10周目 9月24日(金) 午後7時20分 高樹美紗

10周目 9月24日(金) 午後7時20分 高樹美紗

柔道部の練習が終わった後、アタシはプールの入り口が見える植え込みにしゃがんで隠れていた。

今は部活なんか出ている場合じゃないとも思ったんだけど、亜紀が部活に出ているのを確認して恐らくまだ行動には移さないのだろう、と考えたんだ。それに島津が補習を受けている間は水泳部もいるし、権田も手を出すわけにはいかないだろう、という読みもあった。

(二人はアタシに何かを隠している。それは十中八九、性的な何かだ。そして島津はいずれアタシ達の体が元に戻ると考えているから、きっとアタシに気を使ってアタシ抜きで解決しようとする)

それで、部活が終わるや否やアタシは急いでプールに向かった。走ったおかげで、ちょうど水泳部も練習が終わるタイミングに間に合った。

(島津は…?)

出てくる学生をチェックするが、島津の姿はない。

しばらく待っても出てきたのは若い教官だけだった。教官が扉に鍵をかける姿にアタシの心が騒ぐ。

(遅かったの…?)

アタシは焦る心を抑えて鍵を掛けられたガラス戸を見つめた。

(どういうこと?今日は補習はなかったの…?それとも、どこかに連れ出されたか…)

フッと辺りが薄暗くなる。消灯時間がきたようだ。アタシは暗闇に紛れてプールのガラス戸に近づいて中を覗きこむ。

僅かに明かりが見える。

(あそこは…教官室?)

教官室の電気がついているとしたらまだ中には二人がいる。

諦めかけていたアタシの心に希望が灯る。

(中にいるならいずれ出てくるはずっ)

再び待つことにして一時間後、ぼんやりと漏れていた光が完全に消えた。

(よしっ、出てくるっ)

出てきたらどうするかは考えていない。島津を問い詰めるか、それとも権田を殴って島津を助けるか…、権田を脅迫するという手もある。

頭の中でいくつかシミュレーションをしていてアタシはふと気がついた。

(それにしても遅くない?…まさかっ)

プールの周りを走る。すると裏に別の入り口があることに気がついた。

(しまったぁ…)

痛恨のミス。しばらく呆然としたけど、もはやどうしようもなかった。

◇◇◇

10周目 9月24日(金) 午後8時20分 島津政信

シャワーを浴びて、制服に着替えた俺はブラウスに薄いニットのベストという姿で職員用の通用口から学園を出た。ベストは権田が準備したものだ。

やはり内股になってしまう。夜になって冷えた空気に思わずスカートを押さえる。

(くそっ、…うぅ…葛城、ちゃんと気づいていてくれよ)

気を紛らすためにも俺は葛城の事を考えることにした。

俺と葛城の計画は、まず昼休みに葛城が体育教官室で権田のパソコンを初期化する。大切な情報なんか知ったことではない。

だけど、それだけでは足りない。なぜなら、以前俺がキレてパソコンを壊そうとした時に権田が「もとのデータはワシの家にあるんやでっ」と口走ったからだ。

全てのデータを消すためには権田の家に行かなければならない。だから放課後、俺は権田の家に行く約束をとりつけたのだ。

葛城は俺の携帯から出るGPSの位置情報を利用して権田の家に向かう。そして、俺が権田の気を逸らしている間にパソコンを初期化する。

俺はチラッと前を歩く権田の様子を窺う。どうやら権田は体育教官室のパソコンの中身が空っぽになっていることに気づいていないようだ。

(それにしても、どこに向かうんだろう?)

教官と生徒。二人が一緒にいるところが人目についたら困るから俺は権田から数メートル遅れて歩いている。

俺が普段使う駅とは逆方向だ。時おり吹く風にドキッと肩が震えた。

道は街灯があるのでそこまで暗くはないが人っ子一人いない。不思議に感じて周囲の建物を見れば学園の附属の学校が立ち並んでいた。

(なるほど、このあたり一帯が学校ばかりだからこの時間には人がいないんだな)

人がいないのは心細いが今の俺の状況を考えればむしろ助かったとも言える。

そうこうしているうちに交差点の角にバス停が見えた。権田がバス停のベンチに座り、俺もまるで無関係を装って少し離れて立つ。

(こんなところにバス停なんてあったんだな)

時刻表を見ると、近所にある学園の附属学校の学生のためのものらしい。次が最終のバスらしく、待っているのも俺と権田だけだった。

(葛城…大丈夫か?)

もし葛城がこのバス停に遅れてきたらもうバスはない。そもそも葛城が同じバスに乗る事訳にはいかないのだが。

(うまくやってくれよ)

「……」

無言で待っていると、暗い道に明かりが近づいてきた。バスが来たようだ。いよいよか、そう考えると緊張が高まってくる。

結局俺たち以外に乗る人もいないしバスに乗り込むと見事に乗客は誰もいなかった。

「あれ?権ちゃん、久しぶりやなあ。今日は一人じゃないんやな。エラいベッピンさんやな」

馴れ馴れしい口調で運転手が軽口を叩く。

(また関西弁…って、権ちゃん?)

「ひひひ。うちの生徒や」

へえ、と運転手が俺の体を上から下まで眺めた。スカートから出た太腿を見る目がイヤらしい。

(バレてないよな…?)

だが身構えた俺に運転手はそれ以上は何も言わず、権田に促されて一番後ろの窓側の席に座った。

「次は○○に停まります。車内が揺れますので立ち歩かないよう…」

機械のアナウンスが流れてバスが走り出す。

そして走り出すとすぐに隣に座っていた権田が俺の肩に手を回してきた。

「スクールバスでこんなこと出来るなんて最高やな」

権田が顔を覗きこんできた。その目は唇を要求していた。

このバスは一般的なバスよりも小さいから、一番後ろに座っていても運転手までの距離は近い。

ちょうど運転手がバックミラーを弄っているのが見えた。

(こっちを気にしてる…?)

運転手を気にしつつ顔を権田に向けると分厚い唇が吸いついてきた。

「んちゅっ…ちょっ、運転手さんに気づかれるっ」

「せやからエエねやろ?」

肩にまわされていた手がキスに意識が向いている間に胸の上に移動していた。

「んっ、あっ、ダメ…」

服の上から押し潰すように胸を揉む。

「やらかいなあ。なんでやろなあ?」

わざとらしく聞いてくる。

(そんなの…)

理由はブラジャーをつけていないからだ。

夏服に学園指定の紺のベストを着させられた理由は周囲に下着をつけていないことを隠すため。

「夜は冷えるからな」などと、もっとももらしいことを言う権田を俺はうらめしく睨んだものの結局言う通りにするしかなかった。だけど歩いていて分かった。校内と、学園外ではその恥ずかしさと不安は比べようがない。

権田の分厚い手がベストのVネックから入ってくるのを無言で下唇を噛んで堪える。

ベストの中に入ってきた太い指が俺をからかうようにブラウスのボタンをゆっくり弄る。

「なあ、手ぇ入れるで?」

権田が耳もとでわざと生臭い息を吹き掛けてきた。ゾワゾワと鳥肌が立つ。

「あ、…ん…家で…」

それほど大きくないバスなので俺は声を抑えて権田に耳打ちした。

「家まで我慢なんかできひん。ほれ」

権田はバスの運転手の事などまるで気にする様子もない。それどころか俺の手を掴んで自分の股間に押しつけた。

(固い…)

公共の場で、しかも権田は小一時間前に射精したばかりなのだ。

(でもまさかこんなところで…?)

そのまさかだった。権田のスラックスの中でむくむくとそのサイズは大きくなっていく。

「なっ?このまんまでいろって方が殺生やろ?…それに、美紗の手がそんな擦るもんやからますます勃ってしもたで」

その言葉に俺は自分の手が権田のチンコの形を確かめるように動いていることに気がついた。

「あっ、いや、これは…」

手を離そうとして権田に止められる。

「やめんでエエ。それより、ほれ…苦しいさかい楽にしてな」

「んっ…」

乳房をブラウスの上から掬い上げるように揉んでいた手が直接肌に触れる。

「なっ、エエやろ?手だけやったらバレへんから、なっ」

また耳元に生暖かい息を吹き込んできた。

「ん?この固いのは何やろな?」

「あっ、そこは…ゆっ、許して…声が…」

乳首を摘まんで耳に舌が入ってくると声が上ずる。

運転手が権田の仲間かどうか分からないし、そもそも仲間でも声を聞かれるわけにはいかない。

「なあ、はよしてな。分かるやろ?」

(………今日で終わりだから…)

この言葉、今日だけでも何度自分に言い聞かせたか分からないが、もはや納得させるというよりも手順のようになってしまっている。

(……計画を成功させるため…仕方ないんだ……)

俺はチャックに手を伸ばす。

「ひひひ」

権田のイヤらしい笑い声を聞きながら、チャックを下ろして勃起したチンコを引っ張り出した。

「手つきが慣れてきたなあ」

からかうように笑う権田を睨んで擦り始める。

「ああ、うまなったなあ。せやけど、そんな顔してたらあかんわ」

ブラウスの中で二本の指が乳首を挟む。

「んくっ…や、めて…」

ビクンッと俺の体が跳ねた。

「ほら、エエ顔になったな」

「やめて…ここでは…」

「せやな…ワシが触るのはかわいそうやな」

乳首を弄っていた指の動きが止まった。

(助かった…)

乳首は快感が強すぎて声が我慢できない。

「自分でオマンコを弄ってもらおか」

「は?」

「聞こえへんかったんか?だから…んぐむむむ」

大きな声に権田の口に手を当てた。バックミラー越しに運転手と目が合う。

「むぐぐぐぐ」

何すんねん、と言いたげな権田の目。何か言われる前に俺は権田に見えるように足を広げた。

「ふう、分かったんならエエんや」

口が解放された権田が目を細める。

「そしたらまずは触ってみい」

俺はスカートの中に手を差し込んだ。

『ヌル』

割れ目の襞(ひだ)に触れた指からはねっとりした感覚が伝わってくる。

何となく歩いているときから感じていたが、やはり、というべきか濡れていた。

「どうしたんや?」

権田の手がスカートを少しめくる。

「ほほお」

嬉しそうに目を輝かせる権田。着替えた時に下着は全て剥ぎ取られ、権田の目には今、濡れたオマンコが見えたはず。

「よっしゃ、ちょっと開いてみてな」

権田の命令に俺は親指と人差し指で割れ目を開く。

「ピンクのオマンコがグチョグチョに濡れてるやないか。美紗は恥ずかしいのが興奮するんやな」

「いや…」

膝に権田が手を置いて、足を閉じようとするのが止められた。

「何がちゃうねん。ノーパンで外歩いて、バスの中でワシに見られて興奮しとるんやろ?ほれ、垂れてきたで」

権田の言う通り、割れ目から出た愛液が肌を伝う感じがする。

「まだするの…?」

「指で気持ちエエとこを弄るんや。せやないとおっきい声出すで」

これまでの事を考えると権田なら公共の場でも本当にやりかねない。俺は指でクリトリスを潰すように指で擦る。

「あっ、んっ、んんっ」

恥ずかしさと快感に思わず声が出てしまうのを必死で抑える。

「ん…んん…」

(あぁ…声が…気持ち…)

「エエなぁ。せやけど自分ばっかり気持ちようならんと、ほれ?掴んでるだけやったらあかんでぇ」

クチュクチュと指を動かしていた俺は権田のスケベな声にハッと我に返った。スカートの中の手に集中していて、もう片手が権田のチンコを握っていたのを忘れていた。

(……俺は何をして…)

「なんや、やっぱり嫌がるふりして好きなんやろ?」

「ちっ、違うっ」

俺は慌てて権田のチンコを擦り始める。

「おおぅっ、エエでぇ」

体がやり方を覚えてしまったのか、権田が興奮する。さらに亀頭を捏ね回すように手のひらで擦ると権田の腰がびくついた。

「くふっ、どこでそんなん覚えてんっ?」

『クチュクチュクチュクチュ』

「あかんっ、我慢でけへん」

グイッと頭を下におしつけられた。

「あっ」

「口でやるんやっ。オマンコに入れてる指も止めたらあかんからなっ」

横倒しにされて権田のチンコを口に含む。手はスカートの中に入れたままだ。

「んちゅ…ねろねろ…ん…ちゅぱっ、ずずっ」

(なんでこんなに…)

指はトロトロに蕩けた肉の中でふやける。出し入れする指の根本から愛液が垂れた。

「むぐっ、ズズッ、じゅぽっ、じゅぽっ」

『クチュクチュ…ジュプッ、ジュプッ』

さらに激しく指を出し入れしながら口を上下に動かすと頭の中がグチャグチャになってまるで口もオマンコも犯されているような気分になった。

(こんなことさせられて…)

だけど俺が権田に抵抗できないのは脅されているからではない。

(スクールバスでなんて…)

子供が乗るバスで男のチンコを舐めて自分を慰めるなんて、そう思って…興奮していた。

「んっ、はぁぁあっ」

誰が聞いても分かるような掠れた喘ぎ声が出てしまったけど、運転手の存在などいつの間にか俺の意識から消えてしまっていた。

『クチュッ、ジュボッ、クチュッ、ジュジュッ、グチュッ、グチュッ』

激しく動かす口から手から卑猥な粘液の音が鳴る。

「んぁっ、あっ、ああっ、んぐっ、んはぁっ」

(ああ…もうっ…おかしくなるぅ……だめになるぅっ……)

「イクでっ、全部飲むんやっ」

権田の声に俺は反射的に口をすぼめて吸いついた。

『ドピュドピュッ』

(ぁ……くるっ、きちゃうぅぅぅっ、おかしくなりゅううぅぅぅっっ)

権田が頭を押さえてくるのも馴れた。むしろ熱い精子が喉を打つと同時に体が痙攣した。

「フェラチオしてイキよって…変態やなあ」

ビクンッ、ビクンッと痙攣したまま、俺は今日だけで何度も犯された疲れで、精液の臭いに包まれて意識を失った。