3周目 9月22日(水) 午後11時 島津政信
「美紗ちゃんって敏感なんだね」
茶髪が俺の体の上からどくと足元に移る。
俺は自分のカラダが反応したことに衝撃を受けながらも必死に気持ちを立て直そうとした。
『ねろっ』
急に割れ目が舐められる感触にゾッとして鳥肌が立つ。
「ひゃんっ」
「おおっ、気持ちいいのかな?」
俺が思わず出した声に茶髪が興奮する。
(違う…驚いただけだっ)
『カチャ』
ドアの閉まる音がした。
茶髪が股間を舐めるのに夢中になっていて気がついていないけど、サトルと呼ばれた男が席を外したのに俺は気づいた。
(今だ。サトルとかいう男は油断できないが、こいつだけなら…)
「んっ、はぁっ…ああっ」
わざと喘ぎ声を大きくすると興奮した茶髪がさらに激しく舌を動かす。
(そろそろいいか…)
「あんっ…んっ…ねえ…あなたの名前を教えて、名前で呼びたいの」
そう言うと男が嬉しそうに言う。
「俺はヤスシ、サト…ああ、仲間内ではヤスって呼ばれてるんだ」
「ヤスシさんって呼んでいい?」
そう言うとヤスシはこれ以上ないほど喜ぶ。
「もちろん良いぜ」
ヤスシはサトルに比べるまでもなく顔も体も頭も悪そうだ。
きっと仲間内でも舐められているのだろう。
俺が色目を使うと簡単に警戒を解いた。
(そろそろいいか…サトルが帰ってきても困るしな)
「ねえ、私、あの人よりヤスシさんに抱いて欲しいの」
「えっ?」
目に見えてヤスの眼が輝く。
「でも、…手と足が痛くて…」
俺は可愛らしく見えるように意識して言った。
「外してくれると嬉しいな」
「えっ、だけど、勝手なことするとサトルに怒られるからなあ」
(さすがに難しいか…だけどここで諦めるわけにはいかない)
「ちょっとだけでもダメ?私…初めてなの」
そう言うとヤスの鼻息が荒くなった。
「初めてが縛られてなんて…ねっ、絶対逃げたりしないよ」
「うん、そうだな。逃げないよな」
足元でカチャカチャという音、そして右足が自由になったのを感じる。
どうやら手枷足枷は手錠だったようだ。
左足も外されて、今度は俺の体の上に馬乗りになって腕の手錠を外し始めた。
(右手…もう少し…そろそろサトルが帰ってくるかも…)
ヤスは腕の手錠を外すために俺の上で四つん這いになって手を伸ばしている。ちょうど腰が膝のあたりにある。
『ガチャ』
俺は最後の手錠が外されると同時にヤスの股間に思いっきり膝を入れた。
「うぎゃあっ」
そのまま悶絶するヤスをベッドの脇から下に落とす。
(よしっ、あとは逃げるだけだっ)
ドアを勢いよく開けると同時に体に熱い衝撃が走る。
(しまった…待ち伏せ…)
◇◇◇◇◇◇
9月22日(水) 午後11時15分 島津政信
「うっ」
俺が目を覚ますと再びベッドに磔にされていた。
「起きたか」
「ううっ」
俺の覚醒を待つようにサトルが話し始めた。
「面白いことをする女だな。ヤスはまだ気絶している…まあ、たまにはあいつも痛い目にあったほうがいい」
徐々に視界が戻ってきた。
(く…失敗したか…どれくらい俺は寝てたんだ?)
「ああ、そんなに時間は経っていない。調節したからな」
「くそっ」
思わず声に出してしまった。
「なあ、さっきまでは全然感じていなかっただろ?」
(バレてたのか?)
「あんな演技に気がつかないのはヤスくらいだからな」
そう言って近づいてきたサトルの手にはチューブのクリームのようなものがあった。
「なっ、何をするつもりだ?」
「電車で最初に見た時から考えていたんだ。お前が啼いて俺の精子を欲しがる姿をな」
「くっ、誰がお前なんかのっ」
思わず男言葉になる。しかしサトルは俺の言葉を気にする様子もなく、チューブからクリームを取り出す。
冷たいクリームが胸に薄くのばすように広げられる。
「んんっ」
胸を触られて今度は自然に声が出た。ヤスとは比べ物にならないほど上手い。
「なるほど、本当に感度はいいんだな」
どうも揉まれた胸が熱を持っているような気がする。
「次はこっちだな」
今度は股間に冷たい感触。
「んああっ」
クリトリスを指が掠めて思わず声が出た。
「これ…なんなんだ?」
俺は恥ずかしさを紛らわすために話しかける。
「これか?媚薬だ」
「び、媚薬?」
「ああ、高級品だから効果もあるらしいぞ。何か体に変化はないか?」
例の人を観察するような目で俺を見る。
「何も、ない」
そう強がってはいるものの俺の体、それも胸と股間がジンジンと熱くなってきた。
「ふーん」
サトルは少し離れたところにあった椅子を持ってきてベッドの脇に置いて座る。
「どうするつもりなんだ?」
「いや、座って効果を見るだけだ」
俺も冷静を装っているが、心臓が激しく打ち始めていた。
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