6周目 9月24日(金) 午後8時30分 島津政信
「便所に行くって言ったんだが聞こえてなかったか。一人にしてゴメンな」
「ううん…」
俺は首を振って琢磨の腕を取ると駐車場に向かう。
「ん?まだ閉園まで時間あるけど、もう帰るのか?」
「うん…」
「大丈夫か?どっか痛いとことか…」
琢磨は俺があまり喋らないのが心配なのか色々と聞いてくる。
だけど、俺は別のことを考えていた。
「ねぇ、どうして私を助けてくれたの?」
「何でって、お前、オレの女だろ?自分の女を守るのに理由なんているか?」
当たり前のことをなんで今更、という感じでこともなげに琢磨が答える。だけど、その答えが俺の心に突き刺さった。
(俺は島津政信で、琢磨が思っている高樹美紗とは別人なのに…)
ナイフを持った男が俺に向かってきた時も自分の体を犠牲にして助けてくれた事を考えると、琢磨に嘘をつき続けていることに俺は罪悪感を感じていた。
◆◆◆
無言で俺はポルシェの助手席に乗っていた。
涼しい風に吹かれていると、車が止まった。
「ちょっと降りようぜ」
そう言って琢磨が車を降りると助手席のドアを開けてくれた。
(あれ?ここは…?)
高速道路のパーキングエリアだった。
「ちょっと歩こう、すぐそこまでだ」
手を引かれてパーキングエリア内を歩いていく。
「さあ、ここだぜ」
階段を数段登ると、そこは展望台になっていた。
「うわあっ」
目の前には光の海が広がっていた。
「すごい、きれいだなぁ」
「だろ?」
琢磨が俺を元気づけてくれようとしているのは分かった。
(これで騙し続けるなんて俺にはできない)
「あのさ」
俺は琢磨の顔を見上げた。
琢磨の目もまっすぐこちらを見つめ返してくる。
「大事な話があるんだ」
一度息を止めて、覚悟を決める。
「実はお「お前が誰であっても関係ないぜ」」
琢磨の声が重なった。
「お前が誰なのかはわからない。こないだまでと全然違うからな」
「なっ、気づ…」
(気づいてたのか…)
「そりゃそうだろ?惚れた女のことくらい分かるぜ」
ヘヘヘと照れたように琢磨が笑った。
「じゃあ…」
(なんで何も言わなかったんだ?)
「あのさ…俺は今のお前と一緒にいたい」
「え…?」
「前のお前は自分ってのを持ってて、醒めててカッコイイ女だったけど…なんつうか、いつも俺と…いや、誰にでもそうだったのかもしれないな。距離を置いてる感じだった。今のお前は一緒にいても落ち着くし、一緒に楽しめる」
琢磨の目は真剣だ。
「そんな…」
「それに感度もいいし、な」
そう言って笑う。
「何言ってんだよっ」
俺は肩を叩いて恥ずかしさを隠そうとした。
「お前は俺の女だ。逃がさないぜ」
真剣な眼差しに戻って琢磨が言った。
(そうか、俺は…琢磨の女…)
そう考えた時に違和感が全くないことに俺は気が付いた。
…だけど同時にそれが嫌だとは思っていない自分がいた。
(俺は心まで女になってしまったのか…いや…『私』、か…)
「で、お前の気持ちはどうなんだ?」
『私』は琢磨の手を握る。
「いつまで私が私かわからないけど…よろしくお願いします……って、うわっ、ちょっ、琢磨っ、苦しいって」
抱きしめられて、お姫様抱っこされた私は車の助手席に投げ込まれた。
「よーし、じゃあ、今日は寝させないからなっ」
琢磨が車にエンジンをかけて走り出した。
◆◆◆
6周目 9月24日(金) 午後9時30分 川合琢磨
俺は高速道路を降りて大きな城の中に車を進めた。
夜景を見ながら美紗に言ったことは本心だ。疑わしいことはたくさんあって、それで一時色んなことを考えていたが、これからも俺は今の美紗と一緒にいたい。
(ん?)
俺のシフトレバーを握る手に美紗の手が重なった。
美紗の方を向くと、少し潤んだ瞳が俺をうっとりと見つめていた。
「いいんだな?今日はお前を俺のものにするからな」
美紗が恥ずかしそうに頷いた。
車を降りて、助手席のドアを開ける。美紗は俺から何も言っていないのに自ら腕を絡めてくる。
「へぇ、やけにくっついてくるな。さては俺に惚れたか?」
そう言って見つめると美紗の耳が真っ赤に染まって、照れたようにはにかみながらゆっくりと頷いた。
「へへっ、けどな、惚れるのはこれからだぜっ」
今日は記念になる日だ。部屋はできる限りおしゃれな部屋を選んだ。
『ガチャ』
光に案内されて部屋に入ると扉を閉めるのも待ちきれないように美紗が抱きついてくる。
「うおっ」
『ドンッ』
背中が壁にぶつかる。
「美紗っ、んんっ」
首の後ろに腕が回されて唇が押し付けられた。勢いが良すぎて歯が当たりそうになったが、俺はすぐに体勢を立て直す。
「ん…んん…」
俺も負けじと舌を捩じ込もうとすると美紗の口が開いてあっさりと舌が絡み合った。
『ぴちゃぴちゃ』と唾液を交換する音が鳴る。
「はぁ、はぁ…ね?はぁ、琢磨?気持い?」
美紗はキスの合間に上半身を擦りつけてきて耳元で囁く。
「はあ、はあ、最高だっ」
(今日は俺もスゲエな…)
久々に喧嘩をしたせいで神経が昂っているからだろう。激しく勃起している。
「はぁっ、ふぅっ」
俺の息子が激しく勃起しているのに気がついたのか、逃げ腰になった美紗の尻を掴む。スカートの薄い生地越しに指が食い込んだ。
「んんっ、はぁ、はぁ、ふっぅうん」
そのままスカートをたくし上げてレースのパンティに包まれた柔らかい尻が直接手に触れると、美紗の口から湿っぽい吐息が漏れる。
「んんん…んちゅ…」
俺の手がパンティに侵入しようとすると、今度は逃げようとせず、逆に片脚を俺の太腿に絡みつくように擦りつけてきた。
「はっ、んっ、んんっ、はぁ、はぁ」
激しい息遣いが美紗の興奮を俺に伝えてくる。
片手で直接尻を触りながら、胸を触る。
「んっ、はっぁぁ…」
耳元で美紗の少しかすれた喘ぎが漏れた。
俺はワンピースのボタンを外すために一度体を離そうとした。
「だめ…もっと…」
美紗の両手が俺の頬を挟む。
「琢磨…」
美紗が背伸びして唇を押し付けてきた。
「んっ…ちゅっ…んんんっ」
(可愛いじゃねえか)
ボタンを外すと、ワンピースを大きくはだけさせ、朝から選んでやったブラジャーのレースの手触りを味わうこともなく、カップの中に荒々しく手を入れた。
「琢磨ぁ…琢磨もぉ」
美紗の手が俺のTシャツの裾を引き上げる。
「ちゅっ」
美紗の唇が俺の胸板をついばむ。
「おおっ」
美紗が嬉しそうに俺を見上げて、さらに激しく吸い付いた。
(うおっ、気持ちいい)
「はぁ、はぁ、男でも…乳首って勃つんだ」
美紗がボソッと言うと、乳首が吸い立てられる。
「そこはっ、…すげえっ」
「ひもひいいほ?」
唇を離さずに美紗が聞いてくる。空いた乳首をクリクリと指がこねてきた。
「お前…こんなこと…うっ」
思わず、美紗の乳首を摘むと美紗は体から力が抜けたようにズルズルと床の絨毯に膝をついた。
「はぁ、はぁ、乳首を触られたら…力が抜けちゃう」
着崩れてしどけない姿の美紗の姿に俺の興奮は昂ぶる。
『カチャカチャ』
俺がベルトを緩めようとすると、その手に美紗の手が重ねられた。
「?」
「今日は私が全部してあげるから」
途中まで外していたベルトを美紗が引き継ぎ、ズボンが下ろされた。ボクサーパンツを大きく盛り上げた先が濡れて色が変わっていた。
すぐにパンツのゴムに指がかかると引き下ろされて、足から抜かれた。
美紗の顔は上気して真っ赤になっている。
「あの…琢磨の舐めていい?」
そう言って見上げた瞳は興奮で潤んでいた。
「あっ、ああ」
そう言うと嬉しそうに肉棒に手を伸ばした。
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