魂の残り香1

最初は蔦か何かだと思った。
だけど、スカートの内側にそれが入ってきた時、ようやく私にも今時分に降りかかってきた不運を理解した。

「いっ、いやっ」

蔦だと思っていたものが私の足に絡みつく。その瞬間、顔から血の気が引くのが分かった。

「あっ、ゃっ、いやああっ…」

そして、叫び声をあげるよりも早く、私の体は沼に向かって引きずりこまれた。

「お嬢様っ!!くそっ、リーパーかっ」

一緒にいたのは結婚するにあたり実家から共に来てくれた侍女達と護衛の騎士が二人だけ。

「お嬢様ぁっ」

この声はミクル、彼女は自分の身を省みず沼に入ってきて私の体にまとわりつく触手を剥がそうとしてくれる。

だけど、私の目にはそんな彼女の横から近づく別の触手が映っていた。

「だめっ、ミクルっ、逃げ」

「きゃっ」

ミクルの腕に触手が絡みついた。

「お嬢様ぁっ」

既にリーパーの体液で私は指を動かすことも出来ない。

私の頭に浮かぶのは愛しい旦那様。

「ごめん…なさい…」

魔物に妻を汚された貴族など末代の恥。舌を噛み切れるなら今すぐ噛み切りたい。

だけど、そんなことすら出来ない無力な私はただ下着が破られ、太くヌメヌメとしたモノが胎内に入ってくるのを感じて意識を失った。

◆◆◆◆◆

開いた窓から入ってくる朝の気持ちのよい風に髪が揺れて目が覚める。

「ふぅ…」

俺は一度大きく伸びをしてから、ダブルベッドに腰かけて煙草に火をつけた。

さて。

枕元に落ちている一枚の紙を拾い上げた。

『仕事抜きで最高だったわ。また指名してね』

俺は煙を吐いて、目を閉じた。流石に高級な店だけあって容姿もスタイルも、それにもちろんテクニックも申し分なかった。

だが、その上で快楽に負けず客の要望に応える、その点こそが高級娼婦の良いところだ。ここでいう要望というのは朝にはきちんと帰ること。これこそが最も重要な点だ。安い娼婦ではこうはいかない。

これまで安い娼婦を買った結果、娼婦がなかなか帰らないことが何度もあった。俺はそんな経験からプロ意識の高い高級な娼婦を買うようにしている。

「さて…」

俺は吸い終わった煙草を灰皿で揉み消すとシャワールームに向かった。

流石にもう早朝とは言えない時間ということもあって石畳の道を馬車や人が行き交っている。

宿の前で捕まえた馬車が停まったのは、王城の前。

衛兵に声をかけて俺は王城に入る。
そして、いつものことだが、まずは兵士の詰所に向かった。

「おや?レナードじゃないか、今日こそは私と手合わせしてくれるのか?」

詰所に入ったところで、いきなり話しかけられる。
男のような口調で気安く話しかけてきたのがイザベラ、貴族の出で女の身ながら騎士団長までなった女傑だ。

「夜の手合わせならいつでも」

軽口を叩くと周囲の男達がギョッとしたように俺の方を見る。

「ふふ、それは私に勝ったらな」

そうイザベラが答えるのを聞いて兵達から安堵の息が漏れた。

イザベラに言い寄った男は数知れず。だが、この国でも一、二を争う剣の名手に勝てるものなどいないことは明らかで、なおかつイザベラは自分よりも強い男にしか興味はないと普段から吹聴しているのだ。

「もったいないことだな」

俺はぼそっと呟きつつ周囲を見渡した。数人の兵士がチラチラとイザベラを見ている。が、それも当然だろう。年齢は20歳そこそこ、凛とした容姿はこの国の兵達の間で王女と人気を二分しているそうだ。
それだけでなく、今は鎧を着ていないため、体にフィットした薄いインナーしか着ていない。

ピチピチのTシャツとスパッツ越しに女らしいスタイルが見てとれる。

「っと…まずは仕事をするか」

俺は名残惜しいが、詰所で名前を書くと仕事場に向かった。

◇◇

「うくっ、んっ、あっ♥」

地下の部屋の中に呻き声が響いている。

「どうしたんだ、もうギブアップか?」

「くっ、あっ、ギブアップ…など…んっ♥ああっ」

クリトリスを舌先でつつくと思った通りに反応する。

「さっきまで、『くっ、…やるなら早くやれっ』とか言ってたのは誰だろうな?」

「そ…それ、んひゃあ♥」

「はあ、騎士団長がこんなんだとは、兵や騎士が知ったらどう思うだろうねえ」

「レナードだけぇ♥私がこんなことするのレナードの前だけだもんっ♥」

この地下室は俺の仕事場だ。そして、仕事を終えた俺の前にイザベラが再び現れたのだった。

「まさかドアの前でずっと待っていたとはな。道理で毎回ちょうど仕事終わりの良いタイミングで来ると思ってたよ」

「だってぇ♥待ちきれなくってぇ♥」

スパッツを膝まで下ろした不自由な状態で尻を突きだしてくねらせる。

「ねっ、レナードぉ、もぉ我慢できないの♥ねっ、お願い?」

はいはい、そう言って俺はグチョグチョに濡れた騎士団長のオマンコに後ろからチンコを突っ込むのだった。

「ああっ、おっきぃ♥」

普段から鍛錬を怠らない体は俺の分身をきつく締め上げる。並みの男ならそう長くは持たないだろう。だが、相手は残念ながら俺だ。

「この締めつけも王国一だなっ」

「あんんっ♥」

褒められて膣が複雑に締めつけてくる。

「ねっ?気持ちいい?イザベラのオマンコ気持ちいいの?」

返事の代わりに一度グリグリっと膣奥に押しつけてやる。

「やっ、あっ、あっ、あっ、あああああっ♥」

体を仰け反らせてイザベラが達した。

「イッくぅぅぅ♥」

俺の精液を搾り取ろうと膣内がさらにきつく締まった。

◇◇◇

「今度来るときは本気で訓練しよう」

王城の大門の前でそう言いながら握手を求めてくるイザベラ。

「ああ」

さっきまでの蕩けた顔を微塵も出さないところは毎度感心させられる。

「じゃあな、また来てくれよ」

(ん?)

握手を終えるとイザベラは颯爽と王城に戻り、俺も馬車が通りがかったので停めると、御者に自宅の住所を告げた。

「ふう」

落ち着いたところで先程握手をした際に渡された紙を広げる。

『イザベラはあなたをお慕いしています。いつでも待っています』

可愛らしいところがあるじゃないか。俺はほくそ笑んで煙草に火をつけた。

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