10周目 9月23日(木) 12時20分 島津政信

10周目 9月23日(木) 12時20分 権田泰三

『あ、あー。体育科の権田や。二年五組、高樹、高樹美紗、体育教官室に来るように』

午前の授業の終了のチャイムが鳴るとワシは急いで放送を流した。

『ガチャ』

(昼飯を食う暇もないな)

だが、これからのことを考えると、ワクワクして空腹など感じない。パソコンを操作して待っていると、しばらくしてノックの音がした。

「美紗、待ってたで」

不機嫌そうな顔の高樹に対して、ワシは満面の笑みで高樹を迎える。

「美紗?何を馴れ馴れしく名前で呼んでるんだ?昨日したことも忘れたのかっ、この犯罪者めっ」

早速高樹が噛みついてきた。

「おうおう、こわいこわい」

まくしたてる高樹の言葉を適当に聞き流しつつ高樹の様子をチェックする。

(昨日の最後は人形みたいになっとったのにな…)

今、睨み付けてくる少女と、昨日涙を流してワシのザーメンを飲み干していた姿が重なって、否が応にも股間が昂ってきた。

(さて、そろそろエエか)

「なあ、ごめんやって。機嫌直してな。ほれ、おもろい動画があるんや」

やはり動画という単語に嫌な予感がしたのか、怪訝な顔で高樹がパソコンに目を向ける。

「……ああっ、なんだこれっ」

パソコンの画面に開いていた動画は昨日の更衣室の隠し撮りの映像だった。

「ひひ。聞くとこによるとやなあ、柔道部は大切な試合前やって?そんなときにこんな動画が広まったらどうなるやろな?」

「くそっ、汚いぞっ。昨日やったら消すって…」

高樹がワシを睨みつける。

面白いくらい予想通りの反応で、口許が弛んでしまうのを止められない。

「約束は守ったで。ちゃーんと月曜の映像は消したやろ?ん?…しかし、最近の若者は言葉遣いが悪いなあ。これは教育してやらんと、ひひひ」

俯いて高樹の表情は見えないが、肩が震えている。

(ヒヒヒ。泣いとるんか?)

ワシは絶対的な優位に立って笑いが止まらない。

「ん?」

高樹がおもむろに隣の教官の椅子を引いた。

(何するつもりや…?)

「うおっ」

どこにそんな力があったのか、高樹が椅子を担ぎ上げたのだ。

「ちょっと、待てっ、高樹っ、落ち着けっ」

ワシは立ち上がって両手を前に出した。ところが、感情の消えた目にはワシとその向こうにパソコンのモニター画面が映っている。

(あかんっ、キレとる)

ワシは泡をくって高樹とパソコンの間に立ちはだかった。

「待つんやっ、このパソコン壊したとこで、もとのデータはワシの家にあるんやでっ」

高樹の目許がピクッと反応して動きが止まる。

(反応したっ、もうちょっとや)

「それに…はあ、はあ、ここで椅子なんて振り回してみい、お前は停学、柔道部の試合なんぞ完全にアウトやぞ」

ここまで言ってようやく高樹の目が焦点を結んだ。能面のように無表情だった顔に怒りと困惑が混ざった表情が浮かんだ。

「ええか?…動いたらあかんで…」

ワシはそおっと高樹に近づいて椅子を取り上げる。

(近頃のガキはホンマ危ないで。全く、気いつけんと…)

下ろした椅子に高樹を座らせて落ち着くのを待つ。

(ふう……ん?)

当初の予定を思い出して時計を見ると、昼休みも半分ほど終わっていた。

(しもたっ…)

一瞬予定を変更しようかと思ったが、すぐに考え直す。

(なんでワシが高樹の事考えて諦めなあかんねん)

ワシは立ち上がる。

「高樹…落ち着いたとこで、話を戻そか」

座ったままの高樹がワシを見上げた。

「ワシはただ話をするだけのつもりやったけど、お前があんな態度とるからお仕置きせなあかんやないか」

そう言ってズボンのチャックを開くと、高樹は軽蔑するような冷たい目を向けてきた。

(ヒヒヒ、軽蔑した分だけ、悔しさが自分に反ってくるんやで)

「ほれ。まだ、自分の立場が分かってへんようやな」

チンコを出すと、悔しそうに唇を噛んでいる。

(この悔しそうな顔…たまらんでえ)

「早よ来んと誰か来たら困るんは高樹やろ?昨日散々やった事や。もう今さら一回増えたくらいエエやろ?」

今回の脅迫は昨日とは違って完璧なネタに高樹もすぐに諦めた。

「…手でやるだけ」

諦めたように椅子から降りた高樹が床に膝をつく。

「何言うとんねん。口も使って気持ちようしてもらわんと」

「くっ」

「エエんか?昼休み終わってまうで。ワシは次授業ないからエエけど」

「下衆が…」

「何とでも言うたらエエ。これからその下衆のチンコをしゃぶるんやからな。さあ、無駄話はやめようや」

高樹の指がチンコに絡みついた。

(ヒヒ…手でするだけなら、か?昨日さんざんしゃぶらせた効果で抵抗感が少ななっとるな…ククク)

◇◇

10周目 9月23日(木) 12時40分 島津政信

「下衆が…」

俺は権田への怒りと同時に自分の甘さに怒りを感じていた。

今は権田に従うしかないことは分かっているものの、目の前にある萎びたチンコを見ていると怒りがこみ上げる。

俺は力一杯握ってやった。

(ちょっとくらい痛い目にあえばいいんだ)

『ビクビク』

ところ痛いくらい握ったはずなのに、権田のチンコは急激に固くなる。

「え?」

俺は呆気に取られて聳え立つ醜悪なモノを見つめた。

「どうしたんや?」

ニヤニヤ笑う権田の汚い歯を見て我に返ると再び睨む。

「さあ、舐めてもらおか?あと十五分ほどしかないし、いつ他の教官がいつ戻ってくるかも分からへんしな」

(そうだ、誰かにこんなことがバレたら退学は間違いない…)

権田の言葉を聞いて、チンコを握っていた指を開いて、顔を近づけていく。

(ううっ)

昨日経験済みとは言え、無理矢理されるのと自分からするのでは全く違う。

(くそっ)

チラッと見上げると、権田の勝ち誇ったような顔にさらに腹が立った。

「さあっ、はよ、はよっ」

仕方なく目の前の怒張に視線を戻す。

(何なんだよ、これ…気持ち悪い…)

チンコの先の傘が大きく開いて、尿道がパクパク開いている。裏側から見るとまるでエイリアンのようだ。

(我慢我慢…射精させてしまえば終わるんだ)

屈辱と嫌悪から逃げ出したくなるのを我慢して覚悟を決めると、顔を寄せた。

(うっ)

思わず顔をしかめる。

(臭っ、なんだよ、この臭いはっ)

昨日はプールに入った後だったので感じなかったが、今日はツンと汗の臭いとアンモニア臭がした。

「午前中は授業が詰まっとったからなあ。綺麗に頼むで」

胃がムカムカするが、それでも我慢して俺は舌を出す。

『ペロッ』

亀頭の裏を舐めるとチンコの角度がさらに上がった。

(この変態め。さっさとイッちまえ)

『ペロッ、ペロッ、ペロッ』

「……」

ところが、何度も亀頭を舐めるものの、最初に反応した以外は全く無反応。

(…なんで?)

「なあ」

急に肩を掴まれてビクッと肩が震えた。

「そんなんやったら、いつまで経っても終わらへんで。時間も無いんやから、もうちょい考ええや」

(くっ、…確かに…)

心なしか萎んだチンコを前にして考える。

「お前、昨日初めて舐めたんやろ?」

「そんなことないっ」

権田の口調にどこか馬鹿にした響きを感じ取って思わず言ってしまったが、実際、男の時も彼女なんていなかった。(もちろんオナニーくらいはしていたが…)

また、友人にエロ動画を見せられたこともあったが、詳しくは覚えていない。

「ふうん、それやったらエエけどな。任せるわ」

権田の声からは、俺の言葉をまるで信じていないのがはっきりと伝わってきた。

「はよ思い出してやらんと、時間がないで?」

(どうする…?そうだ…)

夢でしていたことが頭をよぎる。

(確か…)

『チュッ』

亀頭の先に唇をつけて、舌を伸ばす。

(うぇっ)

唾を飲み込んで嘔吐きそうになるのを抑えて、口を開けてゆっくりと飲み込んだ。

「おおうっ」

口の中でチンコが再び大きくなって、悪臭も口一杯に広がる。だが、我慢するしかない。

(うぅぅっ…それから…)

亀頭の裏に舌を這わしながら顔を上下させる。

「エエぞ。おおっ」

権田の反応に自信を持った俺はさらに舌を動かす。気持ちが悪いのも慣れてきた。

『ピチャ、ピチャ…んちゅ…ネロ…』

「エエで…やればできるやないか」

権田の弾んだ声がする。

「んっ、ちゅっ…んぐ、こくん…」

口に溜まった唾を飲み込んで権田を見上げた。

(…あれ?)

どうせ鼻の下を伸ばして俺を見ていると思っていたが、違っていた。

「うーん、このままやったら、時間内には終わりそうにないなぁ。あと五分しかないで」

気の毒そうな顔で俺を見下ろしている。

(まさか…)

時計を見ると権田の言う通りだった。

「ワシは授業もないからエエけど、高樹は授業出んとあかんやろ?」

権田のことだ、どうせ時間なんて本当は気にもしていないはずだが、顔だけはまるで親身になって心配する教師のものだ。

(権田に呼び出されたのはみんな知っているのに、これで授業にも出なかったら…)

何かと噂の権田の事。俺が帰ってこなかったら、噂好きの生徒達にどんなストーリーを作られるか分からない。

「なあ?簡単にワシをイかす方法あるんやけどな?」