3周目 9月22日(水) 午後10時30分 島津政信
「んん」
目が覚めた俺は自分がベッドに寝ていることに気がついた。
(ここはどこだ)
天井がいつもと違う。
(えっと…ああ、カフェを出たところで…二人組の男に会って…ああっ)
最後の記憶の中の『獲物』という言葉が頭に浮かんで一気に覚醒した。
『ガチッガチッ』
起き上がろうとすると、両手両足が何かに結び付けられているように動かない。
両手両足のあたりから金属の音がする。
何とか状況を知ろうと首を回して周りを確認しようとしたところで、膨らんだ胸の先が目に入った。
(げっ、服がないっ)
自分が全裸であることに気がついたところでドアが開く音がした。
「おおっ、起きてるっ、おはようっ、美紗ちゃん」
あの茶髪のおしゃべり男の声。
黒髪眼鏡の観察してきた男の方は何も喋らないが、おそらく一緒にいるのが気配でわかる。
「おいっ、俺をどうするつもりだ?」
そう言うとおしゃべり男の笑い声が響いた。
「はははは、『俺』だってさっ」
茶髪がもうひとりの男に向かって笑いかけたようだ。
「ああ」
茶髪のおしゃべりに対して黒髪の方は言葉数が少ない。
「みーさちゃん、『どうするつもりだ?』そんな言い方してもぜーんぜん怖くないよ」
「くっ」
(そうだった、今の体では何を言っても男を怯ませることはできない…どうする?)
「あらら?今度は黙っちゃった。もうちょっとお喋りしたかったんだけどな」
俺の視界におしゃべり男の顔が現れた。
「うーん、面白くないなあ…どう思う?」
これは俺ではなく、もうひとりの男に言ったものだ。
見えないが爬虫類のような目で観察しているのだろう。皮膚を這うような視線を全身に感じる。
「何が目的なんだ?」
そう言うとおしゃべり男が喜んだ。
「『何が目的なんだ?』かあ…、なんだと思う?」
全裸でベッドに拘束されている以上目的は明らかだろう。
「お…私のカラダ?」
「あれ?もう『俺』って言わないだ…つまんないなあ、でも、正解でーす」
(くそっ、面倒だな…とりあえず、この手と足が自由になれないと逃げられないし)
からかうような言葉遣いをするが、茶髪の目は俺の体から離れない。
(従順な振りをして手枷と足枷を外すように誘導しよう)
わざと上半身をくねらせて胸を揺らす。
「ゴクン」
茶髪の喉が鳴る。
「なあ、サトル、先にやっていい?」
「ああ、好きにしろよ、だけど入れるのはダメだ」
黒髪の男が答えた。どうやら名前はサトルというらしい。
「よーし」
そう言って茶髪が俺の体に馬乗りになって胸を揉んでくる。
(痛っ、下手くそだな)
だが、揉まれる度に「んっ、んっ」と喘ぎ声を我慢するような声を出す。
「うわー感度いいんだ?よーし、もっと触って啼かせるぜ」
そう言ってさらに揉んでくる。
(痛いってのに…)
「んあっ、ね、キスして…」
俺はじっとおしゃべり男の目を見つめて可愛らしく見えるように言う。
おしゃべり男は「いいぞいいぞ」と嬉しそうに唇を重ねてくる。
舌が無理矢理に入ってくる。
(げぇ…俺は男だぞ)
口の中を男の舌が滅茶苦茶に這い回る。
(こいつ、さてはすげえ下手くそだ…)
しばらくして唇を離す。
「そろそろ濡れちゃったかなあ?」
(濡れる訳無いだろ?)
そう思うが触った瞬間『チュプ』っと音がする。
(まっ、まさか?なんで濡れるんだ?)
コメントを残す