2周目 9月21日(火) 午前8時20分 島津政信

2周目 9月21日(火) 午前8時20分 島津政信

電車からよろよろと降りて駅のホームにたどり着いた。

(散々弄られてるのが撮られてたなんて…明日どうしよう…)

「はぁ…」

『とんっ』

「うわあっ」

肩を叩かれて驚いて振り向いた先に驚いた俺の顔、じゃなくて高樹の顔があった。

「んっ?どうしたんだよっ?」

高樹もキョトンとした顔で俺を見つめた。

(しまった。誤魔化さないと…)

「い、いや、ちょっと驚いちゃっただけで…」

高樹と目を合わせられない。

「そうか?」

疑っているのがありありと分かる。

(なんとかしないと…ひとまずこの場を何とか…そうだっ)

「あっ、そっ、そうだっ、ちょっとトイレに…」

「ん?トイレか、急いでいってこいよ」

(なんとか切り抜けられたか?)

俺は急いでトイレに入った。

「はぁ…」

(さて、トイレに来たはいいけど、あの場から逃げるために適当に言っただけだし…どうするかな?)

とりあえず便座に座ってみるとちょっと尿意が湧いてきたので立ち上がってパンツのゴムに指を掛ける。

脱ぐときに太ももの内側に少し冷たい感触が…。

(なんだ?)

そう思ってパンツを触ると、グチョグチョに濡れていた。

(あれ?漏らしたか?)

思わずイチモツの無い股間をまさぐる。

「んあっ」

『チュプッ』

指がヌメヌメの割れ目に沈み込んだ。

(んんっ、いやいや、違うだろっ…だけど、これって……あーっ)

嫌な想像が頭をよぎる。

(まっ、まさかっ…あの痴漢で濡れてしまったってことなのか…?)

想像を振り払うように頭を振ると慌ててパンツを履いて外へ出る。

「高樹っ、おーいっ」

後ろから声をかけられて振り向くと高樹が待っていた。

「あっ、ごめん。ありがと」

待っていてくれた高樹に礼を言って学園に向かう。

『リリリリン、リリリリン』

もうすぐ校門というところでカバンから音がした。

「あっ、ゴメン、マナーモードにするの忘れてた」

「気をつけろよ、授業中にでも鳴ったら没収されるぞ。で、誰からなんだ?」

「えっと…?高樹、琢磨って人からメールだ、高樹の彼氏だっけ?」

そう言って見上げると高樹の顔が曇って、難しい顔をしていた。

「なんて書いてあるんだ?」

「うーん、何か今日会いたいって言ってる」

「返信はちょっと待ってくれ、後でなんて返信するか決めよう」

いつの間にか校門をくぐっていた俺たちは教室を目指す。

◇◇◇◇◇◇

2周目 9月21日(火) 午前10時 高樹美紗

(しまった。琢磨を忘れてるなんて…どうしよう)

アタシは授業中も頭をフル回転して考えていた。

(アイツのことだから会おうって言われて会ったら絶対にエッチしようとするだろう。ということはプランは二つ。しばらく会わないか、別れるか。だけどアイツがそう簡単にアタシを諦めるとは思えないし…)

「…づ…おーい、島津君?」

(ん?)

周りから視線を感じて前を向くと先生がアタシを見て苦笑いしていた。

「おお、やっと気づいてくれたか?」

先生がおどけて言うとクラスに笑いが起きた。

「す、すみません」

そう言って当てられた問題に答える。

(予習をしておいて良かった…だけど、琢磨の件は…うーん、別れるっていうよりも距離を取るって言ったほうが良いかな)

先生がチラチラとこちらを見ているのに気がついてアタシは授業に集中することにした。