2周目 痴漢に狙われるカラダ 9月21日 午前7時50分 高樹美紗

2周目 9月21日 午前7時50分 高樹美紗

一緒に電車に乗ったんだけど、すぐに島津の姿が隣から消えた。

(ちょ、ちょっと島津っ)

人の波に押し流されていく島津を見つけると助けを求める目が一瞬見えた。

(まあこればっかりは仕方ないか)

気持ちを切り替えてアタシはこのゲームのことを考える。

(島津に惚れさせなければいけないって、考えてみたら意外に難しいわね。特に時間が一週間ってのが問題なのよ、あの神様、今度会ったら叱ってやるからね)

『ガタンッ』

電車が揺れて女の子の小さな悲鳴があちらこちらから聞こえた。

(…そういえば島津は大丈夫かな?)

そう思ってあたりを見渡すが男の人しか見えなかった。

身長が高くなったせいで普段とは見える景色も違う。

『ガタン』

「きゃっ」

女の子がよろけてぶつかってきたのを受け止める。

「あっ、ありがとうございますっ」

「いえいえ」

こんなことができるのもこの鍛えたこの体のおかげ。

アタシは窓の外を見ながら学園の最寄駅に着くまで人ごみに耐えた。

◇◇◇◇◇◇

2周目 9月21日(火) 午前8時10分 島津政信

(あれ…?)

いつの間にか胸を揉む手が1本になっていることに気がついた。

(あっ…そこはっ)

胸から離れた手がスカートの中、パンツをまさに触ろうとしていることに気がついて、慌ててその手を両手で捕まえた。

「んっ」

俺は渾身の力で腕を離そうとする。

人ごみの中で密かな攻防が繰り広げられる。

女の力とは言え、両手で本気で止めようとすると痴漢も片手では対処できないようだ。

俺がこれはなんとかなりそうだと思った瞬間、乳首を強くひねられる。

「ひゃんっ」

胸に意識が向いて一瞬力が抜けたところで股間に指が届いた。

「ふぁっ」

まるで電流が流れたようにカラダが跳ね上がって、乳首を触られた時以上の快感が頭を突き抜ける。

(あぁっ…これ…ヤバイ…)

体が無意識にビクンッと震える。その衝撃で痴漢の手を離してしまった。

(…あっ…まずいっ)

予想通り、邪魔するものがなくなった指はパンツの上から割れ目を行き来し、同時に胸が激しく揉まれる。

「んんっ」

無理やり女の快感を初めて味わわされたカラダは言うことを聞かない。

(手を止めないと…)

足を閉じようにも、足元のカバンのせいで閉じることもできない。

それでも、なんとかしようと股間を這い回る腕をつかもうとすると、ブラジャーの中で尖って敏感になった乳首を摘まれて力が抜ける。

何度も繰り返されるやり取りの中で、徐々に抵抗しようとする俺の心が崩れていく。

そして、頭がぼんやりする中、もはやいやらしく蠢く腕を止める力が失われた俺のカラダは、痴漢のなすがままになってしまった。

「はぁ、はぁ、はぁ…」

下を向いて耐える他ない。

そんな俺をあざ笑うように胸を揉んでいた手がブラウスのボタンにかかった。

「えっ、や…めろっ」

思わず声を出したが、思った以上に声が小さく、かすれて、周りに届かなかったようだ。

痴漢は味をしめたように、そのままブラウスの中に手を入れてきた。

(うぅ…どうしたら…)

どうしたらいいのか悩んでいると、ブラジャーのカップの隙間から入った指が乳首に当たる。

『ビクッ』

(直接だと…こんなに…)

指の腹が乳首を押しつぶすようにこね回す。

「ん、ふぅっ…んんっ…んっ…ふぁっ…」

ずっと同じ姿勢でいるせいもあって膝が笑い始めた。

(だめだ…立っていられなくなる…誰か…助けてくれっ)

助けを求めて周りを見渡しても、周りは気づいていないのか、気づいていても関わりたくないのか、誰も助けてくれない。

キョロキョロする俺をあざ笑うかのように胸元に入った手が胸を覆っているカップを下げて乳首を出す。

混んだ車内の人の熱気で額から汗が滴った。

『クリクリッ』

乳首が摘まれると俺の体がビクンッビクンッと意図せず動く。

(んんっだめだっ)

腰が自然に折り曲げられて、前の人の背中に頭が当たりそうになった。

「んあっ」

快感に意識を向けている間に痴漢の両手が胸元に入っていた。

汗で前髪が額にまとわりつくが、気にしている余裕はなかった。

「ふぁっ…や、やめ…」

言いかけると乳首が弄られる。

そして黙ると胸全体が揉みこまれる。

(このままじゃ…おかしくなってしまう)

俺は必死に声を出さないように耐える。どのあたりを走っているのかも分からない。

「はぁはぁ…ふぅっんんんっ」

必死で耐えてきたが、もう声が出てしまいそうだ。

手を押さえるのを諦めて、声が出ないように両手で口を押さえた。

「んんんんっ…ふっぅぅん」

押さえる手がなくなったことで痴漢の指がパンツの上から割れ目をなぞり始めた。

爪を立ててこすられる。

「うんんっ」

(うわっ、なんだこの感じ…)

何度も割れ目を上下する指先に意識が集中する。

「ふぅ、ふぅ、ふぅ…」

息が荒くなる。のぼせているように頬が熱くなってきた。

痴漢の指が何かを確認したように一点を押さえた。

「んあっ」

割れ目の上を押された瞬間、声が口から漏れる。

慌てて周りを見るが、どうやら気づかれるほどではなかったようだ。

『キュッ』

先ほどと同じ場所が摘まれた。

「ふはぁっ」

(うわあ…なんだ…この不思議な感じ…浮き上がるような…ダメになる感じ…)

膝が曲がるのを胸に入った手が支えて立たされる。

体がフラフラとして夢の中のように頭がはっきりとしない。

(ああ…おかしくなりそうだ…)

痴漢の指は休ませてはくれなかった。

胸とスカートに入った指が連動するように動く。

(おかしくなる…これ以上は…)

乳首と割れ目が同時にひねられた瞬間…俺の体が無意識にのけぞった。

(ふぁぁぁぁぁっ)

目の前がチカチカする。体がブルブルブルと震えて立っていられなくなった。

『間もなく○○駅~○○駅~』

アナウンスと同時に痴漢は器用にブラジャーを直し、ブラウスのボタンを付け直す。

そして、耳元で囁く。

「気持ちよかったかい?随分濡れていたね。明日も楽しみにしているよ」

「ふわっ」

いきなり耳元に息が掛かってぞわっとする。

「そうそう、下のカバンにはカメラが入っているんだ」

俯いた視線の先のカバンのチャックが少し開いていて、中に光るレンズが見えた。

「逃げたら…分かるね?」