2周目 9月23日(木) 午前6時30分 島津政信

2周目 9月23日(木) 午前6時30分 島津政信

「んんー」

目覚めるとまだ朝の6時半だった。

昨夜結局寝たのは日付が変わってから。

まだ、股間に何かが入ったような感触が残っている。

(どうする…)

考えるまでもない。

(オナニーでは全然満足できなかった…)

シャワーを浴びて念入りに体を洗った俺はパンツを履かずに、カバンに入れた。

『ピーンポーン』

高樹が迎えに来て二人で駅に向かう。

(うう…スカートの中がスースーするな)

膝上丈のスカートの中は何も履いていない。かなり不安だ。

(誰も気づいてないよな?)

道行く人が俺を見ているような気がする。

「なんか…島津、女っぽくなったわね」

俺と話していた高樹が急にそんな事を言ってきた。

「ええっ、どこが?」

「うーん、どこがっていうか…なんていうか…恥じらいのある乙女になったっていうか…」

(確かにちょっと内股で歩いているけど…それはパンツを履いていないせいで…)

駅のホームで電車を待っている時、も通過列車の巻き起こす風に翻りそうになるスカートを思わず押さえる。

(これって…考えたらかなり恥ずかしいことしてるんじゃないか?)

今更ながら俺は恥ずかしくなってきた。

『2番線に電車が参ります、ご乗車の方は…』

電車が入ってきた。

今日もホームに入ってきた時点で電車の中は人まみれだった。

(電車に乗ったら、きっと連れ込まれて…今日は前からなのか、それとも後ろからなのか…)

俺の頭に後ろからスカートを捲られて直接弄られる映像が思い浮かんだ。

(カバンの中から何も履いていないスカートの中身を撮られて…ゆっくりと焦らすように指が這い上がってきて…)

電車から乗客が降りたあと、俺たちが乗り込む。

(…あれ?)

電車のドアが開いて乗り込んだが、手を掴まれることもなく、高樹と向かい合わせでドア付近に立つ。

(どこからくるんだろう?)

期待しているつもりはなかったが、なんとなくガッカリしている自分に気がついた。

(うわっ、俺は何を考えていたんだ…むしろこれで痴漢に遭わなくなったほうが良いのに…)

ちょっと冷静になって考えるが、どうも落ち着かない。

「何を探してるんだ?」

周りをキョロキョロと眺めるのを高樹に指摘された。

「えっ?いや…ううん…なんでもないよ」

そう言って…だけどスカートの中が少し濡れていた。

『間もなく○○駅』

アナウンスが流れる。

結局痴漢は出なかった…。

◇◇◇◇◇◇

2周目 9月23日(木) 午前7時40分 高樹美紗

目の前の島津がきょろきょろと落ち着かない。

「何を探してるんだ?」

そう尋ねても何でもないと言うけど…。

朝迎えに行った時から島津は様子がおかしかった。

まだ寝不足なのか顔色が悪いっていうよりも病的な白さだ。

もともと人形のような整った顔が、さらにはかない美しさを纏わせている。

しかし、一方で女らしくなったというか、恥らいを帯びた仕草に加えて、体からにじみ出るような色気がある。

その危ういバランスが男を惹きつけるのだろう。周りの男たちから昨日まで以上に熱い視線を受けている。

(この視線に気がつかないのも一つの才能よね、そういえば部活のマネージャーなんて完全に島津にラブラブなのに気がついてないんだから。気づかないふりをするのも大変なのよ)

『ガタン』

「あっ」

島津の体がアタシにぶつかる。

『ムニュ』

胸がアタシの腹の上に当たる。

(あれ?)

そう思って島津のウエストを両手で掴む。

「ひゃんっ」

「ちょ、ちょっと、おっきい声出さないでよ、痴漢と間違えられるでしょ」

予想外の大きな声に驚いたアタシは耳元で注意する。

「だって、いきなりお前が変なとこ触るから」

島津もコソコソ言う。

(でも、やっぱり…)

ウエストが少し細くなっているように感じた。

そしてそれとは逆に胸のサイズは少し大きくなっているように感じた。

(うーん、ウエストが細くなったせいで胸が大きく見えるのかな…でも元の体の持ち主であるアタシが大きくなったと思うんだから…)

そう思って胸を凝視していると、島津が胸を両手で隠すようにして恥ずかしそうにこっちを見ていることに気がついた。

血が下半身に向かってムクムクと大きくなるのに気がついてアタシは慌てて目を逸らした。