2周目 9月24日(金) 午前9時50分 島津政信
服を着ると「ついてきなさい」と言って痴漢が先に出ていった。
後を追ってトイレから出ると、痴漢が待っていた。
高樹にどのくらい経験があるのかなんて知らないが、俺にとってはトイレでの出来事が初体験。
(うぅ…股の間が…何か挟まっている感じがする)
痴漢の数歩後ろを歩きながら俺は顔をしかめた。
(それにしてもどこに行くんだ?)
トイレでは快感に酔ってよく分からないままに頷いたものの、今になって不安になってきた。
「あの…どこへ行くんですか?」
「まずは●■駅に行く」
ホームに着いて痴漢が俺の方を見ることもなく言った。
(…?)
「さすがに制服姿の女の子と中年男がこんな時間に一緒だとおかしいだろう?」
(なるほど。だから距離を置いているのか)
●■駅といえば、大きな駅で駅の近くに若者に人気のビルが最近建った事でも有名だ。
『間もなく~●■駅行きの電車が参りま~す』
アナウンスが流れてホームに電車が滑り込んだ。
◇◇
電車の中は朝のラッシュが終わってどこか日曜の学校を思わせる倦怠感があった。
人もお年寄り数人だけでかなりゆったりとした空気が流れていた。
痴漢と並んで座る。
朝から色々ありすぎて疲れていた俺はうつらうつらし始めた。
『ジー』
(……ん…?)
何となく音がしたような気がしたけど、眠気が勝って再び意識が沈む。
「ん…」
太股をイヤらしい手つきで撫でられる感触にゾワゾワとした快感が生まれる。
「はっ、ぁ…」
自分の吐息で目が覚めた。
(あれ?ここって電車の中…だよな…?)
太股に直接手が触れている。
(まさか…)
すぐにスカートが捲られて痴漢の手が入っている絵が思い浮かんだ。
(…あれ?)
だけど、心配したような、スカートが捲れて周囲から丸見えという状況にはなっていなかった。
『サワッ』
「ええっ?」
慌てて口をつぐんで周りを見る。
一番近くにいる人でも、斜め向かいにお婆さんが一人座って寝ているくらいだ。俯いた頭が電車の揺れに合わせて上下左右に揺れていた。
(でも…じゃあ…この感触は…?)
再び視線を下げてようやくスカートのサイドにあるチャックから手が入っている事に気がついた。
「うわっ」
吃驚して出た大きな声にお婆さんが顔を上げる。
俺は目が合わないよう俯いた。
気配でお婆さんがこちらを気にしているのが分かる。
(まずいっ、平常心、平常心…)
しかし、俺の努力を嘲笑うように指先が突然パンティの割れ目の上の突起を引っ掻いた。
「んっ、はぅっ」
まるで体が期待していたかのように反応してしまう。
(こんな声出したらお婆さんに気づかれるっ)
「あっ、やっ、ちょっ、んんっ」
(声がっ、我慢しないとっ)
「んんっ、んんんんっ」
恐る恐る顔を上げるとお婆さんは再び舟を漕いでいた。
(助かったぁ)
助かったのは助かったが、女としての快感を覚えたての俺の体は、これまで以上に感度が上がっている。
(…このままじゃ…きっとすごく恥ずかしい事になる…)
「ちょっと…」
一旦痴漢の腕を掴んで手を抜こうとしたけど全く動く気がしない。
(くっ、この体は力がないなあ)
仕方なしに今度は太股に力をいれて痴漢の手を挟む。
しかし、まるでそ知らないふりで指はパンティの端をなぞる。
まるで、いつでも入れられると俺に宣言しているようだった。
「はぁ…はぁっ…」
そんな状態が続くといやが応にも焦らされた体に淫らな炎が灯る。
(指…いつになったら入れるんだ…?って俺は何を考えてるんだっ)
自然に湧いてきた考えを慌てて打ち消す。
体の奥から滲み出した愛液で割れ目の中がトロトロになっているのが自分で分かるほどになっていた。
しかし、痴漢はたまにクリトリスを引っ掻くだけでそれ以上はしないまま焦らし続けた。
『間もなく~、▲■駅~、▲■駅では、ホームと電車の間が広くなっております~。お降りの際はご注意下さい』
「はぁっ…はぁっ…」
(やっと駅についたか…)
降りる駅の二つ手前の駅だ。
(さすがに手を…抜かないのか…?)
痴漢の腕を握る俺の手のひらが汗ばむ。
『プシュー』
扉が開いて閉まる。
結局乗り降りする客はなかった。
『御乗車ありがとうございます。』
車掌のアナウンスが合図のように指先がパンティの脇から入ってきた。
「ふぁっ」
恥ずかしい声が出てしまったけど、体は待ちわびた感触に喜んで、逃がすまいと指を締め付ける。
気がつけば片手で掴んでいた痴漢の腕を胸に押しつけるように両手で抱きかかえていた。
「んあっ、やっ、指入れちゃっ」
お婆さんを気にして痴漢の耳元に口を寄せて囁く。
ジュブジュブと音を立てて男の太い指が入ってくる。
(ち…力が抜ける…)
俺は掴んでいられなくなって痴漢の腕にしがみつくように腕を絡めた。
『ジュボッ、ジュブッ』
「ふぅっ、…んっ、やっ…ぁぁ、止めてぇ…」
途切れ途切れになりながら、なんとか痴漢に許しを乞うも、痴漢は何食わぬ顔で指を動かし続ける。
「気持ちいいんだろう?」
「ん…きっ、気持ちいいけどっ…やぁっ、こっ、これ以上したらぁっ、声がっ、声が、我慢できないぃっ」
『ジュプジュプジュプジュプ』
「そら、腰が前に出てるぞ。ククク」
確かに痴漢の言うとおり、座席に座る尻が前に出ていた。
「もっと奥まで欲しいんだろう?」
「そっ…んなぁっ。嫌なのにぃっ、きもちよくなってるぅっ…」
激しい指の動きでスカートが不自然に動く。
(あっ、ダメだっ、声があぁぁ)
『ジュボジュボジュボジュボ』
(あっ、くるぅっ、あああっ)
痴漢の腕をぎゅっと抱き締めて体が痙攣した。
『間もなく~●●駅~、●●駅です』
遂に目的の一つ手前の駅についた。
お婆さんが降りる。
『プシュー』
扉が閉まる。
「婆さんに見られて興奮したか?」
痴漢が手をスカートから抜くと、人指し指が根元までネバネバした粘液で光っていた。
「舐めるんだ」
達した余韻でぼんやりと指を見つめていた俺に痴漢の言葉が通りすぎる。
(…へ?今…なんて?)
意味が分からず痴漢の目を見つめた。
「お前の愛液と俺の精液まみれのこの指を舐めて綺麗にしろ」
(ちょっと…声が大きいっ)
確かにこの車両にはもう殆ど客がいないとは言え、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「さあっ」
痴漢の指が口許に寄せられると、ツーンとした独特の匂いがしたと思ったら、下腹の奥がキュキュッと反応した。
(あぁ…まずい…スイッチが…)
催眠術でも掛けられたように、俺は震える舌を指に向かってゆっくりと伸ばしていく。
指に舌が触れた。
(ちょっとしょっぱいけど…)
『ペロ…』
指を拭うように舌を動かす。
「もっとイヤらしく舐めてごらん」
「ん…」
(イヤらしく…?)
俺は痴漢の手を両手で持つと指を咥えた。
「ん…ちゅ…んちゅ…ねろ…」
舌を指に絡ませるように動かす。
「いいぞ。スケベな顔だ」
痴漢の言葉でますます激しく吸い付いた。
『ちゅぱっ、ちゅぱっ、じゅる…』
「よし、そろそろ駅につくな。もういいぞ」
痴漢に言われるまで俺は甘いお菓子を舐めるように夢中になって舌をしゃぶっていた。
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