89.学園① トイレで見られて
会館のガラスの扉を開けて中に滑り込む。
「ふう…やっと着いたな。…誰にも見られなかったよな?」
そう言って振り返った俺の胸に柔らかい遊の体が飛び込んできた。
「お…おい」
ギュッとしがみつく遊。ふわっといい匂いが漂う。
「うわぁんっ、たかしが無事で良かったよぉ」
「どうしたんだ?」
「ひぐっ…だって、たかしがおかしくなって…ひっく……もう治らないのかと…ひっく…うえーん」
泣いてばかりでなかなか要領を得ない遊の話を辛抱強く聞いた俺は何が起こっていたのかを理解した。
「はぁ、つまり、お前が処方箋を無視して飲ませた薬のせいで俺の体がおかしくなったってことか。で、結局お前が治してくれたってわけだな。」
「うん…あの…ごめんなさい。」
遊の頭を撫でてやると遊は涙に濡れた瞳で俺を見上げる。
「まぁ、やってしまったことはしょうがないだろ。治ったからいいが、今後は注意しろよ。」
意識をなくすほど強い興奮剤って姉貴の奴なんてもんを渡すんだ。弟の体のことなんて気にもしてねえな。
それに、このチンコ…元に戻るんだろうな?
……ん?
遊がこちらを見上げて何やらもじもじとしている。
「何だ?」
「たかし…ほんとに怒ってない?」
遊がもじもじとしながら俺を見つめてくる。
「いや、怒ってねえから。」
「ほんとに?」
「ああ、本当に怒ってない。」
「あ、あのね、安心したらちょっと…おしっこしたくなっちゃって…」
小さな声でおずおずと言う。
「トイレに行けばいいじゃないか。」
「でも、トイレに行ってる間にたかしがどっか行っちゃったら…。」
「どこにも行かねえよ。」
「やっぱり怒ってるぅ。」
「だから怒ってないって。」
「じゃあ一緒についてきてっ!」
どうも遊は幼児退行したようなところがあるな。はぁ…
結局トイレの前までついていかされた俺はそのままトイレに…
「いやいや、外で待ってればいいだろ」
「やだっ」
「でもお前、ションベンの音が聞こえるぞ。」
「あ…」
「な、外で待っててやるから。」
「いっ、いいの。」
「へ?」
「たかしになら聞かれてもいいの。」
そう言うと遊の手が俺を引っ張って、予想していなかった俺はトイレの個室に連れ込まれた。
「おい、今なら出れるぞ。」
「いいからっ、たかしは黙ってて。」
遊がパンツを脱ぐと便座に座った。
口では威勢よく言っているが、耳まで赤くなっている。
膝に引っかかったパンツは電車の中での情事のせいでビチョビチョに濡れて色が変わっている。
「やだっ、見ないでよぉ」
俺がパンツを見ていることに気がついて慌てる遊と目があった。
頬を染めた遊の顔はちょっといじめたくなるような…
「ね…ねぇ、たかし…やっぱり外で…」
「ダメだ、お前が連れ込んだんだからな」
「うぅ…じゃあ、せめて目を閉じてくれない?」
「だーめ」
しばらくああだこうだと言っていたが、遊は我慢の限界に達したみたいで、真っ赤な顔で俯いてプルプル震えたかと思うと『ちょろちょろ』と音がし始めた。
「やぁ…隆見ないでぇ」
結構長い間『シャー』っと水音がして、遊の顔がプルプルと震えていた。
「顔が見たいな」
「へ?」
遊のあごに手を当てるとイヤイヤするが、無理に上を向かせると潤んだ瞳がこちらを見ていた。
遊のそんな顔を見ていると俺の股間に血液が集まる。気がつけば唇を奪っていた。
『ちゅっ…んちゅ』
水の音が止まり、遊が顔はこちらを向いたまま、目線を泳がせる。
「隆…おっきくなってるよ」
「ああ、遊が恥ずかしがっている姿を見てたら…」
「ぼくのせいなんだ。」
「ち…」
『違う』と言おうとしたが遊の手が俺の股間を触って声が止まる。
「ぼくのせいなら責任を取らないと…。」
そう言ってサワサワと触り始める。
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