恋人たちの休日?

僕は入ってきた人の脇を抜けるようにして廊下になんとか出ることができた。

「はぁ、はぁ…」

(ぼっ、僕!なんか変だった!?)

とにかくどこか別の場所に行かないと、と宛もなく歩きだしたんだけど、気がつくと学生自治会室の前にいた。

(そうだっ!ブリジットさん!)

僕はノックもせずに開けようとして、その手を慌てて止めた。なぜかというと、ドアの隙間から男女が抱き合っているのが見えたからだ。

「はあ、はあ、ラッセル先生…♥️」

「レンナー…」

2人は体を密着させたまま移動していく。ブリジットさんが机に座ると、その前に立ったラッセル先生が顔を寄せた。

(え…?ブリジットさんと…ラッセル先生?)

『チュッ』

「あむ…む…んちゅ♥️」

二人の舌を絡める音が聞こえる。そして唇が離れたと思うと、息のかかる距離で何か囁きあっていた。

(何を話してるんだろう?)

耳に意識を集めると、その瞬間、二人の囁き声が聞こえる。

「ん…はあ…ラッセル先生♥️…気持ちいいです♥️」

「ああ、レンナー…」

「先生、ブリジットって呼んでください♥️」

「ああ…ブリジット…愛してるぞ」

「ああっ…私も、私も愛しています♥️」

ブリジットさんの胸元とスカートが不自然に動いていた。

「あんっ♥️…先生っ♥️そんなに触られたらまたしたくなっちゃいますぅ♥️♥️」

ブリジットさんの甘い声がはっきり聞こえて、僕の奥で忘れかけていた疼きが甦る。

「んっ♥️ちゅ…♥️」

「おお…ブリジット…」

ブリジットさんの手もどうやら先生の股間を触っているようだった。

「はあ、はあ…♡」

二人の息遣いを聞いていると、僕もつい内股になって脚を擦り合わせてしまう。

『くちゅ…』

(あぁ…濡れちゃってるよぉ)

廊下がしんと静まり返っていて誰もいないことを確認して、両手が胸に手が伸びる。

「んっ♡はっぁあっ♡」

胸を揉むだけで、僕はへなへなと座り込んでしまった。

「んぁ…はぁ♥️はぁ、はぁ…♥️」

もぞもぞと座ったまま腰が動いてしまう。

(廊下なのに♡…僕…♡ううん!…我慢しないと!)

扉の隙間からはラッセル先生が執務机にブリジットさんを押し倒しているのが見えた。

シャツをはだけさせて、つんと突き出たピンクの乳首にラッセル先生がむしゃぶりつく。

「あっはぁ♥️先生っ♥️先生っ♥️」

そんなのを見させられては、僕も服の上から触るだけでは我慢できなくなってしまった。
Tシャツの裾をスカートから抜いて、そこから手を入れると、ブラジャーのカップの隙間に指を差し込んだ。

「はああっ♥️そんな…乳首は敏感になってます♥️あっ♥️…だめぇ♥️」

「おいおい、大きな声を出したら誰が聞いてるかわからないぞ?」

ラッセル先生が頭を上げて周りを確認するような仕草をする。

(気づかれちゃうかも♡でも…♡)

「そんなの誰もいません…いえ、先生となら誰かに見られたっていいの♥️もっとして♥️…んっ♥️はああっ♥️♥️」

胸に吸いついたラッセル先生の頭を、ブリジットさんは自ら押しつけて頭を反らせた。そして再び熱烈な愛撫が始まった。

「はああっ♥️先生、そこはっ♥️」

「こっちも好きだろう?」

先生の指が本格的にブリジットさんの股間を責め立てているようだ。

「あっ♥️あっ♥️あっ♥️すきっ♥️好きなんですぅ♥️」

『ジュプ、ジュプ、ジュプ』

愛液が激しくかき混ぜられる音とブリジットさんのあられもない声に、僕も胸だけでは満足できなくなって、ショーツに手を入れた。

(こんなに濡れてる…♡)

『チュプ…』

「あ…♡」

ぬるぬるの割れ目はあっさりと指を受け入れる。

「先生…私…我慢できないの…♥️」

先生が起き上がるとジャージを脱いだ。

(ラッセル先生…大きい…♡)

「ねっ、先生…もう焦らさないで…♥️」

「ああ、俺も我慢の限界だ!入れるぞ!」

(あぁ、入っていくんだ…♡)

僕の指が敏感な壁を擦った。

「あんっ♡」

(あっ!)

口から出た声の大きさに動揺した僕は扉にもたれかかってしまった。

『ガチャ』

扉が閉まる音が思った以上に響く。

「誰だっ!」

ラッセル先生の声が部屋の中から聞こえた。

(まっ!まずい!…どこかに隠れないと…!)

幸いにもラッセル先生は下半身が裸だったから、すぐには出てこれないはず。だけど、廊下には隠れるられるような場所はない。

(ど…どうしよ!?)

「先生っ♥️そんなことより…♥️」

焦る僕の耳にもブリジットさんの甘い誘惑と、すぐ後には喘ぎ声が聞こえてきた。

(助かったぁ…でも、こんな体じゃ…そうだ…保健室に行けばなんとかなるかも…)

保健室ならすぐ近くにある。僕は発情した体にこれ以上刺激を与えないようゆっくりと歩を進めるのだった。

◇◇◇◇◇

『ガラガラ』

なんとか保健室まできた僕だったけど、体の疼きは我慢できないところまで進行していた。
幸運なことに利用している生徒もいないし、先生もいなかった。

(もぉっ!我慢できない!)

僕はカーテンに囲まれた簡易ベッドの1つにうつ伏せに倒れこんだ。

(体があつい…)

パーカーは学院長室に置いてきてしまったけど、熱を持った体にはちょうどいい。それどころか全部脱いだっていいくらい…。

「んはぁ…♡」

胸の鼓動が子宮に響く。もう堪えられそうにない。

(触りたい♡…誰もいないし、今なら…♡)

スカートの裾から手を入れると、ショーツの薄い布は、冷たく感じるほどぐっしょりと濡れていた。

『クチュ』

(あっ!もぉ♡やっぱり凄いことになってる♡)

「ああっ♡んっ…んん…♡」

口から出る声は枕に顔を押しつけたことで呻き声に変わる。

(これなら…♡)

僕はお尻を少し浮かせて、指を割れ目に差し込んだ。

「んんんっ♡」

(ああっ♡きもちいいっ♡もっとおくまでっ♡)

「んっ♡んあっ♡んっんんんんっ♡」

うつ伏せで寝そべっていたため、スカートが捲れて丸出しになったお尻がガクガク震えた。

『ガラガラ』

突然大きな声がして、ギクッとして僕は動きを止めた。

「先生っ!…あれ?誰もいない?」

「おいっ、先生いないんならいいよっ!」

「ダメだよっ!ちゃんと治療しないとっ!」

男女が言い合っている。だけど、どうも声が気になった。

(この声…どこかで聞いたような…)

「いいのかよ?勝手に入ってさ」

「大丈夫よ…えっと確かこの辺に…あった!ほらっ!ベッドに座って!」

どうやら一番奥のベッドを使うようだ。

「ちょっ!サラっ!脱がすなよっ!」

「脱がさなきゃ治療できないじゃんっ!」

「うわっ!ダメだって!」

会話からようやく誰が来たのかわかった。

(あぁっ!サラとジョシュだぁっ!なんでこんなとこに…)

「痛っ!おいっ!乱暴にするなよっ!」

「男でしょっ!我慢しなさいっ!」

「うっ!……痛っ……!!」

しばらく治療する音が聞こえて2人の会話が途切れる。

「ねえ、ジョシュもアリスみたいな子が好きなの?」

無言の時間が続いた後、サラの少し小さな声がした。

(ん?今何て言った?)

僕の名前が出たような気がしたので声を聞くために耳に集中する。

「へ?」

だけど、聞こえたのはジョシュの間の抜けた返事。

(ちょっと、僕がどうしたんだよ?)

「だって、アリスの前だと真っ赤になってるし…」

どうにも、いつもと違ってサラの声に元気がない。

「いや、あれはっ…!」

(なんか変な空気になってる?)

「やっぱりそうなんだ…私なんて胸も小さいし…女の子っぽくないから「そんなことないっ!おっ、俺はサラが好きだっ!その、友達とかじゃなくって!」

ジョシュの大きな声が、震えるサラの声を遮った。

「え…」

サラの驚いたような声。

「恥ずかしくて言えなかったけど、ずっと好きだったんだっ!」

ジョシュの告白のあと、少し間が空いた。鼻をすする音が聞こえる。そして、

「…嬉しい…私もっ!私も好きっ!」

「じゃあ、付き合ってくれるのか?」

「うんっ!」

聞こえてくる音からして、2人は抱き合っているのだろう。

(あぁ、おめでとう!…けど…今は早く出てってぇ!)

僕の指は割れ目に入ったまま。急に2人が現れたせいで、驚いて抜きそこなっていた。
で、体の疼きの方はまだ燻ったままだから…。

「ゴクン」

ジョシュの方から唾を飲み込む音が聞こえる。

「あ…」

サラの小さく驚いた声が聞こえる。

「いや、ごめん…」

(もぉ!今度はなんなのさ!?)

「ううん、いいの。私でこんなになってくれたんだよね…」

(え?)

「うっ!ちょっ!サラっ!」

「キャッ!おっきい…」

(ま、まさか…これって…すごい事になってる…?)

「初めてだからうまくできるか分かんないけど…」

「あっ!」

「ごめんっ、痛かった?」

「いや、そんなことない…」

「凄く熱いよ。ねっ?どうしたら良い?」

「そのまま擦ってくれると…」

耳には『シュッ、シュッ』と擦る音がした。

(この音って…えっと…あれだよね?)

「あっ、先から何か出てきた…ジョシュ、気持ちいいの?」

(あっ♡この匂い…)

意識をしたわけでもないのに、嗅覚が敏感になってしまった。少し汗臭くて青臭い独特の匂い。

(いっ、今はっだめっ!こんな匂いを嗅いじゃったら…♡)

「くっ、凄くいいよっ」

ジョシュの快感に耐える顔が思い浮かんだ。
聴覚と嗅覚によって今、どういう状況なのかは鮮明にわかってしまう。

(ダメっ♡我慢できなくなるぅ♡)

『ピクッ』

「んぐっ♡」

指がほんの少し動いてしまった。それは小さな、ほんの小さな快感だったけど、散々焦らされてきた体は僕の意思を無視して動き出してしまった。

(カーテンを開かれたら二人に全部見られちゃうのにっ♡ああっ、もう我慢できないよぉ♡)

「ふぅぅぅ♡んんん♡」

『チュクチュク、チュク、チュク』

枕に顔を埋めたまま息を殺して指を出し入れする。

「ああ…気持ちいい…」

ジョシュの掠れ声はすぐ近くにいるみたいで。

「はあ、はあ、どう?気持ちいい?」

サラの興奮した息遣いまで、はっきり聞こえる。

(やめてぇ!僕まで興奮しちゃうよぉ♡)

「「はあ、はあ、はあ、はあ」」

(あぁっ♡…ダメになるぅ♡)

『チュプ、チュク、チュク、チュプ、チュク』

僕とサラの指が動く音が重なる。

「ああっ、サラ、ちょっと…もうイキそうだ」

「イク!?イクって?」

(ああっ♡イクのっ?)

「うっ!ああっ!サラっ、ゴメンっ!」

「キャアっ!あ、あつっ!んっ、やあ!」

その瞬間、濃い精液の匂いが鼻腔いっぱいに広がった。

「ふぅぅぅん♡んんんっ♡」

(んはあぁぁっ♡ダメっ♡あっ、おかしくなるぅっ♡)

まるで僕も顔にかけられたと錯覚するほどの鮮明なイメージが頭に浮かんで、体が強く痙攣した。

「ゴメンっ!サラっ!気もち良すぎて…」

「ううん。ジョシュが気持ちよくなってくれた証拠でしょ?私が気持ちよくしたんだと思ったら嬉しいよ」

『チュッ!』

2つ隣のベッドのことなんて気にもしていない若いカップルはそそくさと出ていくのでした。

◆◆◆◆◆

「どうした?怖い顔をしているな」

「マモン、何をしに来た?」

部屋の中では、来訪したマモンに対して強い口調が飛んでいた。

「いや、商品の納入があったので、それについてきただけだ。ご機嫌斜めなのはさっき出て行った女のせいか?それともセリアのことか?」

「セリアについては面白くしてくれてむしろ感謝している。それより、だ。あれはおそらく大公あたりが送り込んできた鼠。せっかくこれから味おうとしていたものを…」

「ククク、まだしばらく時間はある。余興に鼠と遊ぶのも悪くないだろ?」