「もう充分だろうっ」
ラルフが空に向かって吐き捨てるように言うと僕の手を掴んだ。
「あんっ」
手を握られただけなのに、ビクッと肩が震える。
「葵っ、我慢しろっ、走れるか?」
「んんっ…力が抜けて…無理かも…」
ラルフは僕の返事を聞くと、躊躇なく僕を抱き上げた。いわゆるお姫様だっこの状態だ。
「んっ…はぁ」
男達の欲情した視線から少しでも逃れようと僕もラルフの首に手をまわしてしがみつく。
「行くぞっ」
その言葉と同時に、ラルフは僕を抱っこしたまま包囲する男達に飛び込んだ。
「犯す…犯す…ぐあっ」
ラルフは熱病に冒されたようにふらつく男達を蹴り飛ばす。そして、出来た隙間を走り抜けた。
「はぁ、はぁ、んっ、ラリュフ…」
ラルフが走ると固い筋肉質な体と擦れて、その度にビクビクと反応してしまう。
「ああっ…んっ…」
僕は快感に耐えようと、巻きつけた腕に力をこめた。
「あぅっ、やっ、あぁっ」
ラルフの筋肉質な体に胸の先端が擦れて仰け反りそうになる。
(あ…あ…ダメ…おかしくなるよぉ…)
振り返って追いかけてくる男達が完全に見えなくなったところでラルフは立ち止まって僕を地面に下ろした。
「大丈夫か?何が起こったんだ?」
「はぁ、はぁ、うん。なんだか心臓が高鳴って…ふぅ…それから…はぁ…ぁ…」
『ニチャ…ニチャ…』
無意識に太腿を擦り合わせてしまう。
「む…、速いな」
ラルフが周囲を見回すと、僕を抱えるようにして裏通りの建物と建物の隙間に連れ込んだ。
(ダメ…立ってられない…)
膝から力が抜けた僕は足がもつれて、支えてくれているラルフにもたれかかる。
(熱い…)
ニット越しにラルフの体温を感じると、太腿の奥がピクピク反応した。
「ここまでくれば…」
ラルフが何か言ってるけど、よく分からない。体の奥はラルフを求めて甘く疼く。
「ラリュフぅ…」
僕は背伸びしてラルフの首に腕を回した。さらに体が求めるままに、胸を押しつけるとお腹に固いものを感じる。
「…おっきくなってるよ?」
「うっ…ぐ…」
ラルフの耳元で囁いて、そのまま舌先でラルフの首をチロチロと舐める。
「はぁ、はぁ…らりゅふ、はぁ、きもちい?」
「ふうっ、ふうっ…くっ」
ラルフからの返答はない。だけど、ラルフの息遣いだけで興奮が十分伝わってくる。
「ふう、ふうっ…」
「ラリュフ…苦しいの?良いよ…ぼくも…もぅ…」
僕はラルフを見上げて唇を少し開いた。
「はあっ、はあっ…もう止まらんぞ」
ラルフの目は興奮に輝いていた。僕は返事代わりに唇を合わせる。
「んっ、ちゅっ」
その瞬間、ラルフもこれまでずっと耐えていた分、痛いくらい荒々しく抱き締められる。
「んちゅっ、あっ、ねろ…らりゅふ、こんなとこで…んっ…」
数メートルの距離の明るい通りからは人の行き交う音や声が聞こえてくる。
(通る人に見られたら…)
「…大丈夫だ…こっちの道は暗い。向こうからは見えない」
まるで僕にいらないことを考えるな、とでも言うように、ラルフの舌はさらに激しさを増した。
「ん…ちゅっ、ちゅぱっ、はんっ」
舌を吸われるとその度に僕の腰が揺れて、ラルフの大きくなったモノの存在を否応なく感じる。
(…ラリュフのおっきぃ)
僕はキスをしながら片手を下ろしてズボンの前をはだけていく。
「はぁ、はぁ」「はあ、はあ…葵」
(ラルフも同じ…我慢できないんだ…)
「ん…ちゅ…ねろ…」
ラルフの息遣いが頭の中一杯に広がる。
(あぁ、もぅ…僕も…)
僕はラルフのパンツの中に手を入れて直接触った。オチンチンはこれ以上ないほど大きくなっていた。
(熱い…欲しい…)
ラルフの手がお尻にまわされる。
「んっ、それは…んんっ、だっ、ちゅっ、はぁ、ぁんっ、んちゅっ」
喋ろうとした口が塞がれて、スカートがめくられた。恥ずかしい下着とほとんど隠れていないお尻が晒される。
(あぁ、誰かに見られちゃうぅぅ)
腰を引いて逃げようとするとラルフが腰を引き寄せた。そのままお尻を撫で回して、左右に広げる。
(あぁぁ、そんな…全部みえちゃうよぉ)
ラルフの肉棒を擦る僕の手に力が入る。
「んん…もぅ…らめ…」
僕は壁に手をついて、お尻を突きだしていた。
「きてぇ」
『クチュ…』
ラルフの先が僕の割れ目を押し広げる。
「んあああっ」
ズブズブと広がる膣内はラルフのおちんちんを奥へ奥へと導いた。
「ああっ」
ラルフが出し入れするのに合わせてお尻が動く。
「ああんっ…あっ」
後ろを見ると、赤ら顔のおじさんが通りからこっちを覗いていた。
(あっ、あのおじさんっ)
目で訴えるも、ラルフは気づかないのか、腰を引き寄せた。ブーツの踵が上がる。
『ジュプ』
「あっ、らりゅふっ、見られてるっ、あっ、今はっ、らめぇっ」
口を片手で押さえて声をこらえる。
「んっ、んんんっ」
ラルフの手が胸に伸びた。
「んんっ」
(だめぇっ、声が…)
ラルフの手が脇からワンピースに侵入すると、ブラジャーを強引にずらして。
「んっ…らりゅふ…」
ニットの内側でラルフの手が胸を直接掴む。ニットの形でひしゃげるほど強く揉んでいるのがはっきりと分かる。
(おじさんにっ、見られるぅ)
「んっ、くっ、んんっ」
ラルフの指が胸の尖端を摘まんだ。
「りゃめ…ほら…見られてるっ、んはあっ」
ようやくラルフがチラッと裏道の入り口に目をやる。
「ね…らりゅふ…ちょっと…まって、ぇえっ」
ラルフの親指が固く尖った尖端を潰した。
「んにゃあぁぁっ」
(なんでぇっ)
おじさんはこちらを不思議そうに見つめている。
(まさか…きづいて…ないの?)
『ジュブッ、ジュボッ』
「はぁぁ…くぅんっ」
出そうになる声を必死でこらえる。
『コツ、コツ』
足音がしておじさんが僕らのいる裏道に入って来た。
(だめぇ、こんどこそバレちゃうっ、バレちゃうよぉっ)
『パンッパンッ、ジュボッ、パンッ、パンッ』
激しく腰を打ちつける音が響いた。
「くぅぅ…らりゅっ、んふぅぅぅぅっ」
体が勝手にラルフのおちんちんを締め付けて、精液を搾り取ろうとする。
(ああぁぁぁ、らりゅふのしゅごいっ、きもちいっ、きもちいぃぃっ、おかしくなりゅうぅぅっ)
おじさんがさらに近づいてくる。
「んっ、んんんんんんっ」
(みられるっ、おじさんに見られちゃうぅっ、こんなとこっ、ああっ、いくっ、いくよぉっ、いきゅうぅぅぅっ)
「んっ、くうぅぅぅっ、んくうっっ」
もう全く体が言うことを聞かない。瞼の裏を光が幾筋も飛ぶ。
(いっちゃうぅぅぅぅっ)
体が絶頂に達してガクガクガクっと体が痙攣する。無意識にぎゅうぎゅうラルフを締め付ける。
(こえ…がまんした…も…むりぃ)
「葵っ、俺も…」
ラルフの囁くような声。その声には余裕がなかった。
『ジュブッ』
「んはあぁぁっ」
絶頂に揺蕩う中で腰を突き上げられると、その快感はこれまでの比ではなかった。
「いくぞっ…」
「あっ、らめっ」
『パンッ、パンッ』
一突き毎に目を閉じた瞼の裏側に稲光が走る。
『パンッパンッパンッ』
「あっ、りゃめぇっ、いまっ、いったばっかりゃあぁぁぁ」
我慢してきた声が一気に弾けた。
『ズンッ』
「あああああっ」
「ぐっ、イクぞっ」
体の奥で精液が爆発した。
「あっ、あちゅいのっ、くるよぉっ、あああっ、やだっ、いくっ、いっちゃう、あっ、ああああああっっっ」
◇◇◇
こうして、時間と体力を何倍も浪費してやっとのことで僕らはマギーさんの宿に到着した。
ところが、マギーさんは今回はカジュアルな服しか持っていない、とのこと。そこでお薦めの店はないかと聞いてみた。
「『ステルラ』っていう店がそういうカチッとした服を専門にしてるわよ。私の友達がやってる店だから無理なお願いも多分聞いてもらえるし、センスも確かよ」
「マギーさんありがとうっ、じゃあ行ってみるねっ」
宿を出てマギーさんに教わった通りに大通りを歩くと『ステルラ』はすぐに見つかった。
店の名前が書かれているだけの看板にちょっとドキドキする。
『チリンチリン』
扉を開くと上品な音色の鈴が鳴った。少し薄暗く、淡い照明が商品を照らしている。
「いらっしゃいませ」
落ち着いた声が店の奥から聞こえ、ダークブラウンの長い髪の女性が姿を現した。
年齢はマギーさんと同じ二十代の半ばくらい。だけど、話し方や、佇まいからマギーさんよりも大人な感じがした。
それに服装もマギーさんのカジュアルな格好とは違って、大人っぽい紫色のロングワンピース。
「初めまして、『ステルラ』の主人、レイラと申します」
大きくお辞儀をした後、少しウェーブのかかった髪を掻き上げる。
レイラさんが動く度にサテン生地のスカートが揺れて、深いスリットから脚がチラチラと見え隠れした。
(うわっ、なんだか色っぽい人だなあ)
「あっ、えっと、僕は葵です。それにラルフです」
「葵様にラルフ様ですね。よろしくお願いいたします」
上品な口調は店の雰囲気にぴったりハマっていて人柄が店にも出るんだなあ、と思う。
「えっと…飛び込みでも大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。ちょうど今日の午後は予約もありませんし」
(良かったぁ…)
「葵様、ラルフ様、今日はどういったお召し物をお探しですか?」
「えっと、あのっ、『シュクラン』っていうレストランで今夜ご飯を食べるんですけど、ドレスコード?があるって聞いて…それでマギーさんからここをお薦めされたんです」
「あら?貴女達、マギーのお友達だったの?」
マギーさんの名前を出すと少し口調が砕けた感じになった。
「あっ、普段はこんな喋り方なのよ。見た感じ、てっきり貴女達が貴族だと思ったから…ほら、あんな話し方をずっとしてたら疲れちゃうでしょ?」
そう言って片目を瞑る仕草も魅力的だった。
「マギーのお友達なら安心して任せてね。えっと『シュクラン』って言ったわね…それなら葵さんは私が、ラルフさんは…」
そこまで言うと、レイラさんが店の奥に向かって声をかけた。
「エリック、エリック、ちょっと来て」
すると、しばらくして大きな影が店の奥から姿を現した。
身長は二メートルを越えてるんじゃないかってくらい高く、ラルフより頭一つ抜けている。それにガッチリした体形。顔も強面で髭面、もはや街で出会ったら逃げ出したくなるレベルだ。
「…ェ…ッ…です」
「ごめんなさいね。彼は私の夫のエリックよ。こんな見た目だけど、凄くシャイなの。ウフフ。だけど縫製とか細かい仕事は王都でも最高の腕よ」
自慢げに胸を張るレイラさんと小さくなって(大きいけど)目も合わせようとしないエリックさん。
エリックさんの容姿にも、彼がレイラさんの夫であるという事実にも驚いて、固まったまま辛うじて会釈した。
「ラルフさんはダークスーツだからエリックに任せるわ。さあ、葵さんはこちらへどうぞ」
僕はレイラさんに連れられてワンピースの掛かった棚の前に移動した。
「あのぉ、夕方までに間に合いますか?」
「もちろん間に合わせるわよ。でも、のんびりもしていられないわね。じゃあ早速選びましょうね」
レイラさんはそう言った後、僕を上から下まで眺めて「うーん」、と悩む。
「貴女ならどんな格好をしても似合いそうだけど…。今着てるのはマギーの選んだ服よね?」
じっと見つめられると少し恥ずかしい。
「…ふーん、やるわねぇ。体にフィットしたニットでセクシーさを。ブーツとニーソックスで女の子らしさが表現されているわ。…これはマギーには負けられないわね」
レイラさんの瞳が輝く。
(ああ、やっぱりマギーさんと同じ種類なんだ…)
レイラさんは一着ずつ取り出して、横に立たせた僕に合わせてみては戻す。
ピンクの可愛いワンピース。
「うーん。可愛いけど、これじゃないわね」
(子供っぽくてある意味似合ってる気がするけど…)
紫の胸の下まで深く切れこんだワンピース。
「これだとセクシー過ぎるのよ」
(そういう問題かなあ?僕の身長だとちんちくりんな感じがするけど)
ああだこうだ、あれは違うこれは違う、と合わせていく間にレイラさんの中でイメージが出来上がったみたいだ。
「貴女は幼さの残る可愛らしさと美しい大人の顔が見事に調和してる。仕草や言葉は無邪気な子供なんだけど、どこか蠱惑的な雰囲気も感じるわ」
そして取り出したのは黒のワンピースだった。
「これね。これしかないわ」
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