島津と高樹のループする世界は一週間しか存在しない。
これは存在しない未来の一日。
(この話はただの甘いカップルの話です)
★★★
12月24日 午前8時00分島津政信
「ね、琢磨、起きて。今日は大学があるんでしょ?」
私は冬休みに入ったので、朝から早速琢磨の部屋に来ていた。
「ん…ああ、今日は休む…」
布団を被ったまま琢磨がボソボソと言う。
「だめだよ。ちゃんと行かないと」
「朝までレポートを書いてたんだ。もうちょっとだけ…ん?」
ガバッと琢磨がベッドから飛び起きた。
「美紗っ」
起こすために布団に伸ばしていた腕が掴まれたかと思うと、次の瞬間には琢磨の腕の中にいた。
「美紗、我慢できない」
抱き締められてそのままベッドに押し倒される。
「ちょっと、琢磨ぁ、だめっ」
琢磨の荒い息が顔にかかった。
「いいだろっ、もうお互いテストも終わったんだしよっ」
琢磨の鼻息が荒いのには理由がある。
十一月の終わり、私がまず試験前になったので琢磨とエッチをするのを止めて、会うのも休みの日だけにした。で、私の試験が終わると今度は琢磨の試験が始まり、琢磨の試験が終わるまで結局、ほぼ一ヶ月の間禁欲を余儀なくしていた。
琢磨はこの秋から人が変わったように(本人の談)これまで適当にしていた勉強に真面目に取り組むようになった。今回も初めてしっかりと勉強していたらしい。
ほぼ一ヶ月のおあずけに琢磨の股間は服の上からでも分かるほどギンギンになっていた。
「なあ、一ヶ月オナニーもしなかったんだぜ。頼むよ、なっ」
「だぁめ。大学から帰ってきたら何でもしていいから。ほら、レポートも出すんでしょ?」
琢磨の拝むような姿に心が揺らぎそうになる。我慢していたのは何も琢磨だけではない。
「美紗が一緒に来てくれるなら行く」
布団の中から琢磨の声がした。
(大学かぁ…ちょっと興味はあるかも…)
「いいよ。一緒に行こ」
そう言うと諦めたように琢磨もようやく起き出して一緒に朝食をとった。
琢磨が洗面所に入っている間に私は自分の姿をチェックする。
膝上丈のプリーツスカートに弛いセーター、琢磨の好きなニーソックスを履いている。
(この格好なら大学生に見えるかな?)
もしかすると琢磨の知り合いに会うかもしれないし、琢磨が恥ずかしくない格好をしないと。
私は最近覚えた化粧をして琢磨を待つ事にした。
『ガチャ』
洗面所のドアが開いて出てきた琢磨が驚いたような顔をして止まる。
「どうしたの?」
「あっ、いや…見とれちまった」
頭をかく琢磨に思わず「何言ってるのよ」と言ったけど顔が熱くなった。
大学までは徒歩で行けるので、手を繋いで歩く。
門をくぐると大学の独特の雰囲気がした。
(だけど、あまり生徒がいないのはクリスマスだからかな?)
あまりに閑散とした敷地に不思議に思って琢磨に聞いてみる。
「大学ってこんなに人が少ないものなの?」
琢磨も首を捻った。
「確かに…おかしいな…」
レポートを事務室で提出した後、掲示板で確認すると琢磨の顔が青くなった。
「すまん、美紗。教授がインフルエンザで休講になってる。ネットで先に調べてから来たら良かったな」
「ううん、いいよ。大学なんてそんな普段から来れるとこじゃないし。そうだっ、せっかくだから案内してよ。琢磨がいつもどんなとこにいるのか知りたいな」
そして即席の大学ツアーとなった。
ところが…。
「あれ?琢磨じゃない、今日は休講よ。ウフフ」「琢磨っ、暇ならお茶でも…って彼女?」「おうっ、琢磨、今日も可愛い女連れて…って、痛え」
まだ掲示板のすぐそばというのに、琢磨の知り合いに出会った。だけどなんだか怪しい。
「琢磨…あの女の人達誰?…それに『今日も』って…どういう事?」
私の言い方に刺があるのはこの状況なら仕方ないと思う。
「いや、…その…なんだ…友達だ。一緒の授業受けてるからさ、テストとか出席の助け合いって言うか…。それに最後のは冗談だからな。俺は美紗一筋だぜ」
(あんなに綺麗な女の人がいたら私じゃ物足りないよね…)
それまでの楽しい気分が、一気につまらなくなった。
「私帰る…」
振り返って歩き出した私の腕を琢磨が掴んだ。
「ちょっと待てよっ」
大きな声を琢磨が出すもんだから、なんだなんだ、と掲示板を見に来ていた少なくない人達の目が私達に集まる。
「だって…あんな綺麗な人達が琢磨の周りにいたら…私なんて…」
注目を浴びた恥ずかしさに俯いて絞り出す声が涙声になってしまう。
「そんなことねえよ」
ギュッと琢磨に抱き締められた。それを見て口に手を当てて驚く女の人や、目をそらす男の人が私の目の端に映る。
「ちょっ、琢磨っ、みんなが見てるっ」
慌てて離れようとすると、琢磨の腕の力がさらに強くなった。
「関係ねえよ」
強く抱き締められていると、不安が溶けて消えていく気がする。
(会わないでいたせいで不安になっていたのは私の方だ)
「ありがとう、琢磨。機嫌悪くしてゴメンね」
そう言うと、ようやく琢磨が私を離してくれて、そそくさと私達はその場を立ち去った。
「せっかく来たんだ。他のとこを案内するぜ」
ツアーが再開される。
「ここが、今日の講義があるはずだった教室だ」
琢磨に連れられて入った教室は想像していたよりずっと広い。
段々に高くなった机、全部で何人入れるだろう。端の方では数人の学生が何やら話をしていたり、携帯で休講を友達に伝えている学生もいる。
「大きいんだね。いつもこんな教室なの?」
「いや、もっと小さい部屋もあるけどな…」
琢磨と話しているとブザーが鳴った。
「授業の開始の時間だ。適当に授業見てみるか?」
「えっ?いいの?」
思いがけない琢磨の言葉に驚く。
「ああ、大教室なら知らない生徒がいてもバレないぜ」
私は琢磨にお願いして講義を見てみることにした。
「この授業なら去年も取ってたけど大丈夫だ」
琢磨に連れられて入った教室はさっきの教室と同じくらいのサイズで教壇の先生がマイクで何か話している。私達はこっそり入って都合よく空いていた後ろの席に座った。
「…だから…で…」
難しい専門用語が出てくる。
「琢磨っ、これって何の授業?」
小声で琢磨に尋ねる。
「確か経済学だったと思う。俺も去年は寝てたから分からん」
そう言われて周りを見ると半数以上が寝たり携帯を弄ったりしていた。
「こんなのでいいの?」
何だか先生が気の毒に思える。
「いいんだよ。この授業はそれで有名なんだから」
先生は淀みなく話続けていたが、突然教室が暗くなった。スクリーンが下りてきてなんだかよくわからないグラフが映し出される。
(?)
「この教授は半分はスライドを使うんだ。見てみろよ」
一番後ろだからよく分かる。携帯を弄っていた学生も触るのを止めて、机に突っ伏す。最前列近くの生徒以外みんな俯いてしまった。
(みんな寝てる…こんなので本当に大丈夫なのかな?)
だけど、先生の話も分からないし、その話し方も眠くなる生徒の気持ちが理解できる。
(もぅいいかな)
「琢磨っ…?」
帰ろう、と言おうと思って隣を見ると、机に突っ伏して寝ているとばかり思っていた琢磨は目を開いて私を見ていた。その目はなんだか熱っぽい。
「ねっ、もう出よっ」
ところが、琢磨は何か思いついたようにニヤッと笑った。
この顔は私を虐める時(性的な意味で)にする顔だ。
琢磨が頭を机から起こして、スッと顔が近づいてきたと思ったら唇が触れ合った。
(なっ)
「美紗…やりたい。足を開いてくれ」
慌てて離れようとした私を捕まえ、耳元で囁いたかと思うと、手がスカートの上から太腿に触れた。
「なっ…何言ってるのよ。ちょっと…こんなところで…」
こそこそと耳元で囁き合う。
「ほら、今ならバレないからっ。なっ」
太腿をゆっくり撫でながら、スカートをたくし上げていく。
「ほら、美紗も顔が真っ赤だぞ」
「それはっ…琢磨がっ、やぁっ」
内腿が撫でられてビクッと反応してしまった。久しぶりの琢磨の手の感触に以前より敏感になっている気がした。
「触ってくれよ」
琢磨が私の手をとって股間に導く。
(熱い…)
一ヶ月の間ご無沙汰だった私の体に瞬く間に火がついた。
固くなった肉棒の形を確かめるように私の指は動く。
(ぁぁ…すごぃ…)
「ほら、足を開いて」
琢磨の言葉に今度はオズオズと足を開いた。
(こんなところで…ダメなのに…)
いけないことだと思うと体がますます火照るけど、琢磨の手はなかなか太腿の奥に進まない。
見上げると琢磨と目が合った。その視線が促すように股間に向かう。どうやら口でして欲しいようだ。
こんなところでフェラチオを求めてくるなんて呆れて何も言えないけど、キラキラと輝く琢磨の目を見ていると何となくしてあげたくなった。
(もぉ…しょうがないなぁ)
股間のチャックを開くと中から大きくなった肉棒を取り出した。
(あれ…こんな大きかったかな?)
記憶の中のサイズより一回り大きい気がした。
上半身を倒して琢磨の腰に被せるようにして顔を寄せる。
それだけでピクピクと動く肉棒がなんだか可愛く見えてくる。
竿を摘まんで付け根に唇をくっつけるようにして舌先でくすぐる。
ピクピク反応するのが嬉しい。
亀頭まで舐め上げると、先走り液が溢れていた。
『チュッ』
亀頭の先を舌でくすぐってゆっくりと口に含む。
(やっぱり…太い…)
亀頭もそうだけど竿も太くて口の中が一杯になった。
「ん…ぐ…」
舌を出して亀頭の裏に這わせながら頭を上下に動かす。
『ジュポ、ジュポ、ジュボ』
その時ファスナーが下ろされる音が聞こえた。
(あ…)
私の体に回した琢磨の手がスカートの脇から入ってくる。
「美紗も我慢してたんだな」
パンティの中に入ってきた指が確かめるように浅く割れ目をさらった。
「んぐ…ん…」
声を殺して私は続けて琢磨の肉棒に奉仕した。
口の中で舌を竿に絡めて、手で睾丸を掬い上げるように優しく包む。
(重いような…一杯溜まってるのかな…)
この中の精液がこれから自分に注がれる。そう考えたら体の奥がキュンとなる。
『ジュボ、ジュボ、ジュボ』
自然に口の動きは激しくなり、同時にサワサワと睾丸を摩りつつ竿も擦る。
琢磨が浅く座り直した。これはイキそうな時の合図だ。
「く…美紗…すまん」
そして、やはりその後すぐに琢磨の腰が震えた。
(くるっ)
と、同時に亀頭が膨らむ。
「んんっ」
『ドピュピュピュ』
精液が喉を打つ。
「ん…こくん…んっ、こほっ、こほっ」
オナニーも我慢していたというのは本当だったのかもしれない。私は唇の端から漏れる精液を手で押さえた。
それに、凄く濃い。一度肉棒を口から離して溜まった精液を飲み込んだけど、ねばねばが喉に絡んで咳き込む。
「大丈夫か?」
琢磨が頭を撫でてくれた。
「こほっ、大丈夫…だけど、我慢してたの本当だったんだね…凄く濃かった…」
琢磨の肉棒を舌で綺麗にしてから体を起こす。
「だから言ったろ?安心したか?」
「うん」
暗闇の中で服を直して教室を出た。
その後、大学の帰り道。
「美紗、嬉しそうだな」
(だって、琢磨が私のためにオナニーも我慢してくれていたんだもん)
恥ずかしいから言わないけど、琢磨にくっついていると暖かい気持ちになった。
「ねぇ、琢磨…」
琢磨を見上げる。
「ん?」
優しく微笑む。
「えっと…」
「何だよ」
恥ずかしいから琢磨の腕を引っ張って耳元で小声で言った。
「今夜はたくさん可愛がってね」
琢磨は驚いた顔をしたあと、ニヤッと笑った。
「当たり前だろ」
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