その夜、ミハエルの選んでくれた宿に戻るとハルとアメがいた。
「どうだった?」
まずはハルが答える。
「ええ、やはりお嬢様を尾行している者がいました。どうやら服屋を見張っている様子でしたが、明らかにお嬢様達を舐めてますのでおそらくは何もないと思います」
「アメは?やっぱり鍛冶屋さんにもいた?」
「…」
実は二人には昼の間に一仕事を頼んでいた。
グランプリを取るために、他の出場者に対していやがらせや邪魔をする者がいるとミハエルが言うのでその見張り役だ。
「それじゃ、悪いんだけど、今晩は二人とも見張りをお願いね」
「僕らは寝る必要がないのでそれはいいんですが、それよりもお嬢様の方が心配です。本当にお嬢様がされるのですか?」
ハルの心配そうな言葉に僕は小さく頷く。
「スージーにそんなことさせるわけにはいかないからさ」
「それはそうですが…」
ハルは浮かない顔だが、当たり前だろう。
僕はこれから体を売りに行くのだ。
このコンテストは優勝者を中心に大きな経済効果が見込める。優勝者と少し繋がりがあるだけでも、一財産作ることだって可能だ。
だからこそ、優勝するためには不正が横行することになる。
その一つが、枕だ。
僕を除けば、僕らのチームでそれができるのはスージーくらい。
彼女は兎獣人で分厚い眼鏡を外せばすごく可愛いんだけど、問題は性格。お店にお客さんが来ても隠れて出てこれないほど人見知りなのに、枕なんてできるはずもなく…。
健気に「わたし、がんばります」って言ってくれたけど、真っ青な顔で震えてるのを、そのまま行かせることなんて出来ない。
「バッカじゃないの!?」
沈黙を破ったのはアメだった。
「あんたがそこまでする必要なんてないでしょ!!」
アメの厳しい視線に、僕はまっすぐ見つめ返した。
「アメ、仕方ないよ」
そんな沈黙を破ったのはハルだった。
「お嬢様は自分の目的のために誰かを犠牲になんて出来ない」
「だけどっ!「だからこそ僕らの主なんだよ」
アメがハルを睨むもその瞳は揺れている。
「分かってる…けど…だけどこれじゃ…まるで…」
呟く声は小さく、ところどころ聞き取れない。
ハルに促されてアメもチラッと僕を見る。その目からは僕を案じてくれているのがはっきりと分かった。
「ごめん、心配させちゃって」
言い終えると同時にドアがノックされた。
「とにかく気をつけてください」「イヤなら逃げればいいのよ」
二人の気配が急に曖昧になる。目の前にいるはずなのに意識から消えた。
『ガチャ』
そして扉が開いて入れ替わるように今度は申し訳なさそうな顔をしたミハエルと一人の男が現れた。
「スージーも来たがったんだけど、泣きそうだったから置いてきた」
「うん、その方がいいだろうね」
もう何度も謝られたので、僕とミハエルの間に会話は必要ない。
どうやらミハエルの連れてきた男が繋ぎをするらしい。
「あー、確かにこりゃスッゲエ顔面偏差値だわ。本人が枕すンのもそう珍しかねえけど、噂だけで裏の世界をパニクらせたンはアンタくらいだぜ?」
軽薄そうな言い方だが、その目は値踏みする商人のそれだった。
「体も最高だし、アンタ、間違いなく優勝するわ」
◆◆◆
ダークレッドの上品な絨毯が敷き詰められたホテルの一室。
落ち着かない様子で時計を見ていた男がふと思いだしたようにガラステーブルにグラスを置いた。少し右にずらし、左にずらし、グラスについた指紋を拭き取ろうとポケットをまさぐると、一緒にメモが書かれた紙が床に落ちた。
男はそれを拾い上げて、今日これまで何度も読み返した中身をもう一度確認する。
「夜11時…そろそろか…」
まるで男がそう言うのを待っていたかのようなタイミングで部屋の呼び鈴が鳴り、男は逸る気持ちを抑えて扉の鍵を開けた。
「どうも、こんばんわ」
扉の外にはこの街には履いて捨てるほどいる商人風の男が立っていた。
「あ、ああ…それで…」
男がコンテストの司会者の男であることを確認すると、商人風の男がすっと体を横にずらす。
商人の体で隠れていた女性の姿に男の心臓が高鳴る。エントリーナンバー12番のアオイ。今日着ていた黒いワンピースドレス姿だった。
コンテストでも飾り気の少ないシックなワンピースは周りの豪華なドレスの中で異彩を放っていたが、もし着ているのが彼女でなかったなら、これほど話題にはならなかっただろう。
フリルのついた胸元は大きく開いており、深い谷間に思わず目がいってしまう。今日これから、この柔らかい果実を自分の好きにできるのだと思うと、男は興奮で目眩すら感じた。
「さ、早く部屋に入ってください。人に見られるとやっかいですぜ」
商人風の男が周囲を気にするようにして男を促す。
「そっ、そうだった、部屋に…」
「では、人目につくとヤバいんで夜明け前には帰らせて下さいよ」
それだけ言うと商人風の男は姿を消した。
『ガチャリ』
部屋の鍵を掛ける音が妙に耳にそらぞらしく響いて、男は慌てて笑顔を作る。
「えっと、そ、そうだった!何か飲むかい?」
ソファにアオイをエスコートすると、準備していた葡萄酒を勧める。
「えっと…その…お酒は…」
ぎこちないやり取り。アオイは居心地悪そうに何度も座り直している。だが、男は目の前に存在する少女の姿に、そして、今夜これから始まることを考えて舞い上がってしまっていた。
「ほら、緊張してるみたいだし、これを飲んでリラックスしよう!」
男は自分のグラスにワインをなみなみと注ぐと一気に呷る。アオイとグラスを合わせて、などと考えていた事前の予定は完全に頭から抜けていた。
「さあ、アオイ嬢も」
アオイは目の前に置かれたグラスをしばらく見たあと、心を決めたのか、少し震える指でグラスを持った。
彼女の黒髪は部屋のシャンデリアの淡い魔力光すら反射してキラキラと輝き、グラスを持つ指先は白魚のよう。少し顔を上げてワインを飲むと、細く真っ白な首が蠢く。
「はぁ…」
アオイがグラスを置くと目の縁が朱色に染まり始めていた。
潤んだ瞳が揺れている。男は気がつけばアオイを抱き寄せていた。
「ふぇ!?」
アオイは嫌がるように体を捻るが、男がそれを逃がすはずもない。
背中から抱きしめると、アオイの柔らかい体は男の獣欲を刺激した。
「だっ大丈夫、俺に任せて」
「ぁふぅっ」
男は耳元で囁く、つもりだったが興奮しすぎて耳たぶに唇が触れた。
(しまった…!!)
「んっ…はぁ♡」
焦る男だったが、聞こえたのはどこか甘い吐息。
(…ん!?)
雰囲気を出そうとした結果の失敗だったが、アオイの喘ぎが男を奮い立たせた。
「ちょっと…待ってくだ、ンっ♡」
続いて後ろから鎖骨を撫でれば、やはりビクッと体を震わせる。
「アッ、アオイ嬢は少し無防備すぎるな」
これまで何年も司会を勤めてきたが、毎回こういった役得がある。最初の年、初めて枕を宛がわれた時は悩んだが、それも初めだけ。見目のいい女をタダで抱くことが出来る、その魅力には勝てるはずもない。
(毎晩違った最高の美女を食えるんだからこの仕事は最高だよな)
そう考えていた、昨日までは。
だが、今年は自ら、しかも父親のコネまで使ってねじこみ、まさになりふりを構わずにこの枕を受ける権利を手に入れたのだった。
男は司会者という中立の立場も、大商会の息子という立場も忘れた単なる一目惚れした一人の男だった。
「んっ…はぁっ…」
手を鎖骨から徐々に下げていくと、少し息の荒くなったアオイが振り向く。
潤んだ瞳に少し開いた唇。
その中にチラッと見える舌先。
ヌラヌラと光った粘膜は、男に別のものを想像させる。
「ア…アオイ…」
唐突に男の理性がプチンと音を立てて切れ、男は唇を吸うために顔を寄せた。しかし、そこで想定外の出来事が。
「あっ、ちょっと待って!!あの、僕、その…男なので…キスはちょっと…」
(ん?男だって…?)
過去に宛がわれた女の中には、生理だとか恋人がいるからとか、必死でセックスを避けようとする者もいた。
アオイ嬢のようにキスだけは…と懇願する者だって数人は覚えている。
だが、言うに事欠いてあまりに現実離れしたこの言い訳には思わず笑ってしまった。
「ははっ、もう酔っぱらっちゃったのかい?そう…男なんだ…それならここを触ったって問題ないよな?」
そして、男は意地でも唇を奪う気になっていた。
(まずは…)
Vネックから深い谷間に指を差し込むと、アオイの体がビクッと反応する。
自分の愛撫でイチイチ反応するアオイにのめり込まない男などいないだろう。
「こんなに柔らかいおっぱいのある男なんていないよね」
そして、ワインを煽ると、アオイ嬢のあごを掴む。
さらに間髪いれずにアオイの唇に自らの唇を押し当てた。
「んぐっ…むぐぐ…ごくん」
真っ赤なワインが唇の端からこぼれて首を伝う。
「んっはぁっ…ダメって言っんんんっっ」
◇◇◇
フードの男の情報を集めるため、スージーを守るためと思ってやってきたけど、いざ、コトに及ぶとなるとためらいの気持ちが出てきてしまった。
今晩の相手が司会者さんだってことは、この部屋に来て扉が開いた時に初めて知ったけど、コンテストの時の司会者さんは僕に気をつかってくれてたし、嫌な相手ではなかった、むしろ感謝している。
そんな司会者さんが緊張した僕を気遣って言ってくれてるのが分かったので、促されるままに飲んでしまったけど、そういえば、ラルフやジルにお酒は飲むなって言われてたっけ?
(ふわあ…なんかポカポカするぅ)
そんなことを考えていたら、グイッと司会者さんに抱き寄せられた。
「ふぇ!?」
(ちょっ!?いきなり!?)
僕は思わず手から逃れようと体を捻ったんだけど、背中を見せることとなってしまって後ろから抱き締められてしまった。
固い胸板が背中に当たる。鍛えていないとはいえ、男の骨格は今の僕とは全く違っていた。
「だっ大丈夫、俺に任せて」
「ぁふぅっ」
いきなり耳元に息が吹き掛けられて、その上耳たぶにキスされてゾワッと背中が粟立つ。
村正の力を使った後のように体が言うことを聞かない。
「んっはぁっ…♡」
司会者さんは僕の反応を見てますます興奮したかのように鼻息をますます強くするのが分かった。
「ちょっと…待ってくだ、ンっ♡」
後ろから吹きかけられる荒い息だけじゃなく、首筋を撫でていた手が鎖骨へと下がる。
すると、そんなつもりはないのに体は反応しちゃう。
「アッ、アオイ嬢は少し無防備すぎるな」
(このままじゃ服の中まで手が入ってきちゃう)
汗ばんだ男の手が大きく開いた胸元に降りていくのが分かって、僕は振り返った。
「ぁ…」
男の目の強さに僕の思考が止まった。
唇が近づいてくる。
(これ…キス…え!?僕、男とキスしちゃうの…!?)
確かに村正の副作用で発情しちゃったときなんかはラルフやジルともキスしちゃったこともあったけど、それは発情しちゃってるからで…素面の時に男とキスをする趣味はないわけで。
「あっ、ちょっと待って!!あの、僕、その…男なので…キスはちょっと…」
思わず正直に「男なので」と言ってから、「しまった!!」と思ったけど、いいのか悪いのか、どうやら冗談だと思われてしまったようだ。
「ははっ、もう酔っぱらっちゃったのかい?そう…男なんだ…それならここを触ったって問題ないよな?」
司会者さんはさっきまでの緊張が解けたように無造作にVネックから深い谷間に指を差し込んできた。
(あっ、入ってきた…)
ビクッと肩が震える。
素肌を男に許してしまったことで、一線を越えてしまった気がした。
「こんなに柔らかいおっぱいのある男なんていないよね」
笑いを含んだ司会者さんの声に顔を向けると、そのままあごの下に添えられた手が顔を固定する。
(え…ちょっ…あっっ!!)
続いて、僕が何か言う前に唇がふさがれていた。
(んんっ!!何か入ってくる…!?これってワイン…!?)
「んぐっ…むぐぐ…ごくん」
ワインの熱は喉を通って体全体に行き渡る。
そして、唇の端から首筋を赤い雫が伝い落ちた。
「んっはぁっ…ダメって言っんんんっっ…んっ…ごくん…」
二度目の口づけとともに飲まされたアルコールで僕の意識は完全にフワフワして、ブラの中にまで入ってきた手に身を委ねてしまう。
「アオイ、気持ちいいのかい?」
ぼんやりとした意識に男の声だけが響く。
(答えなきゃ…)
「ん…きもちぃぃ…ですぅ…」
「どこが気持ちいい?」
「…おっぱい…」
「もっと触って欲しい?」
「ん…さわってほしぃ」
袖を抜かれて、ブラジャーが外れる。そして、解放されたオッパイが持ち上げられるようにして男の手で揉みしだかれた。
「んっ…♡あっ♡」
男の手に触れられた肌が熱を持つのが分かる。
「ほら、アオイの柔らかいオッパイが俺の手で形を変えてるよ」
「んあっ♡」
我慢しようとしてるつもりなんだけど、揉まれる度に恥ずかしい声が出てしまう。
(ずっと顔見られてるしぃ…)
そこで、顔を背けて指を口に当てると、男が息をのんだ。
「そんな顔で誘惑するんだ」
「ちがっうんん♡」
それにしても、まだ男の手は胸の先には触れてこない。実はずっと前から硬くなってジンジンと疼いているのに…。
「アオイ、俺は本気でアオイが欲しいと思ってる」
男の手が硬く尖った部分を掠めた。
「んあっ♡そんなのだめっですぅ、一晩だけってぇ…」
耳元で囁かれながらオッパイが強く揉まれて僕は身悶える。
「あっ♡そんなっ♡つよいっ♡」
「今夜会ってみて分かった。やっぱり俺のものになって欲しい」
そして、まるでこれが対価だと言わんばかりに、固く尖った部分が人差し指と親指がギュッと摘まむ。
「あっ♡やあっ♡そこはだめぇっ♡」
「アオイ、俺がどれだけ想っているのか感じてくれ」
手が掴まれた。
「アオイを愛してるからこんな風になってるんだ」
後ろ手に股間に触れさせられる。
「どうなってる?」
「熱くて…固くなってる…」
「これはアオイを想う気持ちのせいだから、もちろん責任とってくれるよね?」
重ねられた手に導かれて僕の手が硬くなった股間を上下に擦る。
責任とか難しいことを言われてもよく分かんないけど、司会者さんの手が離れても僕は熱を求めて撫で続ける。
「ああ…俺の可愛いアオイの手が俺のチンコをシゴいてくれている…」
既に太腿が見えていたスカートが捲られて、男の手が入ってきた。
「ん…そこっはぁ…ダメだよぉ」
「ははっ、そんな顔で言っても説得力ゼロだからさ」
司会者さんの顔がぼんやりとした司会の中で近づいてきた。
「舌を出して?ほら?」
「あー…♡」
舌が絡めとられ、吸われ、唾が送り込まれてくる。
(吸われるの…きもちいぃ…もっと欲しくなる…♡)
誘導されて、僕は舌を自ら差出し、絡める。
「んちゅっ♡んっ♡んんっ♡ちゅっ♡…あはぁ…」
(……もっと欲しいのに…)
不意に男の顔が離れた。
「んん…♡」
思わず僕は甘えた声を出してしまった。
頭をトロトロにしちゃう舌が離れたことに物足りなさを感じて、男の唇を目で追う。
だけど、それもほんの一瞬で、僕はすぐに別の快感に夢中にさせられてしまった。
「んんんっ♡あふぅっ♡はぁはぁ♡」
キスをしている間にスカートの中に入ってきた男の指が、うっすらと浮いた割れ目に沿って上下していた。
「アオイ、パンツの上からなのに、ほら」
目の前に出された指は濡れて光っていた。
「アオイがこんなに感じてくれてるなんて、ちょっと我慢できそうにないよ」
そして、僕はソファに寝かされた。当然のようにスカートが上まで捲られる。
「紐パンだったんだね?こんなエッチな下着で舞台に立っていたんだ?」
「そんなこと…これは渡されたから着てただけ………ぇっ!?」
何かする間もなく、大きく開かれた僕の足の間に男が顔を入れた。
「脱がすのももったいないな」
横にずらされる薄い布地。
普段隠されているそこに外気が触れて、どこか心もとなさを感じる。
「俺が本気ってことを今から知ってもらうよ」
そして、ヌルッと体の内部に異物が侵入した。
「んあっ!?」
「もうしっかり濡れてるね?膣中はあとでじっくり愛してあげるから、まずはここかな?」
いきなり開かれた割れ目の上にある突起がチュッと吸われ、僕はそれだけでビクッと身体を揺らした。
「そこはっ♡声がでちゃうから…♡」
「ここも敏感なんだね?」
男の愛撫は巧みで、舌先で突くようにしたかと思うとジュルジュルと吸われて、僕の口からは甘い声が途切れることなく漏れる。
(ああっ♡いつまで続くのこれぇ?)
何分も続く愛撫に、僕は何度もイカされて、頭がおかしくなりそうだった。だけど、それだけではなくて…
「やぁっ♡もうらめぇ♡………………ぁ………っっっっ」
ある瞬間、僕の小さな動き、男はそれに目ざとく気づく。
「あれ?どうしたのかな?」
そう言いながらも愛撫を忘れない。
「ぁ…えっと…あの…その…」
ジュルジュルっと強く吸われる。
「だめっ!!やっ!!いまはそれだめっ!!」
実はさっきから僕は尿意を感じていたのだった。
でも、司会者さんはやめるどころかさらに強く吸う。
「だめだめっ、汚いからっ!!」
おしっこが漏れそうなんて言えず、ただ、やめるようにだけお願いする僕。
「ふふ、分かってるよ、漏れそうなんだろ?」
「え…?」
「いいよ、ここで漏らしてくれて。君の体から出るものなら何でも受け入れるさ」
『カリッ』
歯が充血しきった敏感な部分を甘噛みした瞬間。
「あっあああああぁぁぁぁっ♡♡♡♡♡」
フワッと宙に浮くような感覚、そして、体が弛緩して、
「だめぇぇぇっ!!」
最初はちょろちょろと出始めたそれを止めることが出来ず、そのまま漏れ続ける。
「ごくん、ごくん」
僕の股の間で口をつけた男がそれを呑み干していく。
「ぇ………やぁ…きたない…ゴメンナサイ…」
「言っただろう?君の体から出るものなら全てを愛するって」
そして、一旦離れた彼はワインを口に含んだ。
「俺にとっては気にならないけど、アオイが嫌かもしれないからね」
唖然とした僕は、ソファに戻ってきた男に足を広げられてもされるがままだった。さらに、あてがわれる熱くて固い肉棒。
「次はこっちで愛を伝えるよ」
割れ目抉るように数回擦られて、それから…
「んんっんんんっ♡」
(入ってきたぁ♡)
ドロドロに蕩けて準備は十分されていたとはいえ、僕の膣中(なか)は狭く、いきなり奥までは入らない。
「ああ…まるで処女みたいな狭さだよ。アオイも俺のチンコの感触分かる?」
僕は言葉にできず、ウンウンと頷いた。
司会者さんは僕の反応を見て、何度か少し入れては抜く、を繰り返した。
そして、動きを止めた。
「ドックンドックン言ってるのが分かる?俺がドキドキしてるのが伝わってる?」
「あっ♡」
「アオイの膣中も柔らかくなってきた…最初は単に締めてるだけだったのに、今はチンコを愛撫しようって感じがするよね」
「そんなことっ…♡恥ずかしいよぉ♡」
言われなくても、固い異物が馴染んできたのが分かる。
そして、馴染むと同時に膣中がジンジンと疼いて、動いてほしくなっちゃう。
「ん…♡」
そんな僕の反応の変化に気がついた司会者さんが優しく聞いてきた。
「どうしたの?腰が少し動いてるよ?俺に動いてほしくなっちゃったかな?」
「やっ…♡そんなことないから♡」
「正直に言えば動いてあげるのになあ♪」
そう言いながら体の中で微妙に動く肉棒。
その僅かな動きが伝える快感の予兆が僕を甘く追い詰めていく。
「そうだなあ、恋人みたいに甘えておねだりしてくれる?」
入れて欲しい、そう言おうと口を開きかけた僕に司会者さんはさらに恥ずかしいことを要求してきた。
(ふぁぁ?こいびと…?そんなの…でもぉ…♡)
だけど、僕の体が、頭がもう快感を求めてしまっている。目の前にぶら下げられた甘いお菓子を前にして我慢など出来ない。
「ほら?いいの?抜いちゃうよ?」
「やだっ♡ぬいちゃやだっ♡」
「そう?じゃあ、言ってごらん?」
「あ…の…♡僕の女の子の部分があなたのオチンチンをほしがっちゃってるの…♡グチュグチュのオマ…ンコをいっぱい愛してください♡」
興奮がゾクゾクと背中を昇ってきて、顔がかぁっと熱くなった。
「そんな可愛いこと言われたら我慢なんてできないよ」
「あっ、やあんっ♡」
ズンっと体の奥が突かれて僕は背中を反らして快感を逃がそうとし「ここが良いんだよね?」腰を持ち上げられて、そのままゴリゴリと擦られる。
「あっ、やっ♡すごいっ♡そこだめっ♡」
「ははっ、だめじゃないよね?ほら、こんなに蕩けた顔をしちゃってさ」
「ちがっ、あのっ!!やっ、あっんんっ♡」
グヂュッと擦れたかと思うと、そのまま一番奥のドアにドスンッと衝撃がくる。
「んはっ♡ああっ♡」
長いストロークで行き来する肉棒は僕の頭をグズグズにする。
「ああ、アオイの膣中のヒダヒダがチンコを抱きしめてくれてるみたいだ!!」
司会者さんが器用に腰を動かしながら顔を寄せてくる。
「もっと愛し合おうよ」
舌が目の前に差し出された。
「はぁっ♡奥グリグリしちゃやらぁっ♡」
僕は司会者さんの首の後ろに手をまわす。そのまま頭を引き寄せるようにしながら舌に吸いついた。
「あむぐんんっ♡」
耳には体の中からズンズンと一番奥を打ちつける音しか聞こえない。
舌が吸われて、歯の裏がなぞられて、唾が流し込まれる。だからと言ってとどまることなく体の奥がノックされる。
(とろけてるぅぅ♡♡)
上から下まで密着した体はまるで溶けてしまったように一つになった。
「んっちゅ!!どうだい、恋人同士のエッチは?」
「んあああっ♡しゅごいっ♡きもちいいっ♡だめっ♡こんなのおぼえたらっ♡」
ぐっちゅぐっちゅと体の奥の粘液が溢れる音がした。
「こんなのおぼえたらっ♡もどれなくなっちゃうよぉ♡」
グッと体の中で男の象徴が膨らむ。
「やっ♡またおっきくなって…あっ♡らめぇっ♡ゴリゴリしちゃらめぇっ♡」
「アオイが悪いんだよ。こんなに可愛い顔で、こんなにスケベな体で俺を誘惑するんだからな!!」
「ゆうわくなんてしてないからぁ♡らめらってぇ♡こいびとセックスにハマっちゃうよぉ♡」
「だから、そういうこと言うから…クッソ!!もう我慢できない!!アオイの中に出すぞ!!」
司会者さんの体が起き上がる。
「やぁ♡離れちゃやらぁ♡」
僕は男に手を伸ばした。
「うっ、…クッソ、可愛すぎだろ!!」
男が僕の手首を掴んで、そのまま勢いよく引き寄せた。
「あっっっ♡♡♡♡うっんやぁぁぁぁ♡♡♡♡」
体の奥をノックしていた先っちょが、まるで無理やり開けようとするように強い力で押した。
「らめっ♡それらめっ♡ひらいちゃうっ♡ぼくのおんなのこの部屋にはいってきちゃうぅぅ♡」
ダメなのに僕はどうすることもできない。ただ体の奥が開かれるのを感じるだけ。
「ああっ、アオイっ、好きだ!!愛してるんだ!!」
「やぁぁっ♡だめぇっ♡そんなこと言っちゃダメぇっ♡」
男のなすがままにされて、耳元で愛を囁かれて、男のモノにされてしまったという感覚に体が、心が屈服しようとしている。
「本気だ!!アオイ!!俺の恋人になってくれ!!今だけでもいい!!言ってくれ!!」
「あっ♡すきっ♡だいすきですっ♡こいびとになりますぅっ♡」
ギュッと抱きしめられて、僕は急に幸せに包まれた。
「あっっっっっ♡♡♡♡♡♡」
瘧のように体が激しく震えて、すがるように僕は目の前の男を抱きしめた。
「愛してる!!言ってくれ!!」
「あいしてますっ♡だいすきぃっ♡♡♡」
言葉にすればするだけ幸せな気持ちになって、ズンッと最後に突かれた瞬間、僕の意識が途切れた。
★★★★★★
なんとか、12月中に1話アップすることが出来ました。
本編の方は【第九章 砂漠の交易都市イシュク~孤立~】がどうも気に食わない部分があって、現在一から修正しています。それが終わり次第また再開したいと考えています。
新年あけましておめでとうございます。
本編も進められているようで嬉しい限りです。
気長に待ちますので、無理のない範囲で続けていただければ幸いです。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます!!
一応あと数話でifはまとめるつもりですので、その後本編の更新に移る予定をしています。今年は週1回は更新したいなと考えています。