3.合宿当日 鏡に映る少女(⑱禁描写無し)

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3.合宿当日② 鏡に映る少女(⑱禁描写無し)

気が付くと光が消えて、真っ暗な鏡があった。

あれ…?おかしいな…すごく光ったと思ったんだけど…。

恐る恐る鏡に近づいて触ってみる。

…うん…特に何もないよね…。

その時、鏡の中からショートヘアの少女がこちらを見ているのに気がついた。

「うわあ!!」

思わず声をあげて振替って後ろを見ても誰もいない。

もう一度鏡を見ると女の子が振り返った。

髪は耳が完全に隠れて肩に届かないくらい。顔はちょっと丸顔で子供っぽい。

目が大きいし、まつ毛長いなあ。

鼻も口も小さくて…こういう子を美少女って言うんだろうな。

よし、落ち着いたぞ。お化けでも幽霊でもどんとこいっ。

うん、とりあえず、まずは声をかけてみよう。

「君は誰?」

そう尋ねてみた瞬間に気が付いた。この女の子は僕と同じことを口にしていることに。

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そりゃ当たり前だよね、だって鏡だから。

ん?鏡?ってことはこの女の子は…?

「うわあ!」

再び叫んで自分の身体を見る。

カッターシャツを持ち上げている2つの膨らみ、恐る恐る触ってみる。

「あっ」

痺れるような刺激に思わず声が出る。カッターシャツのボタンを2つほど外して覗き込むと思ったとおりのものがあった。

「まさかっ」

ズボンの上から股間を触る、握る、無いっ!

「な、な、無い!!」

そんな馬鹿な、と鏡を見るが、やっぱり女の子が写っているだけだった。

へなへなと座り込んで再び放心。

何分経ったんだろう、誰かが階段を上ってくる音が夜の校舎に響く。

「遊?」と後ろから声がかかる。隆だ。

僕は泣いているような笑っているような顔で振り返った。

心配そうな顔の隆がいた。

「たかし…はははっ、はははははっ…」

乾いた笑いが僕の口から出た。

隆の最初の反応は最初は意味が分からないという顔、そして僕の身体が目に入って驚きの表情を浮かべて慌てて近づく。

隆の目は僕の顔と身体を行ったり来たりしていた。

「ゆ、遊なのか?」

泣きべそをかきながら僕は頷いた。

2階からは時折和也の電話の声が聞こえる。

「だから、違うって、先輩二人と……いやっ、もちろん男だよ!えっ、俺は由依ちゃん一筋だからさー、……本当だってっ、……」

「とにかく、明るいところに行こう。」

隆がそう言って僕を立ち上がらせる。

3階の教室はすべて鍵がかかっている。僕が持っているのは事前に申告した音楽室と理科室の鍵。

とりあえず3階にある音楽室に入って蛍光灯のスイッチを入れる。

明るい照明のもとでもう一度僕は自分の身体を見る。カッターシャツは大きく膨らみ、ズボンはダボダボだけどその割に腰回りはちょっとキツイ。

もう一度股間を探るけど、何もなく、胸を揉むと「あっ!あん!」自然に声が出た。

「ん、ごほんっ」

隆の大げさな咳払いで、僕は我に返った。

「た、隆、どうなってるの?………僕、どうしたら良い?」

隆も落ち着かない目でちらちらと僕の方を見て「遊が女?そんな馬鹿な。これは夢か??」とぶつぶつ言っている。

ああ、どうしよう…

しばらくして「遊、確かに、面影があるな。なんかの冗談か?」と疑わしげな目で聞いてきた。

「俺をからかってるんじゃないだろうな?」

「からかう?冗談?そんなわけないじゃん!ちょっとこれ見てよ!」

僕が半泣きでカッターシャツのボタンを3つほど開けて、大きな膨らみを隆に見せる。

「下もないのか?」

「………ない…グス…」

「分かった、とりあえず、服を着ろよ。これからのことを考えないとな。ちょっと待ってろよ和也にうまいこと言ってくる。」

「ありがとう。」

隆が走って出て行った。

信じてもらえて良かった。

隆が居なくなって自分の姿に気が付く。おっぱい丸出しの状態に気が付いて僕は顔が真っ赤になった。

隆に身体を見られる。そんなこと今までなら別に恥ずかしいことでもなんでもなかったはず。

なのにどうしてこんなに恥ずかしいんだろう。

慌てて服を着なおして、これからどうしようかと考えていると、隆が2階の便所に行って戻ってきた。

「とりあえず、和也にはお前が転んで軽い怪我をしたことにしといた。先に生徒会館に戻っとけって言っといたし。彼女とのことであいつはいっぱいいっぱいだから大丈夫だろ。それより鈴木先生にどう報告するかだな。」

「鈴木先生は先に会館で酒飲んで寝てるって言ってたから大丈夫だと思う。」

僕がそう言うと、生徒会館に戻ることになった。