「そんなっ!!」
アキレウスの言葉に顔が青ざめてしまう。
心が堕ちたらどうなるのか。アテナ様を見ていれば分かる。これは下手をしなくてもコロシアムでの闘いの時よりも恐ろしい。
「ン?その顔はもう気持ちよくなっちまってて勝てねえってか?」
ニヤニヤとからかうような目。
「ちがっ!!気持ちよくなんてっなっていません!!」
だが、その言葉も途中で途切れた。
「んっ♡動かないって!!」
「なんだ?ちと腰の座りが悪かったんでなア。…なあに、自分がイカなきゃいンだ」
(そ、それはそうなのだが……)
確かにアキレウスの言葉に間違いはない。だが、問題は火照ったこの体でアキレウスを先にイカせられるかどうかだ。
こうなってみると、物理攻撃の影響の小さいヴァンパイアの血が恨めしくなる。しかも、陽の落ちた今、傷の回復も早くなっており、既に体の中に出来た裂傷はほぼなくなってしまっている。
「お前は自分がイク前にオレをイカせりゃ終わり。分かりやすいだろ?」
(くっ…!!)
アキレウスは余裕たっぷりの表情で私の顔を覗き込んでくる。
(いや、待て…考えてみればこれは千載一遇の好機かもしれない…!!)
アキレウスは自分が敗けることなど微塵も想像していない。
(交渉次第でこの国を変えるチャンスはまだある…)
希望が心に灯り、再び戦意が戻ってきた。
「勝負ってことだからな。せっかくだからもう一つ褒美を増やしてやっか!!そうだな…もしお前が勝ったら二度とオレはお前に触れない、とかどうだ?」
(これは、いけるかもしれない!!)
そこで私は首を振ると提案した。
「…いえ、もし私が勝ったら、アテナ様を元に戻し、王位を譲っていただけますか?」
「ほう?」
さすがにアキレウスも私の方から提案があるとは考えていなかったらしい。一瞬虚を突かれたような顔をしたものの、すぐにニタッと笑った。
「イイゼエ!!闘いってのはそうでないとナア!!これは面白え!!」
(ここまでは計算通り。今度こそ、負けるわけにはいかない…!!)
「じゃあ始めっか、っと、おいおいおいヤル気満々じゃねえか!!」
はじめの合図も待たずに、私は腰を浮かしかけていた。
(先手必勝…だが、これ…は…)
「んっ♡ふうっ♡ふうっ♡」
抜けた分だけ体の中が空き、そこにどれ程のものが入っていたのかが分かった。
そして、これからそこが再び埋まることも…。
(大丈夫だ…さっきまで入っていたところに納めるだけ…)
「ふう♡ふぅっ♡っっ!!」
覚悟を決めて腰を下ろすと、大きくせり上がった肉棒の先が体の内側を擦る。
「ふっくっぅぅぅぅ♡♡」
慌てて口を片手で押さえた。だが、次の瞬間。
「んんんんんんんんんんっっっっ♡♡♡♡」
ズンッと体の一番奥を突かれて、私は弓なりに体をしならせ、顔を天井に向けのけぞらしてしまう。
(こっ…れは…♡)
「まあ、イイだろ。先攻はくれてヤルぜ!!」
一度動かしただけで脳を溶かすような快感が体を揺さぶる。その間アキレウスは頭の下で手を組み、ただ寝ているだけ。そして、その視線は私の体にまとわりつく。
(うっ♡見られているっ、だけなのに…)
戦う時に不便だとおもっていたが、それほど立派ではない胸が見られていると思うと、思わず手で隠してしまった。
「フフン…」
アキレウスのまるで私の内心を見透かすような態度は気にくわないものの、一度隠したものを露にするのは気が引けてしまう。
(だが、こうしていても仕方がない…)
時間が経てばマシになるわけではない。むしろ、押しつけられたままの体の奥が疼き始めている。
「ふっ、ぅっ♡」
腰を持ち上げると、まるで体の中を引っ張られるような強い抵抗があった。
「うっ!!」
その時、これまで余裕だけだったアキレウスが呻き声をあげた。
(どういうこと…だ?)
「スゲエ締まりだぜ…まるでお前のマン肉がしがみついてるみてえだ」
(…アキレウスも感じている!!)
その反応に勇気をもらうと、私は再び腰を下ろした。
(うっああっ♡すごっっ♡)
「くっ♡うぅっっ♡」
一度経験した分、今度は小さな反応で済んだ。
だが、それは快感が小さくなったと言うわけではない。
むしろ、入ってくるときの快感になぜか安堵の気持ちも混ざったような不思議な気持ちになるのだ。
(く…もっと動かなければ!!)
これからやってくる快感を想像すると、背筋がゾクゾクと震える。
「んっっっ♡♡♡」
腰を持ち上げ、今度はすぐに落とす。
パチュン、腰を落とすと尻がアキレウスの腰とぶつかって濡れた音を出した。
「んふっうぅぅぅっ♡」
そして、また腰をあげる。
「んっっっ♡」
パチュンッ、さらに何度も繰り返す。
「んあっっっっ♡♡」
動くことに慣れてきた時、突然、それまでとは違う場所が擦れて目の前を閃光が走った。
(なんだ…ここは…!?)
「うおっ!!お前、今のスゲエのきたぜ!!」
(そうか…!!ここだな!!)
腰を上げると、今度はそこに当たるように調節する。
「んっ♡♡♡」
(ここっ♡すごいっ♡)
最初はがに股で腰だけを上下していたが、力が入らなくなり、膝をついて座り込むと前かがみになった。
「クッ!!」
呻き声にアキレウスの顔を見ると、眉間にシワが寄っていた。
(なるほど…♡♡ここがいいんだな?)
バチュッバチュッバチュバチュッと徐々に速さを増していく。
「んっ♡はっ♡はっ♡はっ♡」
アキレウスと目が合う。
(ふふ♡快感を堪えているのか?)
私は褐色の固い腹筋に手を置くと、さらに眉間のシワが深くなった。
(なんだ?何が起こった?)
私が何をしたか、腹に手を置いただけ。
(そうか!!)
私は腰を動かしながら腹筋から胸筋にかけて両手で撫でていく。
「おっううっ!!」
(なるほど!!ここは男にとっても感じる場所だったか!!)
胸筋の先を撫でると、アキレウスの呻き声がさらに大きくなった。と、同時に体の中でアキレウスが震えるのが分かった。
「んっふあっ♡ああっっ♡」
だが、私の方も両手で攻めることに意識を集中していたせいで声が出てしまう。
(今は…声など…些細な事!!)
「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡ンッあっ♡あはぁっ♡」
どんどん私の口からでる声が大きくなり、遠慮がなくなっていく。
「くっ!!気持ちいいゼ!!お前はっ!!どうだっ!?」
「あっ♡んっ♡きもち良…いわけないぃ♡♡」
切羽詰まったアキレウスの声に私は思わず、気持ちいいと言いかけてとどまった。
(これはっ、ダメだ!!さっきから…♡)
声を我慢しなくなってからますます快感が大きくなった気がする。それに、腰の動きも大きく、自分の気持ちいいところを狙って動いてしまう。
だが、気がついたところで今さら声を我慢することも出来ないし、意思とは関係無しに体が動くのだ。
(気持ちいい♡♡すごいっ♡♡)
「あっ♡あっ♡あっ♡気持ちっ!!良くないっ♡こんなのっ♡全然きもちよくっ♡ああっ♡♡」
アキレウスとのやり取りから頭の中に「気持ちいい」という単語がぐるぐる回る。そして、気がつけば口から出てしまう。
(気持ちいい♡こんなのっ♡がまんできないっ♡)
「気持ち良くないっ♡あっっっっ♡♡♡」
何度も繰り返しているうちに、小さな絶頂の波が訪れた。
(ダメだ!!あっ♡このままでは!!)
震えながらそれでも体は止まらない。
「んはあっ♡とまらないっ♡きもちいっくないのにぃっ♡」
我慢していてもこのままでは負けるのは自分の方だ。私は押し寄せる快感の前に耐えることよりも攻める方を優先することに決めた。
アキレウスの筋肉を再び撫でる。
「んあっ♡気持ちいいっ♡これっ!!気持ちいいっ♡」
ズンッと奥が突かれた瞬間、耐えるのをやめたせいで、これまで絶対に言わなかった言葉がついに口から出てしまった。
「きもちいいっ♡♡んっ♡はっぁぁっ♡」
一度言葉にしてしまうと止まらない。そうして、快感を口にしながらアキレウスと目が合うと、体の中で肉棒がビクッと震えるのが分かった。
反応するということはアキレウスも私と同じく感じていることを意味するはず。
(それならぁ…♡)
私はこれまで以上に激しく腰を振る。
バチュバチュとぶつかり合う腰は滑らかな動きで、ぎこちなかった最初とは比べものにならない。絶頂すれば敗けであることが分かっていても、気持ちいいところに合わせてしまう。
「あっ♡きもちいいっ♡陛下ぁっ♡もっとおくまでっ♡くださいっ♡」
その時、陛下が我慢できないように口から息を吐き出した。
「クッ!!」
そして、そのまま口が大きく開いた。
「クハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
(?)
「イリス!!イーリス!!お前!!自分の顔がどうなってるか分かってるかア?」
(な…!!)
「確かに!!お前のマンコの締まりはスゲエ!!それに腰の動きもたまらん!!だがナア、いかんせん経験が足んなかったな!!むしろこんな体がオレのもんになるなんて最高だゼ!!」
(…まさか…)
目の前が暗くなり、私の腰が止まる。
「だっ、だま…したのか!?」
「ああ!!見事に引っかかって自分からどんどんエロくなっていくお前は最高だったゼエ!!」
私の方にはもう余裕はない、それに対して陛下の顔にはニタニタと余裕の笑みが浮かんでいた。
「あああああっ♡♡♡」
さらに、こんな時にアキレウスの腰が初めて動いた。
「うごかないってぇ♡♡」
「先攻を譲っただけだ!!こっからはオレの時間ダゼ!!」
アキレウスが下から腰を突き上げ、私の体が上下に揺れる。
「お前の弱いとこは全部分かってンだ!!お前が教えてくれたからナア!!」
「んあっ♡あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡」
(こんなっ♡♡)
自分から動くのとは違って、容赦なく弱いところだけを突かれる。
「どうだア?気持ちいンだろオ?」
「きもちっいいっ♡♡♡スゴイっ♡♡つよいっ♡♡」
だが、それでも騙されたことが私の頭にほんの少し残っていた。
「このままイッちまえ!!」
アキレウスの太い腕が私の腰をしっかりホールドした。
(きもちいいっ♡きもちいいっ♡もうまけちゃうっ♡♡♡)
バチバチと肉のぶつかり合う音が響く。目の前は眩しい光の束が飛びかって、もう絶頂に至るのは間違いない。
(まけちゃうううっ♡だがっ♡ただでは負けないっ♡♡♡)
私は腰を押しつけながら、アキレウスの胸に手を伸ばした。
言葉や表情は隠せても、体の反応は隠せない。
「陛下ぁっ♡子種をっ♡子種をイリスのマンコの中に注いでぇっ♡♡陛下専用のオマンコにしてぇ!!」
私の言葉に陛下の顔が緩んだ。
そして、その瞬間、胸の先端、女と同じように硬く尖った乳首を摘まんだ私はそれを強く捻った。
「うっオッ!!しまっ!!クッッッッ!!!」
陛下の腰の動きが一瞬止まる。と同時に私の方から腰を押しつけた。
「んはぁぁぁぁぁぁっっっっっ♡♡♡♡♡♡♡」
陛下が私の中でこれまで以上に大きくなるのを感じながら、私の目の前は真っ白になった。
◇◇◇
「ぅ…」
腰が痛い。
私が目を覚ますと、アテナ様が私の隣で寝ていた。
アテナ様は顔から体まで精液まみれになっていた。
(くっ…そうだ…敗けたんだった…)
私は陛下とのセックスの勝負に敗けた。ということは、私もアテナ様のように…。
「あれ?」
敗けたはずなのにまだ私は私だった。
ベッドの上で起き上がると、股の間からドロドロの粘液が太腿を伝って流れ落ちる。
「よお!!起きたンかよ!!」
「へっ、陛下!?」
気づかなかったが、陛下もいたらしい。
「腹、見てみろ」
見下ろすと、下腹に薄桃色の小さな紋様が描かれていた。
(なんだこれは?)
「それは淫紋ってやつらしいゼ。アテナのも見てみりゃ分かるんだが、まだお前のは小せえダロ。これはデカくなりゃ完全に堕ちたことになるんだがな」
「それは、どういう…!?」
「つまりだナ、勝負は引き分けだったってことだな」
つまらなそうに陛下が言うところを見れば、その言葉に嘘は無さそうだった。
「では、この…淫紋による影響は…?」
「ああ…ちょっと待てよ…なるほどな」
陛下が少し目を閉じて考えるような仕草をした後話し始めた。
「どうやらオレとのセックスに対して嫌悪感はなくなるみてえだな。だが、オレに命懸けの忠誠を誓うってことは無いらしい」
(つまり、まだ希望はあるってことなのか…?)
「チッ!!…まあいい…もう今日は帰れ!!」
「は?」
(てっきりこのまま後宮に軟禁されるものと思っていたが…?)
「オレを倒したかったらいつでも相手してやるゼ。イイか?心からイカされなけりゃお前の淫紋は成長しない。そうだナ、あの賭けは続行でいいゼ。ここからはお前の淫紋が開花するのが先か、それともオレを先にイカせるかの勝負だナ」
(コロシアムで死んでしまった者たちのためにも…やめるわけにはいかない)
私は決意も新たに自室に戻ったのだった。
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