッ」
タクマはその姿にさらに怒りのボルテージをあげた。
「きゃっ、んんっ、んああっ」
ミサが叫んで、また絶頂に至った。そこで一旦タクマがミサを四つん這いにする。俺のチンコを握っていた手も離れたが、俺はすぐにミサの前に立った。
ミサは両手をついているので、口だけで俺のチンコに奉仕を始め、もちろん、タクマはその姿に目を血走らせた。
「あっ、んっ、むちゅっ、んぐぐっ、んっ、ふぅぅっ、んんっ、ぷはっあっあっあっ」
ミサのフェラチオは絶品だ。それに何よりチンコをうまそうにしゃぶる。
「あっ、イクッ、イクッ、イっ、あっ、ああああっ」
ミサがチンコを吐き出して絶頂を告げた。腕は曲がって尻だけを突き上げてタクマのチンコを受け入れた。
フェラが中断されてしまい残念ではあるが、俺は少し離れて二人を観察することにした。
ミサはその後数分の間に何度も絶頂を口にする。おそらくイキっぱなしになっているのだろう。
そして…。
「くそっ、イッちまうっ、……………くそっ」
それからしばらくして、ようやくタクマが射精した。
ビクビクとミサの背中が痙攣する。どうやら同時にミサも達したようだ。
しばらくしてタクマがチンコを抜くとミサは横向きにソファに倒れこんだ。
「ふうっ、ふうっ、くそっ」
タクマがミサを見下ろして、その脇腹にコンドームを叩きつける。
こんなに怒っていながらタクマはゴムを使っている。これが意味することは…。
(やっぱりコイツ、ミサのことを…)
だが、タクマが服を着終えているのを見て考えるのを中断した。
「おいっ、タクマ」
ところが、タクマは振り向きもせず、「あとはアツシさんに任せる」とだけ言ってドアに向かった。
「ああ、任せとけ」
部屋から出ていこうとするタクマの後ろ姿に俺は声をかけた。
これが何を意味するのか、もちろん、タクマは知っているはずだ。
「そういやよ、タクマ、ゴムが切れちまっててな」
バタン、とドアが閉まった。そして、残されたのは意識の朦朧としたミサと俺だけだ。
(ちゃんと言ったぜ?なあ、タクマ)
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