FC2ブログ

記事一覧

旅立ちの日

そして次にルシオさんのお店に行く。

「おっ、アオイちゃんっ、ってえええええっ」

ズルズルと引きずってきた毛皮の数にルシオさんの目が点になった。

僕は革袋から牙と銀狼の毛と小瓶を出した。

「買取をお願いします」

「あ……ああ。数えるから適当に待っててくれよ」

待っている間、僕は一度ルシオさんの店を出て他のお店を回ろうと歩き始めた。

(「主殿、何を買うつもりなんじゃ?」)

(「えっと、水とか、干し肉とか?長い旅になるわけだしさ」)

(「そのようなものは要らないのではないかえ?」)

村正は何を言ってるんだと言う様子だ。

(「どうして?」)

(「銀狼に乗っていけば良いではないか」)

うーん、と僕は腕を組む。

(「主殿はまだ銀狼が許せぬのか?」)

(「そりゃそうだよ。町の人を傷つけて、そんな簡単に許せるわけないじゃないか」)

(「じゃが、あの銀狼の言うことも一理あるぞえ。人間も食べるために生き物を殺し、自衛のため、素材をとる為に魔物を狩る。銀狼のやったことと何が違うのじゃろう?」)

村正の言葉は僕を悩ませた。

(「うーん、そう言われると…うーん…」)

(「では、こう考えるとどうじゃ?銀狼を利用するのじゃ。馬車の代わりに使うのじゃ」)

(「うーん…」)

「おーい、アオイ君」

村正と話し込んでいたらルシオさんが店の前で呼んでいた。

店に戻るとカウンターには毛皮と牙、銀狼の血の入った瓶に分けられている。

「18頭分の毛皮が120万イェン、銀狼の毛は300万イェン。あと血は売らないほうがいい」

「どうしてですか?」

「銀狼の血は万能薬になるんだ。末端価格で500万はくだらないから持っときな」

ルシオさんはそう言って大切そうに瓶を僕に返してくれた。

(「へぇ、そんなにすごいのか…あっ、そうだっ」)

ルシオさんに待ってて、と叫んで僕は町長さんの所に戻る。

「おや、葵君、どうしたんじゃ?」

「町長さん、これ飲んでみてください」

そう言ってコップに銀狼の血を入れた。

「そっ、それはいかんっ、葵君、銀狼の血の効果を知っておるのか?」

「はい。だから町長さんにぜひ飲んでいただきたくて」

「こんな老いぼれのために…ありがとう、ありがとう…」

町長さんは涙を流して一口飲んだ。

光が町長さんを包む。

そして光が収まった時、町長さんの傷は完全に治っていた。


◇◇◇◇◇


次にジェイクの家の前で僕は悩んでいた。

(なんて言ったらいいかな?うーん。)

ああでもないこうでもないと、ドアの前で立っているといきなりドアが開いて顔をしこたま打つ。

「いったぁい」

「何を人の家の前でウロウロしてんだ?」

ジェイクだった。

おじさんとジェイクと向かい合うようにして座ると、僕は話を切り出した。

村正を手に入れた話と呪いで女になってしまったことも。もちろん他言無用でお願いした。

「なんてこった…」

デレクさんは政信さんに合わせる顔がないと頭を抱えている。

それとは対照的にジェイクは何も言わず、じっと僕の話を聞いていた。

そしてしばらくしてジェイクの口が開いた。

「それで、お前は強くなって戻ってきたら今度は倭国に向かうんだな?」

「うん。あと、この呪いを解く方法も探したいし」

「わかった。お前が帰ってくるまでに俺も倭国まで行ける船乗りになっておく。お互い頑張ろうぜ」

「うん、ジェイクも無理しないでね」

デレクさんからはくれぐれも気をつけるように言われ、餞別に魚の干物をもらった。

僕は銀狼の血の残りを渡して、僕が帰ってくるまで元気でいてくれるよう頼んだ。

◆◆◆◆◆


ついに旅立ちの時が来た。

お父さんの時と同じように、いや、方向は逆だけど…森の入口で皆とお別れをする。

ジェイクの姿をキョロキョロと探すけどいないようで、おじさんに聞いても「あいつ朝から姿が見えねぇんだ」といらついていた。

ジェイクが来てくれなかったのだけが残念だったけど、仕方ない。

「では、気をつけて行ってくるんじゃぞ。あと、必ず生きて戻ってきておくれ」

町長さんからは嬉しい言葉と、ギルドに出す書類を準備していてくれた。

「どこでもウチの店に来てくれたら、これを出してお金を出してもらうんだよ」

ルシオさんは大金を持ち歩くのは危ないから、と今回の買取金額を本店でもらえるようにしてくれた。

「あんたみたいな可愛い顔してたら、人さらいに捕まっちゃうんじゃないかねえ」

などとおばちゃんに心配されて苦笑しながら挨拶をして回る。

最後におじさんに「行ってくるよ」と言った時にジェイクが息を切らせて現れた。

「ジェイクっ」

おじさんが何か言おうとするのを遮って僕の近くに来る。

息を整えるようにはぁはぁと肩を上下するジェイク。

「来てくれないのかと…」

「そんなわけあるかよ」

そう言ってジェイクは握った手を出した。

(?)

手のひらを出すと、大きな真珠が現れた。

「時間がなくて加工はできなかったけど、最高級の真珠だ。お金が無くなったら売ってもいいし、好きに使え」

「うっ、売る訳無いじゃんっ、ありがとう。ずっと持ってるから」

ちょっと涙が出た。

ジェイクは鼻を一度すすると俯いて僕の目を見ずに

「元気でな。待ってるぜ」

そう言って握手をした。

「行ってきまぁす」

「「「「「元気でなぁっ」」」」」

皆に見送られて僕は森の中に入っていった。


◇◇◇◇◇


しばらく歩いたところで銀狼がいつの間にかついて歩いてきているのに気がついた。

(「ところで主殿、どこに向かうつもりなんじゃ?」)

(「うーん、できるだけ大きな街がいいなあと思ってるんだ。もしかしたら男に戻る手段も見つかるかも知れないし。だからとりあえず一番近いロゴスっていう街を目指すつもり」)

(「主殿はまだそのようなことを言っておるのか。じゃから、死ぬまで無理じゃと言うておろうに。それでロゴスまではどれくらいかかるのじゃ?」)

地図を出して方角を見ると大きな山の向こうにあるようだった。

(「遠いのぉ」)

(「何言ってるのさ。そのために色々持ってきたんじゃないか」)

背中に背負った大きなバックパックには干肉や魚の干物、それに水や着替えが詰め込まれている。

「さあ、頑張っていこうっ」

…数時間後

(「…村正…ここどこなんだろ?」)

道に沿って歩いていたはずが、段々道幅が狭くなって気がつけば森の中の獣道になっていた。

(「妾に分かるはずなかろ?はあ…。主殿がこんなに方向音痴とは…」)

チラッと振り返ると普通の狼のサイズになった銀狼が付かず離れずついてきている。

(「のう、主殿…」)

(「ダメっ」)

村正が言わんとすることは分かっている。銀狼に乗ろうというのだ。

(「もうすぐ日も暮れるぞえ。野営の準備をした方が…」)

(「もうちょっとだけ、地図によるともう少しで川に出るはずなんだ」)

だけど、梟の鳴き声が森に響く時間になっても川どころか水溜まりにも出会わなかった。

『パチパチ』

森の中の少し広くなったところで、僕は一日歩き通して疲れた体を休めることにした。

たき火の明かりをぼんやり眺めながら僕は物思いに耽っていた。

(地図通りに歩いたのに…何が悪かったのかな…?)

(「主殿は地図の通りに歩いておらんからこのような事になったのじゃっ」)

即座に村正から突っ込まれる。

(「のぉ、主殿…」)

(「ダメだよ。そんなことしたら銀狼を連れて行くことになるじゃんっ」)

チラッと横目で窺うと、木の陰にゆったりと銀狼が眠る姿があった。


◆◆◆◆◆


「今日こそはっ、まずは街道を目指すよっ」

日が上ると元気を出して再び歩き始める。

(「大丈夫かのぉ?」)

(「大丈夫っ、森の中は目印を見ながら歩けば良いんだよ。方角的には向こうだから、よしっ、あの尖った山に向かっていくよっ」)

村正の心配をよそに歩き始めた僕は昼過ぎにお昼休憩をとることにした。

「ちょうど、広場があるからここでお昼ご飯を食べようっ」

(あっ、ちょうど火を焚いた跡がある…あれ?)

(「むっ、村正…」)

(「主殿…」)

そこは今朝出発した広場だった…。

(「主殿…」)

(「ううう…分かった…分かりました。夜まで頑張って無理なら銀狼にお願いしますっ」)

で、結局夜になった。

(はぁ、またここで野宿かぁ…明日は銀狼にお願いして…はぁ)

布を体に巻いて星空を見上げる。

(「主殿、この旅の間、魔物に出会わないことに気づいておられるかえ?」)

(えっ?)

そう言われれば魔物どころか危険な動物にすら出会っていなかった。

(「ほんとだ…でも、どうして?」)

(「おそらくじゃが、銀狼が見張っておるからじゃろ」)

銀狼は大木の切り株の上で寝そべっている。

(僕が安心して眠れていたのは銀狼のおかげだったんだ…はぁ…何も気付かなかった…)


◆◆◆◆◆


「ねえ、銀狼…っと、いつまでも銀狼じゃ良くないね」

「オレハ、ナンデモイイゾ」

「えっと…そうだなあラルフ・シルバーなんてどうかな?ラルフって狼の意味が有るって聞いたことあるし」

「ヨイナマエダ、アリガトウ」

「じゃあ、ラルフ、ロゴスまでどれくらい時間がかかる?」

「フム、アスマデニハ」

「じゃあ、どっかでもう一泊はしないとね」

僕はラルフの背に乗る。

「それじゃあラルフ、お願い」
関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

スポンサーリンク

サイト内検索/作家・サークル・ブランド

変身  入れ替わり 憑依 まる寝子 安治ぽん太郎 赤髭  若宮参太 羅ぶい グレッグ僧正 林田虎之助 ToL●VEる 氷月 ガットマキア M小説同盟 Q RAYMON DATE akys本舗 パルコ長嶋 枝空 あむぁいおかし製作所 きつね長官 なるせ 谷口さん L.P.E.G. 大和田朋輝 桐下悠司 あむ 命わずか 忍桐ずん かかし朝浩 犬神ラボ  九条志玲 H9 TSFのF せみもぐら アサノシモン もちもち堂 ゆきまろゆっきー ぶーちゃん 砕骨子 夢幻館 ジンギスカンの玉葱は俺の嫁 龍企画 サナダ ドウモウ 鹿島田しき あるざ流人 gallery_walhalla エムシー販売店 あめしょー いそふら うえにあるみかん Norn 紫紀 狩野景 ダイナマイトmoca 坂井リンゴ けんたろう 艦●れ 大人の幼恥園 柚子鉄線 U.R.C 蜥蜴重工 むらさきにゃんこバー HB 猫丸恋太郎 LAZY_CLUB 幾夜大黒堂 水利硝 大嶋亮 ヴァニラCREAM BANANA 新堂エル Norn/Miel/Cybele かると 泥酔桜国 ノーリミット やまガラス Cothurnus 午前七時の合わせカガミ 一輪車でねこらっしゅ 稲葉COZY 宮里えり 一夢 タケユウ 赤人 菅野タカシ 双龍 せぼい PoRore 高宮はいり 桐生真澄 ダルシー研Q所 無計画主義 吉田犬人 さいもん トキサナ もくふう 山田ゴゴゴ ふじや 零覇 アカギギショウ TS内燃機 緑木邑 tes_mel ピンクパイナップル シルキーズ アロマコミック 零零零 ピンポイント くろの 花妻見枝豆丸 ひらたいら 綾瀬はづき あべつくも 男体化 松園 BENNY’S 狼亮輔 夏川冬 ウィルテイム ニイマルサン まぐろどんぶり 神谷ズズ 舘石奈々 キングピン 白羽まと OKAWARI 成田コウ 眠たい猫 田中竕 山猫スズメ 座間翔二 Hisasi 福龍 #define 雪月楓花 龍炎狼牙 鈴月奏 エロエ クラウド にくじゃが 飛燕 鶯羽佯狂 永田まりあ 真城の秘宝館 恥辱庵 りこ丸 雪乃つきみ 高尾鷹浬 TLB 小女子 伊佐美ノゾミ 白駒らい JUMP はみ部屋 B-DASH ハイエンド 若井いくお 椿山パリィ アクオチスキー先生 とも福 脳縮還元 雨雅 高柳カツヤ 虹のれん Red.D 橘真児 ごまさとし ちょこばにら 花門初海 舞麗辞 しまちよ ゆきマンゴー 勇者乾電池 鳥茶丸 たいやき ちみチャンガ 種梨みや アシオミマサト 葛城ゆう 酒井仁笹弘 じぃすぽっと vivi-sectr 高瀬むぅ Lilith 白濁系 LIBERTYWORKS pastgadget 彩葉チヨ ヨシフミカオル 百合原明 萌姫ねねね ケラトン 藤島製1号 桂あいり CrookedNavel 浅草寺きのと クリムゾン 天鬼とうり コトキケイ しなのゆら 夜のひつじ TinkerBell アクシス レトロスター ディーゼルマイン エクスプロージョン あんにん スピンドル D-ivision ポン貴花田 蔵乃 水姫七瀬 消火器 メイビーソフト 森島コン 中川優  あきちん 上原ヨヨギ 立川立夏 久壁おと 工藤詩乃 有栖リツカ ボクガール アパタイト SPINDLE 風雅ゆゆ さじぺん 高山ねむ子 如月奏 ボクの女子力はあの娘のパンツに詰まっている。 都氏 能都くるみ 吹浦ハギ 早乙女もこ乃 松山はやて 樋口あや 松阪剛志  小武 極フェロ ikak ちり 愛内なの 無限軌道 満足堂 松任知基 ココロコネクト 伊駒一平 氷室芹夏 チロリアン ねとろもりこん だーくすぴりっと 篠塚醸二 四葉チカ taro るいす・まくられん ほりとも まうめん すみすず たいやきトランプ 汚惣菜屋 目指せ絵師様 はるゆきこ majoccoid みよし かふぇもかそふと Q-Gaku 仁志田メガネ いちよんよん 高槻遠名 木ノ碕由貴 なちすけ 楽人唯夏 Cybele 托卵JP あまね紫狼 Miel 雛瀬あや 白家ミカ 小倉脩一 ピロンタン フジツナ 天野タマキ くどうひさし runa アロマフラッシュ! チリモズク茶 雑菌工業 真黒皇子 春日まゆ 石野鐘音 spika すずしろやくも 愛昧亭 47.5% 式神くろ子 緋衣響一 @子猫 福徳紗織 愛昧亭うまみ 藤馬奈緒 一夜猫の夢 ろれろれ屋 大石コウ gallery walhalla 君の●は。 八尋ぽち 四八楼 TSF専用 地縛霊の巣 眠り猫四郎 CHU-S 天崎かんな 東航 4階絵画室 宇行日和 AV オジィ NOIR ほんじょう山羊 カワディMAX ねじろ とめきち 鉄腕うーぴー TSUBASA 花巻かえる 松波留美 雷蔵 壱状什 DLメイト 碧本さり ら○ま1/2 MasterMind 夏が夜かおる しおん 蒼田カヤ 鳥之倉 みうら悶絶 くりおね社 アシオ 黒色彗星帝国 福田りお たなかけいご 九波ヒメヒコ もねてぃ さかもと(猫) 瀬奈陽太郎 144 美矢火 tsxy 絵を描くマン ゆうきつむぎ 月下冴喜 柚木N' 井ノ本リカ子 たけし 風呂井戸ソフト ZEQU KEN しいなかずき アイド●マスター 睦茸 千変万化式 ぷりてゐ 左カゲトラ ヨノイ誠一郎 みなこなみ RIKI サ●ーウォーズ 日月ネコ 馬せんた 南乃映月 東方Project 星逢ひろ あましょく kupa さいだ一明 大橋薫 南ちさと ふかふか天職 南郷じんげる bpm12 モフ2製作所 Quu 女騎士の城 りーるー 十月兔 百合 不確定空間 布施はるか 三夜 合丼来来 ゆめみきらら 蒟吉人  メロンバロン 我心達吉 うたのはかせ 鎖ノム 納屋  南京本舗 鉄巻とーます 

スポンサーリンク

小説系相互リンクサイト様


Mikiko's Room

ゴシック系長編レズビアン小説ならここ。登場人物の変態度はNo.1



凛 騎 応 変!

近親相姦から浮気、人妻、寝盗りといった内容の小説サイト様。背徳感がたまりません。



18's Summer

少女たちが男に屈服させられる。寝取られ属性、陵辱表現に溢れた中身の濃い小説サイト様です。



制服フェチ小説

制服、女装、エロ、百合、触手などに加え、ストーリーもしっかり備わった小説サイト様です。可愛い挿絵もあって美味しいですぞ。



変態小説

『変態小説』の名に恥じない素晴らしい内容の小説サイト様。半端ない変態性を惜しみなく晒してくれます。


かみやなぎの官能小説もどき

性描写ばかりというわけでもないのに不思議にエロい。読み終わったあとも爽やかさの残る絶品小説です。

官能小説ランキング

ブログランキングに参加しています。 押していただけると励みになります。
にほんブログ村 大人の生活ブログ 恋愛小説(愛欲)へ



最新記事一覧

フェアリーセティ Jan 21, 2017
女体化勇者牧場 Jan 20, 2017
好色変化 Jan 19, 2017
堕ちて犯されてマワされて Jan 18, 2017
ゆうしゃはスライムむすめになってしまった! Jan 17, 2017

ツイッターこっそりやってます

スマホでも!!無料エロゲー

戦国プロヴィデンスX

アダムとイヴと彷徨えし方舟X

⑱禁同人

ヒメカノ2 ダウンロード販売

ヒメカノ3 ダウンロード販売

⑱禁漫画

小悪魔カノジョ ダウンロード販売

アダルト電子コミック レンアイサンプル

ヤッて姉妹ました ダウンロード販売

⑱禁エロゲー

ダイレクト特集ページ用バナー(ダウンロード版)

堕ちていく新妻 ダウンロード販売

ワルキューレロマンツェRe:tell Ⅱ ダウンロード販売