僕の濃い学院生活は2週間目が始まっていた。

「おはよーございまーすっ!キャロルさん!」

まずは朝、僕が着替えを終える頃にドナが部屋に来て髪の毛をセットしてくれる。
こうしてセットしてもらっている間のお喋りで、彼女の事にも徐々に詳しくなってきた。

ドナは僕らより1つ下の学年だ。
とは言え、エルザは飛び級なので、実はサラやブリジットより年下で、ドナとは同い年という事になるらしい。
考えてみると僕もよくエルザと同じクラスに受かったものである。

さて、ドナの話に戻すと、彼女は王都の南に位置するカナンという街の商人の娘なんだそうだ。実家の商会はカナンの中では大きな商会なんだけど、帰れば見合いをさせられるとかで、卒業後は王都に留まって美容師になりたいんだって。

「今日はちょっと暑くなりそうなんで、うなじを出してみますね」

そう言って三つ編み風にした髪を片側に寄せてシュシュでくくる。

「…はい。できました、あっ、そろそろ行かないと。今日はルイスさんの所なんです」

「ありがとう。なんかごめんね、お願いしちゃって」

「良いんですっ!おかげでキャロルさんの髪も触らせてもらえるし、いい経験になりますので。それに、将来の事を考えたらコネも作っとかないとっ!」

ドナはニコニコ笑って部屋を出て行った。
僕はドナを見送るとそのまま食堂に向かう。

「あら、アリス。おはよう」

「おはよう、エルザ。モニカさんもおはようございます」

挨拶をしながら朝ご飯を取りに行く。食堂は基本セルフサービスだ。厨房に食べたいものを注文して受けとるシステムで、もちろん僕は朝からしっかり食べる。

「おっはよー!」

今週になって変わったことは、サラとジョシュ。手を繋いで朝から熱々っぷりを周囲に撒き散らしている。
休み明け、早速サラからみんなに二人の関係が発表されて、すぐにクラスでも公認の仲となった。

「ごちそうさま、と言いたいけど…ちょっと朝からあれはキツいわね…」

エルザの気持ちはとてもよく分かる。

「ジョシュっ!アーン!」「ちょっ!やめろよ!恥ずかしいだろ!」「いいじゃない!ほらぁっ!」「あ、アーン」

もちろん友達として祝福しているんだけど、2人を見ていると少々胸やけしてしまうほどの甘さなのだ。

そして、そんな2人の後ろにいるブリジットさんは、と言うと相変わらず眠そうだけど、ひょっとして昨日もラッセル先生と…?

ちなみにブリジットさんの深夜の徘徊の件は杞憂だったみたいだけど、時おり感じる視線については、はっきりしたことは今もわからない。

(うーん、気になってはいるんだけど)

そうは思うものの、なかなか調べるタイミングは訪れない。

食事を終えると、僕らは教室に向かう。午前、午後とみっちり詰まった授業を受けるとあっという間に放課後になる。
みんなは予習復習に忙しいみたいだけど、僕は入学前のスパルタ特訓で実は既に授業の内容をほとんど習っていた。

(どおりで地獄だったわけだよ!)

その代わりに、僕はもらったラブレターの返事やら明日の予習やらで忙しい。ちなみにラブレターは毎日毎日来るのでいい加減何とかしてほしい。

「ふあぁあ!」

欠伸をして、ベッドに潜り込む。

やっと一日が終わった。

『コンコン』

(こんな時間になんだろう?)

扉を開けると制服姿のブリジットさんがいた。

「アリスさん、ちょっとお話があるのですが、今、大丈夫ですか?」

なんだか顔色が悪いような…。

「いいよ。どうぞ」

僕はブリジットさんを部屋に招こうとした。

「いえ、あの…、出来たらちょっと別の場所で…」

(どうしたのかな?)

「分かった、ちょっと待ってね。着替えるから」

よく分からないまま制服に着替えて廊下に出るとブリジットさんが待っていた。

「ついてきて下さる?」

そう言うと先導するように先に歩き始める。

(てっきりブリジットさんの部屋に行くのかと思ったけど、どこへ行くんだろ?)

もう寮の玄関だ。

(「主殿、何かおかしいぞえ」)

「ねぇ、ブリジットさん。どこに行くの?」

寮を出た所で尋ねる。だけど、ブリジットさんは答えない。足を止める気配すらない。

「ねぇっ、ブリジッ…」

後ろからブリジットさんの肩に手を置くと、フラッと僕の方に倒れ込んできた。

「えっ?」

慌てて抱き止めたその瞬間、後ろに気配を感じた。

(「主殿っ、気をつっ」)

ブリジットさんを抱き止めたまま振り返る僕の顔に布のようなものが押しつけられた。

「うっ!」

(油断した…)

妙に甘い匂いとともに目の前が真っ暗になって僕は意識を失った。

◇◇◇◇◇

「あっ♥️あっ♥️やっ♥️あっ、んんっ♥️」

目が覚めると女の子の喘ぎ声が響いていた。

(…ぁ…れ…ここは…?)

目は覚めたけど意識がはっきりせず、ぼんやりとした頭のまま僕は天井を眺める。

「目が覚めたようだな」

男のようにも女のようにも聞こえる不思議な声。僕はその声のするほうを見た。

(…誰?)

身長は男にしては普通か少し低く、女であれば高めだろう。だけど、そんなことよりも、思わず見てしまうのはその顔だった。そこにあるのは人を馬鹿にしたような顔が描かれた白い仮面。

「呆けていていいのか?」

その仮面の下から再び声がして、僕の意識が急速に覚醒した。

(……そうだ、ブリジットさんに連れ出されて…ブリジットさんはっっ!)

勢いよく起き上がって、僕は酷い目眩に襲われた。

「うぅっ!」

頭を押さえながら周囲を確認すると、僕の寝ていた場所は大きなベッドの上。

「ああっ♥️もっ、やめてぇっ♥️」

そして、僕の目の前、絨毯が敷かれた床の上で裸のブリジットさんが男に腰を抱えられていた。首輪がつけられ、倒れそうになると黒い仮面の男がリードを引く。

「んぐっ!くるしっ!んあっ♥️あっ♥️もっ!許してぇっ♥️」

「ブリジットさんっ!やめろっ!」

男を引き離そうと、ベッドから飛び起きたんだけど、床に降りたところで何かが僕にぶつかった。

『ゴンっ!』

「っ痛!…なんだ…!?」

目の前には何もない。だけど、手を伸ばすとそこには壁のようなものがあった。

「無駄だ。結界魔術が張ってある。向こうからはキミの姿も見えていない」

仮面の人物の声はやはり感情を感じさせない抑揚のないものだ。そして、それが逆に不気味に響いた。

「くそぉっ!ブリジットさんっ!ブリジットさんっ!」

だからと言って僕は諦める訳にはいかない。壁を叩いてブリジットさんに何度も呼びかける。

「ブリジットさん!こっちを見て!アリスだよ!」

「あっ♥️はげしっ♥️こわれるっ!こわれちゃうぅぅっ♥️ングッ!ゲホッゲホッ!」

黒い仮面をつけた男がリードを引くと、喘ぎ声をあげていたブリジットさんが噎せる。ブリジットさんは僕に全く気づいていないようだ。

「ブリジット…さんっ…!?」

「無駄だ…彼女にキミの声は届かない」

いつの間に僕の隣に来たのか、そもそも最初から居たのか。

「彼女を見るといい」

その声に促されるようにブリジットさんを見ると、耳まで隠れる目隠しがされていた。

(「主殿、これは単なる目隠しではなさそうじゃな」)

よく見ると黒い布には魔法陣のようなものが描かれている。

(これは…魔術具…!?)

(「おそらくは視覚、聴覚が塞がれておるぞえ」)

(「そんなっ!どうにかならないの!?」)

(「むう…現状では難しいの…ではこうするのは…」)

「ゲホッ!もっ!むり!むりだからぁ♥️いやぁ♥️」

だけど、村正と話しているこの瞬間もブリジットさんは奴隷のように扱われているのだ。

(どうすればっ!?)

その時、仮面の男から思いもよらない提案がなされた。

「アリス・キャロル、君には二つの選択肢から選ばせてやろう。一つ目はこの件にこれ以上関わらず、すべてを忘れること」

(そんなことって!)

「そんなの出来るわけないっ!ブリジットさんをこのままになんて私はしないっ!」

「ではもう一つの選択だ。君がブリジット・レンナーの代わりになれ」

(え…?)

「そうすればブリジット・レンナーに対して我々の方から何かをすることはなくなるだろう」

僕は周囲を見渡す。暗い空間でどれくらいの広さがあるのか分からない。だけど、隣の白い仮面と黒い仮面の男が1人しかいない。これくらいなら僕一人で殲滅できるはず。

「おっと、妙なことを考えないように。君が妙な動きをすれば、ブリジット・レンナーは死ぬ事になるぞ」

その言葉は僕の反撃を封じるだけの力を持っていた。

「さて?どうする?」

「わ…分かりました。そのかわり、今すぐブリジットさんを離してくださいっ!」

「いいだろう。しかし、ブリジット・レンナーを解放するのは君が本当にブリジット・レンナーの代わりになるかを確認してからだ」

そう言うとさっきまで僕の寝ていたシーツの上が輝き、そこに腰布を巻いただけの1人の男が現れた。

「むぅぅ…むぉ…」

目と口は布で覆われていて、そこには魔法陣が描かれていた。さらに両手両足に鎖がつけられ、逃げ出すこともできない。

(この太った体…禿げた頭…まさか…)

「気づいたか?学院長殿だよ」

(どうして学院長が?じゃあ、学院長はこの件に関与してないってこと?)

以前、お茶とお菓子に薬を盛られたため、てっきり学院長が悪いことに荷担しているものだと思っていたけど、違ったのだろうか?

仮面の人物が、学院長の口に貼られた布を剥がす。

「くそぉっ!貴様ら!何者だっ!私を、学院をどうするつもりだっ!」

「学院長殿、あまり叫ばれるようならまた、喋れなくしますよ」

「ぐっ…!」

そして男が指を鳴らすと学院長の目隠しが消えた。

「ぬぉっ!…うっ!きっ、君はっ!キャロルっ!キャロル君なのかっ!?貴様ら!私のみならず、生徒まで…」

「うるさい」

仮面の人物がそう言った瞬間、先ほどの布が再び現れ、学院長の口を覆った。

「んむうっ!むぉっ!」

「静かにしてくださいますか?学院長殿?」

学院長が目を見開いて頷くと布が消えた。

「はあ、はあ…」

「さて、アリス・キャロル。君は本当にブリジット・レンナーの代わりをするつもりがあるのかな?」

「もっ!もちろんだよっ!」

「では、この男の股間を舐めろ」

「「えっ?」」

僕と学院長の声が重なった。

「出来ないならもうこの男は用済みだ。帰らせるか?」

「わっ!わかりました!」

僕はそう言うと覚悟を決めてベッドに上がる。

「やっ、止めるんだ!キャロル君っ!」

学院長が制止しようと声をあげたけど、ブリジットさんのために止めるわけにはいかない。

(僕がやらなきゃブリジットさんが…)

だから、学院長の言葉を無視して腰布を外した。

「うわ…」

(まだ、勃起していないのに、こんなに大きいなんて…)

あっけにとられて思わず動きを止めた僕。

「無理だというのなら…」

「ちょっと黙ってて!…ちゃんとするからっ!」

仮面の人物を制した僕は学院長の足の間に入った。そして、萎びた学院長の肉棒を摘まむように持ち上げる。

「うぉっ!いかんっ!キャロル君っ!止めてくれっ!」

「学院長、すみません」

謝るけど止めるつもりはない。固くなり始めた肉棒を掴んで上下に扱くとみるみるうちに膨らみ始める。

「おおうっ!キャロル君っ!」

あっという間にそれは僕の片手では回らなくなって、まるで節くれだった巨木のように僕の目の前にそそり立った。

「な…!」

「射精させたらブリジット・レンナーは解放しよう」

あまりの大きさに息を呑む僕に男が言葉を放つと同時にブリジットさんの声が響く。

「やあっ♥️そんなぁ♥️そこはっ♥️きたないですぅっ♥️ああっ、あっつぅいぃっ♥️お尻が焼けちゃいますぅっ♥️」

「やめさせてよっ!私が代わりになるって言ってるでしょっ!」

「ならば、早く射精させるんだな」

(急がなきゃ!どうすれば…)

手では時間がかかる。そこで僕は太い血管の巻きついた幹に唇をつけて、ハーモニカを吹くように動かした。

(けど…やっぱりおっきぃ…こんなの…)

「あっ♥️そんなっ♥️両方は無理ですぅっ♥️あっ、裂けるっ、裂けちゃうぅっ♥️」

弱気になった僕の耳にブリジットさんの声が飛び込んでくる。

(ダメだっ、僕が頑張らないとっ!)

僕は覚悟を決めると、口を大きく開いた。

(うぅ…苦しい…)

想像通り口の中がいっぱいになる。だけど、必死で太い肉棒を喉の奥まで飲みこむ。

「んぐっ…ぐっ…グボッ、グポッ…」

「くっ!キャロル君っ!締まるっ!」

学院長の口から切羽つまった声が出た。それに合わせてグッと喉の奥で先が膨らむのがわかる。

「んんんっ!」

僕はたまらず一度口から出すと両手で扱いた。

「おおっ!キャロル君…、出そうだっ!」

ブリジットさんを守るために学院長をイカせる。

(もう少し)

僕の手に力がこもった。

「学院長、我慢しないで下さいっ!出してっ!出して下さいっ!」

「おおうっ!キャロル君っ!イクぞっ!イクっ!おおおっ!」

肉棒の先がグググッとさらに膨らんで、傘の先が開く。

(くるっ!)

そうして、僕がギュッと目を瞑ると勢いよく粘液が顔に飛び散った。頬に、唇に、瞼の上に何度も降り注ぐ。

(なにこれっ!熱い…!)

「はぁ、はぁ、はぁ…」

顔中精液まみれになって、目が開けられない。

(はぁ、すごい濃い……♡)

目の周りについた精液を指で拭ってなんとか目を開くと、僕はまだ微妙に勃ったままの肉棒を見つめた。

濃厚な精液の匂いに頭がくらくらしている。

こんなのが体の中で出されたらどうなってしまうのか。ふと、そんな想像が頭をよぎって僕は慌てて頭を振った。

(…いや…何を考えてるんだ!)

「そろそろいいか?」

「……あっ!」

仮面の男にそう言われるまで僕は精液の匂いの中で揺蕩っていた。

「さて、良いだろう。アリス・キャロル、キミの覚悟は見せてもらった。ブリジット・レンナーは既に解放した」

(そつ!そうだっ!…ブリジットさんはっ!)

先程までブリジットさんのいたところには、もう誰もいない。

「安心しろ。レンナーは今頃ベッドの中だ。しかし、君にはこれから代わりをしてもらうぞ」

(そうだ…)

安心などできない。むしろこれからが僕にとっては正念場だった。

「ふむ…そうだな。ただ犯すだけでは面白くないな。明日から指示を出すことにしよう。従わなければレンナーがどうなるか…分かるな?」

僕はその言葉に頷くしかなかった。

「では今日は休むがいい」

甘い香りが辺りに立ち込めると僕の意識は闇に引きずり込まれた。

◇◇◇◇◇

『チュンチュン』

鳥の鳴き声に目が覚めると、自室のベッドだった。

(あれ?パジャマ着てる…昨日のあれは…夢?)

『カサ』

手に何かが当たった。

(うん?)

宛先も何も書いていない封筒。

『ピリッ』

開いた僕はそこに書かれた短い文面から昨日の事が夢でなかったことを思い知らされた。

【昼休みに学院長室に行くこと】

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