少年が恋人と二人にして欲しいと言ったので、部屋に残してウィリアムとアンナは外へ出た。
「こういうのは辛いな」
アンナが空を見上げてつぶやくように言った。
「そうですね…」
部屋の中からはすすり泣く声が聞こえてくる。
「彼はこれからどうするんだろうな…」
アンナは無意識に呟いたのだろう。そしてその言葉が聞こえてしまったのではないか、とウィリアムの顔を窺った。ウィリアムも数年前に恋人だったハンターを魔物との戦いの中で失っていた。
ウィリアムの口から答えはない。
恋人を失っても、親友を失っても、それぞれがそれぞれの道を生きていくしかないのだ。
そして、そこに家を回っていたレオンが加わった。
「坊主はどうだ?」
そう尋ねたレオンだが、ウィリアムとアンナの表情で察したようだった。
救えない被害者の処理をアーバインとともに引き受けていたレオンの顔にも疲れが現れていた。
「そうか…だが、いつまでもこうしているわけにはいかんからな」
泣き声はいつの間にか止まっていた。アンナが扉に向かう。
『コンコン』
そしてその直後、家の中から怒声が響いた。
「おいっ、お前!何してるんだ!馬鹿野郎!」
その声にウィリアムとレオンも家に飛び込む。
そして、二人が目にしたのは寄り添うようにして倒れる男女の姿だった。
少女の胸にナイフが突き刺さり、少年の首からは血が流れている。その血まみれの手にはナイフが握られていた。
アンナがウィリアムを反射的に見たが、ウィリアムが首を横に振ったのを見て目を閉じた。
魔法の力でも死んだ人間を生き返らせることはできない。
ウィリアムはやるせない気持ちで外に出た。そしてなんとなしに村の奥に目をやった。
「なっ」
アオイが対峙しているのはオークではない。
(まさか…いやっ)
ウィリアムの中にあった先程までの感傷的な気持ちが一気に消えた。かなり距離はあるが、それでもハッキリと分かる。
「オーガ!?」
ウィリアムは再び家の中に飛び込んでレオンを呼んだ。
「おいおい…まさかだろ!?」
家から出てきたレオンも驚きの声を上げる。その時ちょうど別の家から出てきたアーバインもウィリアムの視線を追って目を見開いた。
「アオイィっ!…支部長っ!!」
アンナは悲痛な声を出して、レオンに助けを求めるが、この状況ではどうしようもない。
「なんてこった…オーガだと!?…くそっ!今から行っても間に合わんっ!」
ハンター達は固唾を呑んでその戦いを見つめるしかなかった。
オーガは体長二メートルほどの亜人種。
力も知能も高いのだが、多くは温和な性格で山間部に集落を作って静かに暮らしている。
ところが、注意しなければいけないのはまれに現れるハグレである。群れに馴染めないオーガの多くは性格が攻撃的だ。
集落を出たオーガはその攻撃的な性格が災いし、早かれ遅かれ他の魔物や人間のハンターに殺される運命にある。
だが、ごく稀に生き残る個体がいる。常に自分よりも強い相手を求めて戦い続け、そして勝ち続けてきた個体。
これほどの個体を確実に討伐するのであれば最低でもAランクハンターのパーティを準備する必要がある。
さて、防戦一方に見えた葵がオーガの強烈な攻撃を躱した。
その後は一瞬の出来事だった。
葵とオーガが交差する。二人の太刀筋はここからでは見えない。祈るように見つめるアンナの前で倒れたのはオーガだった。
「か…勝った、のか!?」
葵はラルフに抱き抱えられるようにして姿を消した。
「お前らは最後の確認を頼む。それが終わり次第馬車に戻れ。俺たちはアオイ、ラルフを連れて戻る」
レオンとアーバインは村の坂道を駈け上がった。
◇◇◇◇◇
『ドスン』
オーガが倒れるとフラフラと葵がこちらに歩いてきた。
「はぁ…はぁ…」
耐えきれなくなったとでも言うように、葵が自分の体をかき抱くようにして座り込む。
怪我をしていた様子はない。だが、上目遣いに見上げてくる目で理解した。
(力を使いすぎたのか…)
「あつ…ぃ………ラルフ…体があついよ…」
一緒にきた連中は後処理に追われているようですぐにやってくる気配はない。
俺は適当な家の裏に葵を連れて行った。
「ラルフぅっ…気持ちよくなろぉ♡」
潤んだ目で葵が俺を誘う。
「あいつらに見られるぞ?」
「そんなのいいからぁ♡…ねっ、ちゅうしてぇ♡」
葵が初めて自分からキスをねだってきた。
これまでは発情してもここまで飲み込まれることはなかった。それだけに今回はオーガ相手に相当の力を使ったことがわかる。なんとなくそれが羨ましいような悔しいような不思議な気持ちになった。長い間生きてきたが、初めての感覚だ。
「んっ、早くぅ♡」
俺が顔を寄せると首に腕が巻きつき、唇を合わせると自分から舌を絡めてきた。
「んっ♡れろ♡んちゅっ♡ぼく…おかしぃんだよ…こんなの…あっ♡♡」
俺は片手で胸を揉んだ。
「んあっ♡そこっ♡ちゅ、はぁん♡…んふぅ♡んっ♡ちゅう♡れろ…♡♡」
激しく舌を絡ませながら手を入れる。
「あんっ♡」
肌に触れただけで葵の体がビクンと震えた。
「んっ♡いい♡…きもち…いぃ…♡」
ブラジャーを無理やりずらして服の中で胸を揉んでやる。
「はぁんっ、おっぱいぃ♡♡」
ブラジャーから解き放たれた胸の先が布地にはっきりと浮いた。俺は空いた手で服の上からそれを摘まんでやる。
「あっ♡んんっ♡それっ、あっ♡あああっ♡♡♡」
切羽詰まったような声に俺もさすがに平静ではいられない。
「んちゅっ♡れろ♡ふぁあんっ♡♡」
葵が俺の股間に手を伸ばしてきた時にはズボンの中がパンパンに膨らんでいた。
「ちゅっ、んっはぁ♡♡…はぁ、はぁ♡♡ラルフの…おっきくなってるぅ♡♡♡」
葵は興奮のために上ずった声でズボンのボタンを外していく。
「ねぇ♡ラルフ♡…ぼくのおくち、好き?」
葵が口に指を咥えて俺を見上げた。
この間のフェラチオを思い出して俺は頷く。
「うふふ♡わかったぁ♡…よいしょ……あっ♡」
大きくなった俺の肉棒が目の前に出て、葵の目が釘付けになった。
「はぁ♡はぁ♡…すごい匂い…♡♡」
くんくん匂いを嗅ぐ。
「臭いか?」
そう聞くと潤んだ瞳で肉棒に顔を寄せた。
「くさくないよ♡……こうふんするかも♡♡」
肉棒の根元を両手で握ってうっとりと肉棒を見つめる。
「じゃあ、なめたげるね。ん…あーん♡♡…んん♡…んふ♡♡」
亀頭が咥えられる。
想定していた以上に熱く柔らかい粘膜が俺を包み込んだ。
「ううっ」
ヌルヌルの舌が激しく動いた。
「んふ♡♡ひもひいい?」
上目遣いに俺の反応を見る。
「あっ、ああ」
そう言うと肉棒の根元を握っていた手を離して、両腕で俺の腰に抱きつき口だけで咥えた。
頬の粘膜で、喉で、激しく吸う。
「んちゅっ♡♡んっ♡♡んんんっ♡んぐっ♡♡」
首を前後されると、射精感が昇ってきた。
「くっ、出そうだっ」
「んっ♡ぷはぁっ♡♡」
一度肉棒を口から出すと葵は手で擦る。
「いいよっ♡♡ぼくのおくちにだしてっ♡♡」
そして手の動きは更に激しさを増した。
「はぁ♡はぁ♡はぁはぁはぁ♡♡♡」
荒い息は興奮しているからだろう。
目が早く頂戴と訴えていた。
「くっ、イクぞっ」
「んっ♡きてっ♡むぐっ♡♡♡♡」
咥えるられると同時に亀頭の先が舌でねぶられた。
「うおっ」
『ドクンッ、ドクンッ』
激しい射精とともに「ん…ゴクン…ゴクン」と葵が飲む音がする。
全部射精しきったものの、まだ葵の手は俺のものを掴んだままだった。
「まだできる、よね♡」
そう言って俺を仰向けに寝かせた葵が俺の上にまたがった。
「あんっ♡ショーツぬぐの、わすれてたぁ♡」
ショーツのクロッチを細く綺麗な指がずらしたら、そのまま俺に見えるように肉棒の先を割れ目に沿って擦りつける。
「ん♡…はぁはぁ♡♡どぉ?興奮する?ねっ♡♡入れるよ♡とろとろになったぼくのおまんこ♡♡ラルフのおちんちんをたべちゃうよ♡♡」
荒い息で葵は目をランランと輝かせていた。そして、普段なら言わないような卑猥な言葉を口にする葵の姿に俺も普段以上に滾る。
「…んんんんっ♡♡♡」
柔らかくて熱い粘膜が亀頭を優しく包み込んだ。
「んんんっ♡すごいっ♡これ…あっああっ♡だめぇっ♡♡ふかいっ♡♡♡あああっ♡♡♡♡」
どんどん奥まで入ってきてついに全てが入った。
葵が体を仰け反らせて震えた。
「はぁはぁ♡♡…んあっ♡…んっ♡♡」
胸を揉んでやると上半身がビクビク震えた。
「あっ♡♡…だめぇ♡♡まだうごいちゃっんっ、んんん♡♡♡」
指を噛むような仕草が俺の興奮を高める。
「あっ♡これっ♡おくにあたる…あっ♡♡だめぇっ♡♡♡うごいちゃやだよ、ラルフ♡ダメだからね♡あっ♡ダメっていってるのにぃっ♡♡♡」
『グチュッ、グチュッ』
葵のダメはもっとしてくれという意味だと俺は理解している。だから、腰を少し揺らしてやるとゴリゴリと奥が擦れる感じがした。
「あんんんっっ♡♡♡おくごりごりしちゃらめぇ♡♡♡」
葵の体はビクビクと震えて、逃げようと一瞬腰を浮かせた。
「逃げるな」
そう言って腰を掴んで、引く。
「んにゃぁぁぁっ♡♡だめぇっ♡こんなのだめぇっ♡ぼくっ、ぼくっ、もうイっちゃうっ♡♡♡あっ♡イっちゃうっ♡♡おかしくなるっ♡♡♡」
膣肉がギュッとしまった。イったようだ。
「ふぁぁ……ありがと……♡」
どうやら激しい絶頂を迎えて、葵の発情は治まったようだ。
(だが…足らん)
「ちょっと激しくするぞ」
「えっ、だめっ♡♡いまはゆるしてっ、あとで、ねっ、あとで、いくらでもさせてあげるからっ、あんっ♡♡らめっ♡♡こんなのしゅごしゅぎてっ♡♡♡ん♡ああっ♡♡あっあああああぁぁぁぁぁぁ♡♡♡♡」
葵の腰を固定して上に向かって打ちつける。
「らりゅふっ♡イってりゅっ♡♡りゃめっ♡あっ♡またイクっ♡あっ♡やらっ♡やらっ♡らめっっ♡♡」
俺も限界が近づいてラストスパートに入った。
それを察知したように葵の膣中もきつく締まる。
「やあああああああっ♡♡イクイクイクっ♡♡♡♡あっ♡らめっ♡しゃせいしちゃらめぇっ♡♡らめになるぅっ♡ねっ♡ああっ♡♡んっ♡やぁぁぁああああっ♡♡♡」
俺の射精と同時に葵が目を白黒させて俺の胸に倒れてきた。
◆◆◆
「全く、あなた方は何をしているんですか?」
アーバインさんに怒られました。
「いやあ、激しかったなあ。嬢ちゃん、見た目はお嬢なのに、あの時は獣なんだなぁ。うん、人は見かけによらないってやつだ」
(レオンさん、やめてください。恥ずかしいです)
僕らの痴態は二人にバッチリ知られてしまいました。
レオンさんとアーバインさんは僕らを呼びに来て、あの声を聞いてしまったということらしいです。
僕の顔を見るたびに今回のことを思い出すんだろうなぁ、と思うと二人の顔は二度と見れません。
さすがに気まず過ぎて帰りの馬車の中ではずっと寝た振りをしていた。
◆◆◆
翌日の午後。ギルドにて。
多くのハンターの前でアーバインさんによる結果発表が行われた。
「ええ、今回の試験ですが、オーク63体、オーガ1体を二人で殲滅するのを確認しました。特にオーガは体長が3メートル超クラスの人間の言葉も喋るレベルでした」
アーバインさんの言葉に「ほぉー!」と色んなところで声がする。
「さて、それぞれの成績ですが、アオイさんがオーク18匹、オーガを一騎打ちで倒しました。ラルフさんはオーク45匹でした」
「「「おおおおおおおっ!!」」」
朝とは違って雄叫びのような野太い声が上がり、割れんばかりの拍手が起こった。
「63って…!?」「それを2人で…!?10人でやったの間違いじゃねえのか!?」「一人で45体とか化け物かよ…!!」「オーガって…前に出た時なんて災害級の惨事だったよな!?」「お前やれるか?」「いやいやいやいや、無理だろ!!」
「はい、静かに」
アーバインさんの一言で場が静まる。
「この結果から、本日をもちまして、アオイさん、ラルフさんの正式なBランクハンター登録をさせていただきます」
「「「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」
再び雄叫びが上がった。
周りにいる人が口々に「おめでとう!」とお祝いの言葉をかけてくれる。
ウィリアムさんが近づいて来た。
「おめでとう、あのオーガを倒す力はAランククラスですよ!!」
そう言って褒めてくれる。
アンナさんからは「よぉーし!じゃあ次は私と一緒にドラゴン退治だっ!!」と既に酔っ払っているのか、僕を抱きしめて喜んでくれた。
今日だけ特別にギルド内のカフェに酒が持ち込まれて、僕は飲めないのでジュースしか飲まなかったけど、祝宴は夜遅くまで続いた。
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