「千手丸さん、ちょっとこの刀を持ってみてください」「千手丸さんの流派について教えてください」「ちょっと型を見せていただいてもよろしいですか?」
ここ数日、毎日僕は村正の元を訪れていた。
刀を打つにあたって、使う人のことを知らなければならない。そのために毎日通っていたのだが。
(道場には言伝してあるから問題ないし…ま、いっか)
三郎があれ以来現れないこともあって、千手丸の機嫌もよさそうに感じる。
菖蒲さんや紫苑君とも呼び方が変わる程度には打ち解けた。
「ふむ、だいたいこれで分かりました」
村正が普段よりも緊張した面持ちで僕の前に座る。
「千手丸様、明日よりお越しいただかなくて結構です。明日から鍛冶場に詰めますので」
「え…あっ、はい」
あからさまにがっかりする千手丸。
(そんなに楽しかったのかな?)
街が近づいてくるといくつかの家の前を通るときに笛の音や太鼓の音が聞こえてきた。
(そうか…もうそんな時期か)
千手丸の知識があるので僕にもわかる。祭りが近いのだ。
◇◇◇
「穏やかな顔で寝ているな」
アオイは変わらず眠っているが、毎日見ているせいかなんとなく今日は穏やかな表情に見える。
「ハル殿、もし、私が戻ってこなかったとしても、アオイのことは医師殿にも頼んであるので二人で必ず守ってくれ」
「分かりました。イリスさんもくれぐれも気をつけて。ご武運をお祈りしています」
ハル殿に頷くと私はコロシアムに向かった。
陛下からの勅令が届いたのは一昨日のこと。罪状として地下に入った件などが詳細に書かれており、申し開きは拳にて、つまり、コロシアムで陛下と闘うこととなったのである。
私はこれからのことをハル殿に説明し、ヴラド医師に手紙を書いて、アオイのことをお願いしていた。
(勝てるだろうか…)
魔族の血を引いたものに対しては、覇気だけで屈服させるため、ここ最近はほとんど戦いにすらなっていないが、陛下の強さは尋常ではない。
(だが、勝つしかない…)
「イリス様…イリス様?」
ふと目を開けると見知った顔があった。
地下に入るときに世話になった女兵士だ。
「ああ、ん?なぜここに…?」
「イリス様が陛下に挑まれると聞き、願い出ちゃいました!!」
自分を信じ切っている目が眩しい。
「陛下は後から来られますので、先に闘技場で陛下をお待ちください」
「うむ」
(この娘のためにも…いや、この国の者だけでなく、周辺国の者のためにも勝つしかないのだ!!)
不意に力が込み上げてきた。
「私、イリス様を応援していますから!!」
「ああ!!」
コロシアムに上がると、観衆が総立ちで私を迎える。
どうやら私は罪人としてではなく、陛下に挑戦する一人の挑戦者として紹介されているようだ。
この国では王と戦い、勝利できればその時点で王権を奪うことが出来るのだ。
この十年挑戦者が現れなかったこともあって、観衆の盛り上がりは普段の賑わいの比ではない。
そして、その熱狂がひと際大きくなった。
「イリス、アテナの近衛が俺に挑戦してくるとはな!!これは面白い!!ガハハハハハ!!」
陛下からの命令で戦うことになったのだが、戦いうことの喜びが全身から出ている。
(というか、私の罪とかそんなことも忘れているんじゃないか?)
「それに、お前が俺に負けた時の事は分かっているな?」
そう、この戦いでは負けイコール死、だけではないのだ。
先ほどからアナウンスされているが、私が負けた時には後宮に入ることとなっていたのだ。
「戦士を力で押さえつけたうえでヤルときの快感ってのは…たまらねえンだぜ!!」
白銀の髪をたなびかせて笑うアキレウス王。言っていることはそこらの野盗と変わらないが、2メートルを超える身長に加え、赤銅色の筋肉が盛り上がって、大剣を小枝のように振るう姿は暴力そのものだ。
「そうそう、覇気は止めらンねえが、スライムは使わねえから、安心してイイぜ!!」
上からアナウンスが流れる。どうやら始まるようだ。私は大きく深呼吸して陛下と同じく大剣を掴んだ。
「さあ、始めるかア!!簡単には終わらせないでくれよお!!」
始まりの合図とともに、陛下の筋肉がさらに膨らみ、圧が強まる。
「ぐっ!!」
陛下と対したものが跪くのが分かる。
(これは…本能か…!!)
血がそうさせるのか分からないが、とにかく戦意が奪われ、その場で降伏しなければいけない、そんな気持ちが心の中を埋め尽くそうとする。
(だが…この程度の心の弱さなど…)
城の地下で味わった地獄と比べればたわいもない。
「ふう!!ここでっ!!負けるわけにはいかん!!」
私は陛下のプレッシャーを片手で持った大剣で振り払った。
「ホオオオオ!!耐えたか!!これは面白い!!成長するのか!?これはゼノンに言っとかねえと、ナア!!」
陛下が舌なめずりをして近づいてくる。
そして、
『ギャイィィ――ン』
二本の大剣がぶつかり合って火花を散らした。
「こんなもンかあ?違うダロ?もっと楽しませろよオ!!」
再び二本の刃が交差し、激しい金属音がこだました。今度は弾いた瞬間にお互いに態勢を崩す。
「ふん!!」
のけぞった姿勢で私は腕だけで大剣を振るう。だが、これは陛下も同じ。
3度目の金属音、そして、態勢を立て直しながら4度、5度、6度と打ち合いを続ける。
陛下の体から汗が飛ぶ。それは私も同じ。
「くハハハッハハ!!これはイイ!!お前の血統を当ててやろう!!そんだけの力が出せるってこたあ、俺とおんなじオーガだなア!!」
そう、ヴァンパイアの血に加えてオーガの血も私は受け継いでいた。
「精神面はヴァンパイア、それに力はオーガかあ!!あともう一つでこの勝負も決まりそうだなあ!!アン?」
「そういう…陛下はオーガと…その回復力は…トロールですか!!」
何合目かわからない打ち合いのあと、刃を重ねながら問う。
「オッ!!いい線だが、どうやらネフィリムって巨人らしいぜ!!最近教わったんだがなア!!最後は分かんねだろうナア!!お前が俺のオンナになったら教えてやるぜ!!まぐわいながら、ナ!!」
弾かれて私は後ろに飛ぶ。
(陛下は3血統が全部出ているのか…)
血統は最大が3つまでとされている。だが、必ずしもその全ての血統の力が現れるわけではない。特に、強力な血の力は出ないままに一生を終えることすらあるのだ。
「フハハハ!!楽しいなあ!!だが、このまま体力が尽きるまで打ち合っても仕方あるまい!!」
さきほどは余裕を見せるために言ってはみたものの、私の最後の血はまだ発現していない。
だとすると、私も最後の血統が発現しなければ、そして、それが陛下の持つ血を上回らなければ勝てないだろう。
「ふう…」
私は目を閉じて血の中に存在するはずの力を呼び起こす。
体の奥にある力を感じ取る。地下室で味わった絶望、憤怒、嫉妬、様々な感情がごった返しになった時に、心の奥で感じた小さな光。
(あれこそが私の最後の血統…今なら掴める…はずだ)
心の奥底に隠れた、だが、いくら隠れたところでその輝きは見失うことはない。
そして、私はそれを掴んだ。
◇◇◇
(ほおお、これは凄い…)
今日は普段以上にコロシアムへの入りも多く、つまりそれは隣の開花したばかりの女と密着することとなるのだ。
片手の指を全て糸へと変えた老人は、ロングヘアを緩く三つ編みにした褐色の少女の凹凸を味わっていた。
褐色の肌に合った濃いブラウンの瞳が動揺して、落ち着きなく左右に動いているが、今日のコロシアムの盛り上がりの中では誰も少女の小さな異変には気づかない。
(なかなか…ふむふむ、育っておるのお…)
胸は巨乳とまでは言えないものの、手のひらにちょうど収まるサイズ。なにより、尻から下が良い。
むっちりした下半身は、内股になって嫌々するたびに太腿が擦ってくるのだ。
「んっ…くぅ…♥」
少女の形の良い唇から吐息が吐き出された。
顔も赤くなっているのだが、褐色の肌ゆえに、それも目立たず、老人にとっては最高の獲物だった。
(なんなの…これ…あっ♥やっ♥乳首は…敏感になっちゃてるのにぃ♥)
ビクンっと少女の体が震えた。
少女からすると、両隣の人と肩が触れてはいるものの、体中を這いまわるものの正体は分からない。
魔物かと一瞬思ったものの、こんな街の中心にいるはずもない。
だが、先ほどから服の中で蠢く何かは確実に男の欲望を感じさせる動きだ。
「んんっ♥」
こんなことならズボンで来ればよかった、そう思う少女だったが後の祭り。今日着ているノースリーブのワンピースは膝上丈で、どこからでも侵入者が入ってこれるのだ。
お父さんやお兄ちゃんは仕事の休みの日なんか楽しそうに見に行くけど、あんな暴力的な見世物のどこが面白いのか、と普段はコロシアムになんて行かなかったのに。
(ひひひ、これはエエのお。まるで味わってくださいと言わんばかりじゃな。それに…この娘、なかなか敏感じゃのお)
ワンピースの中に一度入ってしまえば、もはや、妨げるものは下着だけだった。
そして、少女の服の中に入ると紡ぐようにして指ほどの太さへと変わり、瑞々しい肌が触ってくれと言わんばかりにそこにあるのだ。
(もうそろそろエエかのお?ほれ、もうパンツがうっすら濡れてきておるでの)
実際、少女はアナウンスなどそっちのけで、送り込まれる快感で夢うつつになっていた。
(………えっ!?)
少女が驚いたのは、ブラジャーの中まで侵入していた何かが、尻の割れ目を潜るようにしてショーツの中に入ってきたからであった。
「そこっ、だめっ!!」
思わず声が出たものの、大声で喋らないと隣の人とも会話できないくらい騒がしかったため、誰にも聞かれなかった。
(だめ…入ってきちゃダメ…♥)
ぷりぷりの尻肉がしっかり挟んでくる感触に、老人も顔が緩む。
そして、尻に包まれながら、少女の隠された部分を擦りあげた。
「んっ♥ふぁぁ♥」
何をされるか覚悟していたものの、いざ、敏感な部分を擦られて思わず声を上げてしまった少女。
スカートの上から押さえようとするが、あまり変な行動をとると周りから変な目で見られてしまう。
(ほお…尻も太腿もムチムチじゃが、ここも肉厚じゃのお)
それほど経験のない入り口を開くと、ゆっくりと中を確かめる。
「ぁ…♥そこ…(入っちゃうの?)」
与えられる快感に酔って正常な思考ができない少女はまるでねだるように足を少し開いて、正体不明な何かを受け入れた。
(うむうむ、十分準備は出来ておるようじゃな)
糸と感覚を共有する老人には少女の膣の中の様子が手に取るようにわかる。
(ヌレヌレのトロトロじゃのお!!ヒヒヒ)
そして、柔らかい感触を味わいながら挿入した。
「んっ♥ふぅっ♥」
少女の数少ない経験では毎回痛みを感じていた。ところが、今回はそれがない。
(気持ち…いい…)
うっとりとした表情で体の力を抜く。
一方老人も鼻の下を伸ばしていた。
(この締まりは…うむうむ…肉厚なだけのことはあるわい)
単に締めつけがきついのではなく、重量感があってまさに肉布団に包まれているような感覚。
(これは指だけではもったいないのお…じゃが、もう時間切れかのお)
アキレウスの対戦相手である白銀の鎧を身にまとった見目麗しい女騎士が登場し、周囲がうっとりとした視線を向ける。
その隙に老人は糸をバラけさせ、入り口の上、クリトリスに巻きつかせると、出し入れを開始した。
「んっ♥あっ♥これっ♥」
(何これ♥こんなの知らないよぉっ♥)
敏感な豆を痛いくらい絞られて、太腿の内側をヌルヌルした粘液が滴り落ちる。
さらに、奥まで擦られて、少女はブルブルと震えながら衆人環視の中で絶頂を味わった。
(おっと、アキレウス王が出てきよった…さて、今日こそは戦いが見られるとエエがのお…)
放心状態の少女を糸で支えながら、老人は眼下で相対する2人の戦いを待ち構えるのだった。
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