「ニックさん、どぉ…ですか?」
体を起こしてベッドに座るニック。その足の間に座った僕は垂れてくる髪を耳の後ろにかけて確認する。
「うん、アオイちゃん、すごく気持ちいいよ!!」
キラキラした瞳で僕を見つめるニックは幸せそうだ。
(どうしてこうなっちゃったかなあ…)
話は数十分前に遡る。
あれからまた3日経って、今度はニックから手でしてもらえないか、と僕はお願いされた。
もう1週間もしたら治るんだからちょっと我慢して欲しい、っていうのも僕の本音だし断ったんだけど…。
最初こそ遠慮がちだったお願いが「アオイちゃんにこんなことしてもらえるのはこれで最後だからっ!!俺の思い出に一度だけ!!」と力強く言われてしまうと断りきれず。
既に一度やってしまったことだから、手でやるだけならまあ、と仕方なく頷いてしまった。
そして今に至る。
前回は発情してしまって大変だったけどあれはいきなりで心の準備もなかったから…。
(大丈夫…早く終わらせてしまおう…)
今度は勝手も分かっているので、早く終わらせられるようにニックに前回教わったことも実践してみた。
『ヂュクッヂュクッヂュクッヂュクッヂュクッヂュクッヂュクッ』
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」
ところが、ニックの鼻息はかなり荒くなってきているのになかなか射精してくれない。
(なんで…?前回よりもスムーズに出来てると思うんだけど…)
実際、手はもうニックの先走り液でデロンデロンになってるし、精液っぽい匂いもしっかりしている。
(ん~…仕方ないかぁ)
僕は村正の力をちょっとだけ使ってみた。ニックの見ている視界が目に浮かぶ。
(ん~)
まず現れたのはやっぱり僕の顔だった。頬を赤く染めて、少し汗ばんでいる。
自分の顔を他人の目線で見るのは不思議な気分。
そこで僕は時おりニックの視線が下がることに気がついた。
今日は少し深い青色のワンピース。襟元までボタンが留められているので、服越しに胸の膨らみは分かるけど、下着や谷間は見えない。
(前回と違うのはこれくらいだけど…)
確かに前回はもっと胸元を見ている時間が長かったような気がする。
もう少し力を使うと、今度はニックの考えていることが映像になって現れた。
ニックの頭の中ではワンピースのボタンが外れて、ブラジャーが丸見えになっている。
「あの…見せた方が…いいですか?「いいの!?やったー!!」
僕が何を、とも言っていないのに食い気味でお願いされてしまった…。
(これも早く終わらせるためだし…)
僕はオチンチンを掴んでいない方の手で、上からボタンを外していく。
村正の力をちょこちょこ使って確認すると、僕の顔を見ていたニックの視界がボタンを外す手に注がれているのが分かる。
利き腕じゃない方の手だからなかなか上手く外れてくれない。だけど、不思議なことに手の中のニックのアレはむしろ固さを増しているような…。
時間はかかったけど、なんとか4つめのボタンを外したところでニックの顔を見る。
「ふんっ!!ふんっ!!ふんっ!!」
さっきまでよりも荒い息と欲情した目が僕の胸元を食い入るように見つめていた。
「ニックさん、僕のオッパイ好きにしていいんですよ♥フフフ」
「ぇっっっ!?」
急に自分の声が聞こえてびっくりしたけど、どうやらニックの妄想の僕の声だったみたいだ。
(うわっ…)
今日の下着は薄い緑色で柔らかい生地が胸の膨らみを優しく包んでいて着け心地はいいんだけど。生地の違いなのか、まるで着けていないようにフルフルと揺れる。
自分で見ても思わず掴みたくなるんだから、ニックからすれば誘われているように感じるかも。
(ダメダメ、集中しないと!!)
変なことを考えそうになって、再び手に集中しようとした僕だったんだけど、ふとニックの手が動いているのに気がついた。
(痛くて…とかじゃなさそうだけど…?)
それが何なのかは頭の中を覗いてみて分かった。
(わわっ…)
胸の揺れに合わせるかのようにニックの手は動いていて、妄想の中では僕が揉まれて顔を真っ赤に染めていた。
(いやいやいや、ちょっと…それは…んっ♥)
ニックの妄想とあいまって本当に触れられているような気になって、ビクッと体が反応してしまった。早く終わらせるためとはいえ、顔が赤くなってしまう。
(また…使いすぎてしまった…?)
それほど村正の力を使った覚えはないけど、鼓動が大きくなっていることに気がつく。ニックの視点で見る僕の顔も興奮して耳まで赤く染まっていた。
(早く出してもらわないと…)
『クチュッ、クチュッ』
僕はニックが暴挙に出るのでは、と不安になって手を動かすことに集中することにした。
「ぅっ」
ニックの荒い息に時おり呻くような声が混じる。
これが痛みでないことは分かっているので、僕はそこを重点的に擦る。
「ぅっあっ、ちょっ!!アオイちゃんっ、そこっ!!」
弱いところが分かって、今度は両手を使ってみる。
左手で先程までと同じように幹を擦る。そして、空いた右の手の指で先っちょの割れ目を撫でると、ビキビキっと先っちょが膨らんで透明の粘液が溢れだした。
「うぁっ!!」
薄い粘液を先っちょに塗りたくるようにして、重点的に擦る。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、気持ち、いいですか?」
「アオイちゃんっ!!カリはヤバいっ!!」
僕の手の動きにニックは面白いようにビクビクと痙攣して足の先とかピンと伸びたり、シーツを手がギュッと握りしめたりする。
それを見て僕はニックの気持ちいいところをますます攻めた。
「ふぅっ、ふぅっ‼ふぅっ!!」
ニックだけじゃなく、僕もいつしか息が荒くなっていた。
「気持ち良くなったら、はぁ、はぁ…遠慮せずに出してください…」
上目遣いにニックを見上げると、ビクッと手の中で震える。
「アオイっちゃん!!もうっ、うっ!!」
ググッと先っちょが膨らんだ。
(これって!!あっ、出る!!)
そしてニックの体が硬直する。
ビュッビュッと熱い精液の感触。
前回は何も知らずに顔にかけられてしまったけど、今日は片手のひらで先っちょをこねていたから、飛び出した精液は手のひらにぶつかって止まった。
「ふぅっ、ふぅっ…♥」
前回のように村正の反動が起こるほどではなかったけど、ニックだけでなく僕も息を整えるのに時間がかかってしまった。
(村正の力の反動が結構たまってきてる…?)
渡された布で手を拭ってから、ニックの精液を残しておけば良かったかも、と考えている自分に気づいて僕は頭をブンブン振ったのだった。
◆◆◆
「んはあっ♥️ああっ♥️深いっ♥️あああっ♥️」
ランプの黄色い明かりで、壁には髪を振り乱して快感を貪る影が映る。
「あっ♥️なんでっ♥️こんなっ、私の気持ちいいところが分かるのぉっ♥️そこっ、あっ、擦られたらイッちゃうぅっ♥️♥️♥️」
ギッシギッシとベッドを揺らしていた影がビクンッ、と震えて、男の胸に倒れこんだ。
「やっぱりあなたが一番よ♥️夫のものじゃもう満足できなくなっちゃったわ♥️責任取ってくれるかしら?ウフフ♥」
ニックは冷たい表情でアニータを見つめる。
「アニータ、そんなことより持ってきたかい?」
アニータはもの足らなさそうな表情を一瞬浮かべたが、ニックの上から離れると、床に放り出していた鞄から手のひらサイズの瓶を出した。
「もぉ、こんな美人が目の前にいるのに他の女の子のことばっかりなのね」
とはいえ、アニータは特段恨みがましい目を向けることもなくニックに手渡した。
「ふーん、これが言ってた薬か~」
ニックは瓶の中の粉を確認するように眺めた。
「で、首尾はどうなの?」
「うん、上々だね。もう手コキも慣れてきたし、そろそろ特製ローションの出番ってとこ。上手くいくようなら明日にでもこいつも使わせてもらうよ」
◆◆◆
もうニックが怪我をしてから10日ほど経ったことで、素人の僕にも分かるほどよくなってきたように見える。
最初は薬を塗るために触れただけでも顔をしかめていたのに、痛みがなくなってきたようだ。
そして3度目の手コキは、前回から2日後のことだった。
この日も薬を塗ろうと瓶の蓋を開けるとフワッといつもと違う匂いがした。
(あれ?なんだか匂いが変わったような…)
瓶を覗き込んで匂いを嗅いでみるとやはり少し変わっている。
「ニックさん、薬変わりました?」
「え?」
ニックは驚いたあと、思い出したように昨日アニータさんが往診に来て少し薬を足していったと説明してくれた。
「そういえば薬効を変えたとか言ってたけど…」
(なるほど。確かに、昨日まではクリームって感じだったけど、今日のはヌルヌルの液体って感じかな)
「ん…」
薬を掬って手にのせようとすると、指の間からネトーッと落ちる。
なんとなくニックのアレを連想したけど、急いで頭の中で打ち消した。
(でもこれじゃ、塗ろうとしても垂れちゃう)
何度か掬ってみて、結局ニックには服を脱いで寝てもらうことにした。
まずは両手で掬った薬をうつ伏せになった背中に落とす。
ヌルヌルと糸を引くように液体が落ちて、ニックの背中に広がった。
(けど、これ塗るだけでいいのかな?)
両手で広げて終わり、なら楽なんだけど。
「なんか昨日先生が揉みほぐすように塗ってもらえって…」
なるほど、とまずは背中で確認することにした。
「痛くないですか?」
どうやら薬で滑るおかげもあってか痛くはないみたい。
「うん、もうちょっと強くしてもらっても大丈夫だと思う」
力をこめるには体勢が悪い。
確認を取ってから、ニックの体を跨ぐことにした。
(今日はショートパンツにしといて良かった)
ショートパンツの方が肌の見える範囲は増えるけど、スカートみたいに中が見えたりめくれたりする心配はない。
膝を開いてお尻に座ると僕は前屈みになる。
上に着ているシャツも首元まで閉めているから屈んだところで問題もないだろう。
「アオイちゃん、大変でしょ?」
「はぁ、はぁ、大丈夫、です」
僕は少し息が荒くなっていた。
(なんか…変な感じが…)
ちょっと気になったけど、その時、ちょうどニックが話しかけてきた。
「でも、これってマッサージみたいだから分かるよ。そんなに頑張らなくても大丈夫だから」
(確かに、薬を塗ると言うよりもマッサージをしているみたい)
そういえばニックの仕事はマッサージ師だった、と思い出す。
「いえ、いい運動に、なります」
実際、体がもうぽかぽかと熱くなってるし。
(そんなに運動不足ってことはないと思うんだけど…)
ニックのお見舞いに来るようになっても、早朝の鍛練は欠かしていない。
「ふぅ…」
塗り込んでいた薬が乾いてきて、手の滑りが悪くなったところで、今度は仰向けになってもらうことに。
だけど、そこで僕ははた、と固まってしまった。
(ふぁ…)
僕の座るすぐ前の柔らかい布が下から押し上げられていた。しかも、今日ニックが履いている下着の布は水を吸収するのか、既に盛り上がった山のてっぺんの色が変わっていた。
(もしかしたらって思ってたけど…これは見ないように…)
膨らんだパンツの上に座るわけにはいかないので少し下がった所に座ってお腹の上に薬を垂らした。
「い、痛くないですか?」
「痛くはない、ん…だけど…」
その続きは言わなくても分かる。
「はぁ…はぁ…」
塗ったばかりのお腹からフワッと薬の匂いが漂う。
「じゃ、じゃあ、今度は胸の方に塗りますね…ふぅ…」
揉みこむために少し体を傾けると、おヘソのあたりに熱い感触が…。
気づいていない振りはさすがに無理だけど、視界に入れないように胸にも塗っていく。
「はぁ…はぁ…ふぅ…ふぅ…」
「…………」
(何も言わないとむしろ気になっちゃう…)
ニックは先ほどから何も言わない。そして、跨がった僕の足の前のそれは一向におさまる気配もない。
(今日の格好なら見えないはずなんだけど…)
胸元は開いていないし、スカートじゃないから下着も見えてないはず。
(どうしてニックを興奮させてしまったんだろ?)
今日は村正の力も使っていないし、まだ大丈夫なはず。
僕はそう考えて、ちょっとだけ村正の力を使ってみることにした。
(ん~……?)
見えていないと思っていたショートパンツの隙間からその奥に今日履いてきたピンクのショーツがチラチラと見えていた。
(えええっっ!?)
慌てて太腿を閉じようとしたら、バランスを崩してしまった。
「うわっ!!」
さらに、慌てて膝を閉じようとしたせいで、目の前の膨らみを太腿で挟んでしまった。
「くぅっ、アオイちゃんっ!!そんなことされたら…」
「ごっ、ごめんなさい!!痛かったですか!?」
それがますます大きさを増すのが内腿の感触で分かる。
「痛くは、ないんだけど…その…」
ニックの言いたいことは分かる。
(出さないとダメ…ってことだよね…)
ニックの目を見たら、このまま何もせずにというわけにはいかなさそう。
(まあ、この間もすぐに終わったし…)
ふぅ、と僕は深呼吸すると髪を結んでポニーテールにした。
「あの…パンツ下ろしますね」
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