2周目 9月21日(火) 午後9時30分 島津政信
(ん?暗いな…あっ、そうか…寝てしまってたのか…今何時だろう)
時計を探そうとして、携帯が光っていることに気がついた。
『着信36件』
(げっ)
琢磨と高樹からすごい量の着信があった。
(とりあえず、高樹に連絡しないと)
『トゥルルルルルル、ガチャ』
その瞬間大きな声が響いて慌てて電話を離す。
「もしもしっ、島津っ、アンタ何してんのよっ」
「ご、ごめん…家に帰ってホッとしたら寝てしまってて」
なぜか下手に出てしまう。
「アタシがどんだけ心配したと思ってんのよっ、寝るなら寝るでメールくらいしなさいっ」
「ごめん…」
それでも高樹の怒りはおさまらないみたいで「家に着いたらまずメールするでしょ普通っ」などと怒られて、俺は謝り通しだった。
(だけど、これも心配してくれてるからだもんな)
「そういえば、琢磨からも電話がたくさん来てるけど…」
「琢磨っ?」
電話口で溜息が漏れる。
「ああー、しつこい男ね。いいのよ、無視して」
「だけど」と俺が言いかけると
「どうせ別れるつもりだったからちょうどいいのよ、いい?絶対に電話もダメ、会ってもダメだからね」
「あっ、ああ、分かった」
「ふぁぁあ、もう今日は部活もあったしで疲れたわ。また明日迎えに行くから」
「了解」
「じゃあ、おやすみ」
「おう、おやすみ」
電話を切って…頭の中で痴漢の言葉がぐるぐる回る。
(「明日も待ってるよ」…どうしよう、だけど…高樹の恥ずかしい映像が出回ったら…それこそ取り返しがつかないし…元の体に戻ったらあの男を捕まえてカメラの中身を消せば…)
◇◇◇◇◇◇
2周目 9月21日(火) 午後10時 高樹美紗
アタシは布団に寝転がって今日のこと、これからのことを考えていた。
(琢磨の件は何とかなりそうだし、あとはどうやって残りの日数で島津との距離を縮めるかよね)
さすがに島津のふりをして部活までやったせいか眠気が襲ってくる。
(ああ、でも残された日数を考えると何かイベントでもないと劇的に仲良くはならないよね。毎日一緒に登校するのはいいけど、帰りは違うし…うーん何とかして二人の時間を増やさないと…何か良い手はないかなあ…)
悩んでいる間に気が付くと疲れから眠りに落ちていた。
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